第21回オータムチャンピオンシップ観戦記(最終戦)

【担当記者:中島由矩】

4戦目にトップを獲得し、ついに茨城が楠橋をとらえた。しかし、2人のポイント差はわずかに8.9pt。ウマが5・15である今大会においては、1着順差ということになる。乾や伊藤が大きく抜け出さない限り、2人はお互いとの点差のみ考えた麻雀となる。
ちなみに「乾や伊藤が大きく抜け出す」とは、具体的にどのような点棒状況を指すのかというと、

乾陽人 60000
伊藤隆洋 30000
茨城啓太 20000
楠橋思 10000

仮にこうなった場合のトータルポイントが、

乾陽人 +28.1
茨城啓太 +22.8
楠橋思 △6.1
伊藤隆洋 △45.8

もう1パターンだけ見てみよう。今度は伊藤が抜け出すパターンだ。

伊藤隆洋 80000
乾陽人 20000
楠橋思 15000
茨城啓太 5000

この場合のトータルポイントは、

伊藤隆洋 +14.2
楠橋思 +8.9
茨城啓太 △2.2
乾陽人 △21.9

となる。

東家:伊藤隆洋(トータル4位)
南家:乾陽人(トータル3位)
西家:楠橋思(トータル2位)
北家:茨城啓太(トータル1位)

ちなみにこの座順は、通常通りの場決めをした後、トータル1位の茨城が北家になるように調整したもので、4位→3位→2位→1位という並びになったのは偶然だった。

試合が大きく動いたのは、東4局0本場。

親の茨城が、完全イーシャンテンに、ピンフがつくツモ麻雀牌:二索を引き入れ、先制リーチ。1900点上の楠橋をまくりにいく。ただまくるだけならダマテンで安めの麻雀牌:六筒でもいいが、ここはリーチで子方を押さえつけつつ、大きなリードをものにしたい。

伊藤は一発キャッチした麻雀牌:九筒を、1度は止めたものの、次巡河に放った。

普段は名古屋市の麻雀店に勤務する伊藤。「兵長」というニックネームで、放送にたくさんのコメントがついていた。愛されキャラなのだろう。大きなトップで今大会の優勝を目指し、思い切り撃ち抜いた麻雀牌:九筒で11600を献上してしまった。

南1局0本場の親番では、自動配牌の第1ツモを取り忘れてしまい、この表情。ちなみに裁定は、捨て牌はそのままで第1ツモを取りそのまま続行だった。

伊藤は悲願の初優勝に向けて4本場まで積んでトップ目に立ち、さらなる連荘をねらったが、南1局4本場。

楠橋が先制リーチ。高めで三色同順となる麻雀牌:五索を手にし、5200や2000・3900で茨城に迫りたい。

しかしこの局は、乾が門前で追いつき、リーチで応戦。最後は伊藤から麻雀牌:二筒を打ち取って楠橋の思惑をかわした。

「1000点開きましたね」

アガリの直後にすかさず言い放ったのは、解説の矢島亨。「伊藤や乾のことはいったん頭から消し、茨城との点差だけ考える」を体現してみせた。

ところでこの画像。乾の左手で手牌が隠れていたので、下に牌図を入れてみたのだがどうだろう。本放送も、待ち牌や副露の表示が出るし、観戦記もブラッシュアップしていきたい。

乾はこの決勝に臨むに当たり、「タイトルを取って周囲への感謝を伝えたい」と言った。試合後に「楽しかった」と言ったことも含めて、令和の若いスポーツ選手を彷彿とさせる。

試合後に「昨年の優勝は、麻雀の内容が悪かった」と語ったのは茨城。

今大会は、連覇を懸けて臨んでいる。南2局0本場で、仕掛けて2000点のイーシャンテンから、

カン麻雀牌:二萬を引き入れて、望外の門前テンパイ。ダマテンに構え、麻雀牌:南麻雀牌:西がこぼれるのを待った。南場の西家である今局、どちらが出ても5200となる。

最後は麻雀牌:南をツモアガリ。2000/4000を手にし、優勝を大きく手繰り寄せた。

南3局0本場、親が落ち、軽いアガリができなくなったのは伊藤。絵に描いたようなメンタンピンのテンパイだが、

ダマテンに構え、楠橋からすぐに出た麻雀牌:八萬を見逃し。その麻雀牌:八萬をポンしたのは局消化したい茨城。麻雀牌:北のトイツ落としで、麻雀牌:七索へのくっつきを待つ。

伊藤は、高め567の三色同順に仕上げると、「安めはいらん。」とばかりにリーチを敢行。麻雀牌:八萬はポンされている牌だが、高め麻雀牌:五萬の方は1枚も見えていない。出てもツモアガっても跳満だ。

「兵長」から喉元に剣を突きつけられたのは、優勝ポジションの茨城。カン麻雀牌:六索のテンパイに、無筋の麻雀牌:五索を持ってきた。伊藤に着順をまくられることは気にしなくてもいいが、楠橋と点差が詰まることが気になる。

ポイント状況的に、伊藤のリーチが安くないのは百も承知だ。押すか、引くか、引くなら何を切るか。

Screenshot

茨城は麻雀牌:五索を押し、伊藤が麻雀牌:六索をつかんだ。この5回戦、東4局0本場の11600より、南2局0本場の2000/4000より、価値あるアガリだったかもしれない。

オーラスは、子方3人に条件を満たすテンパイが入らず、流局。親の茨城が伏せて、連覇達成となった。

序盤は全方向に国士無双をケアする麻雀牌:一萬の暗刻落とし、中盤にマンズ気配の楠橋ケアでマンズを逃がし、終盤は四暗刻タンキに当たりにくい暗刻の麻雀牌:七索を3枚使って安全に逃げ切る。最後までスキのない、茨城らしい麻雀を見せて締めくくった。

4位乾陽人・3位伊藤隆洋はともに、1次予選から細い細い糸をたぐってこの決勝戦までやってきた。この試合には雀王戦C1リーグへの特別昇級もかかっていたが、今日のところはお預けになった格好だ。

2位の楠橋は、第13・第18期BIG1カップで優勝しており、ルールが似ている今大会は、今後も活躍することが大いに予想される。

若い人たちの邪魔をするおじさんの顔を、覚えておこう。ちなみに筆者も同い歳。

茨城は今季、雀王決定戦への進出も濃厚なポジションにおり、2冠・3冠も視野に入っている。今後の活躍からも、目が離せない。