第21回オータムチャンピオンシップ観戦記(2回戦)

【担当記者:みやうち悠太】

東家:乾陽人(C2リーグ所属)
南家:楠橋思(B2リーグ所属)
西家:茨城啓太(A1リーグ所属/現オータム覇者)
北家:伊藤隆洋(関西B2リーグ所属)

初戦を制したのは楠橋思。5万点を越える圧倒的なトップで決勝の主導権を握った。
打点が伸びにくく、順位点も5-15と協会の通常ルールと比べて控えめなオータムCSのルール下において、この開幕スタートダッシュが持つ価値は極めて大きい。

しかし、栄冠までの道のりは残り4半荘とまだまだ長い。独走を狙う楠橋と、猛追を誓う三者という構図で迎えたこの2回戦。

この半荘で牙を剥いたのは初戴冠を狙う乾陽人だった。

【東三局】(ドラ:麻雀牌:二萬)
乾:31,000 /楠橋:27,400 / (親)茨城:32,600 / 伊藤:30,000

乾がまず大きな和了を決めたのが東三局。

二面子と麻雀牌:八萬の対子があり、タンヤオも近く、アガリまで一直線に見える好配牌。 メンタンピンが見えるなら、と他家に重ねられる前に麻雀牌:発から切っていく。

3巡目にはドラの麻雀牌:二萬に麻雀牌:三萬がくっつき、早くも一向聴。

そして4巡目、乾の手元に舞い込んできたのは更なるドラの麻雀牌:二萬。一気に勝負手の色を深めると、

続く5巡目には麻雀牌:八萬を暗刻にしてあっさりと聴牌。カン麻雀牌:七筒の愚形ながらタンヤオがつくため、ここは当然のダマテンを選択する。この時点で麻雀牌:七筒は楠橋が対子、伊藤が孤立牌として保持しており、両者のツモ次第では出アガリが十分に期待できる状態だった。

6巡目、伊藤が麻雀牌:八筒を引いたことで伊藤からの出アガリが難しくなった直後、乾は麻雀牌:五筒を引き入れて、待ちを麻雀牌:四筒–麻雀牌:七筒のリャンメンへと変化させる。ここでリーチに踏み切る選択肢もあるが、一発・裏ドラがなく素点が重く響くオータムCSルールにおいて、通常ルールと比べるとリーチはメリットが薄く、他家の警戒だけ高めて出アガリ率を極端に下げてしまうリスクを伴う。他家の足を止め、悠々とツモりに行くリーチも一興だが、場に字牌が場に安く、数牌が持たれていそうな場況の尖張牌含みの待ちは、両面とはいえそうそう都合よく山にはいない。

この勝負手をリーチ棒払ってノーテン罰符の3,000点で終わらせるにはあまりに惜しい。5,200点の出アガリであっても、オータムCSルールにおいては通常の満貫に等しい価値がある。状況を冷静に見極めた強気のダマテン継続だった。

すると、この判断が即座に結実する。8巡目、楠橋がリャンメン固定のために切り出した麻雀牌:四筒を捉え、乾の5,200点のアガリ。

結果論ではあるが1回戦目で大きなトップを決めた楠橋とトップラスとなる最高の選択となった。

【東四局 一本場】(ドラ:麻雀牌:六萬)
乾:31,200 /楠橋:18,200 / 茨城:27,600 / (親)伊藤:43,000

しかし、ここで黙っていないのが伊藤隆洋だった。
東四局に現覇者・茨城とのめくり合いを制し、圧巻の4,000オールをツモアガる。
半荘の主導権を握る決定的な加点となった。

勢いに乗る伊藤は、続く一本場、10巡目にもさらなる追撃を狙って先制リーチ。

純チャン・三色を見据えた手組みをしていた乾は、

手に愚形も残っており、防戦を強いられる展開となる。

15巡目、慎重に回っていた乾の手元に絶好の麻雀牌:二筒が舞い込み聴牌。
麻雀牌:九索を切り出せば、場況の良い麻雀牌:一萬–麻雀牌:四萬待ちで平和のテンパイが入る。だが、この時点で通っていない筋はわずか8本。しかも麻雀牌:九索は、伊藤のリーチ宣言牌麻雀牌:七索の跨ぎ筋にあたる危険牌だった。

実際、伊藤の待ちはまさにその麻雀牌:六索–麻雀牌:九索。一歩踏み外せば5,800は6,100の直撃を被り、苦しい立ち回りを強いられる一触即発の場面である。

ここで乾は踏みとどまった。現物の麻雀牌:三萬をそっと捨て、麻雀牌:二萬単騎のダマテンに受ける。

既に乾以外の2人はオリに回っているような打牌を見せている。無理にピンフドラ1の2,000点を和了らずとも、聴牌を維持できれば1,500点のノーテン罰符の収入が入る。普段より1000点の価値が高いため仮テンであっても半荘の行方を左右する「勝負手」になり得るため極めて冷静な判断だったと言える。

すると17巡目、その繊細かつ見事な守備意識に応えるかのように、乾の手元へ手繰り寄せられたのは麻雀牌:二萬だった。

ツモ・ドラ1の500/1000の加点。

伊藤の「一人旅」を寸前で阻止する、2,000点以上の価値のあるアガリとなった。

【南四局】(ドラ:麻雀牌:白)
乾:35,400 /楠橋:12,000 / 茨城:31,900 / (親)伊藤:40,700

トップに立つ伊藤と5,300点差で迎えたオーラス。親番の伊藤を逆転するには、1000/2000以上のツモアガリか3200点以上の直撃が必要となる。

素点重視のルールとはいえ、1回戦で4着スタートを喫している乾にとって、喉から手が出るほど欲しいトップ。狙える状況であるならば、一切妥協する気はなかった。

乾はドラの麻雀牌:白を大切に抱えながら、手役の柱となるメンタンピンを見定めた柔軟な手組みで進める。

7巡目に絶好の麻雀牌:三萬を引き、

8巡目に麻雀牌:六筒をツモると、

10巡目には麻雀牌:三筒を暗刻にしてあっさりとテンパイ。

この時点でドラの麻雀牌:白を残して、ツモ・ドラ2の1000/2000を狙う手もあった。

しかし乾は、あえてドラの麻雀牌:白を手放し、麻雀牌:四索単騎のダマテンを選択する。麻雀牌:白をツモれば理想的だが、他家に持たれている可能性も高く、後々残しておくと致命的な放銃となる可能性を見越して、麻雀牌:四索のくっつきや萬子の多面張を見据えた一打であろう。

迎えた13巡目、乾の手元に舞い降りたのは麻雀牌:八筒。 麻雀牌:七筒麻雀牌:八筒の変則多面待ちに受けることができる。 自身で麻雀牌:七筒を2枚切っているためフリテンではあるが、麻雀牌:九筒はすでに場に4枚切れ、麻雀牌:八筒も1枚切れと、山に残っている感触は十分。

長考の末、乾はリーチを打った。

乾の読みは的中していた。麻雀牌:八筒は山に2枚眠っていた。

17巡目、乾が引き寄せたのはその麻雀牌:八筒。ツモる手に力がこもる。1000/2000のツモアガリ。劇的な逆転トップをさらった。

初戴冠を狙う乾の「強気のリーチ」と「強気のダマ」が光る結果となり、準決勝2回戦以来のトップ。

素点の差もあって茨城が一歩リードしたものの、1回戦とは真逆の着順となったことで、ポイント戦線はほぼ振り出しに戻ったと言える。残り3半荘、タイトル戦の行方は、一層その暗雲を深めていく。