第21回オータムチャンピオンシップ観戦記(3回戦)

【担当記者:内田慶】
楠橋が決勝の舞台にやって来た。
決勝の舞台で私と20代の青春を共に過ごした男がいる。
我々が以前に所属していた「麻将連合」の公式戦の準決勝や決勝で同卓したことが何度もある男「楠橋思」。
彼が場所を変えて当協会の公式戦の決勝でどう戦うのかが、非常に気になる。
2003年から共にマージャンの世界に身を置いた決勝進出者がどのように戦うのだろうか。私のことだから、きっと楠橋に感情移入して観てしまうだろう。
ということは、今回は多分に観戦記というより応援記だ。
仕事を発注してくださった方の意図とは外れてしまって申し訳ないのだが、それも配牌の良し悪しと同じように許してもらえたらと思っている。(以下、敬称略)
一回戦は楠橋、茨城、伊藤、乾の並びで終わり、二回戦は真逆の並びで点差はあってないようなもの。
ここでのトップ者が優勝争いから外れることはないだろうなというのが戦前予想だった。
東1局は楠橋が門前のフリテンテンパイを引きアガり、500/1000。
東2局は伊藤のテンパイ、乾のドラドラ、茨城のトイトイを全部蹴とばすタンヤオチートイツをアガり、3200の好発進。1枚切れの南マチにもできたところだが、選択が正解となって気分はいいだろう。

なんだよやるじゃないか。くっしーよ。声をかけたくなる。
当時楠橋は京都のマージャン店で働いており、しばらくしてから大阪の難波店に移動。いわゆる地方から上京して対局に臨んでいた。また全国津々浦々で今も開催されているミューカップにも積極的に参加していた記憶がある。
そんな楠橋から「うっちーはホント、マージャンが好きやねんな」と何の気なしに言われたことがあるのを思い出した。それだけで少し誇らしくなったのも覚えている。俺達は、麻雀で20代に得たものも失ったものもあったんだよなぁ。
次局は乾がハネ満まである楠橋のイーシャンテンをかわし、1000点をアガリ、東4局の楠橋の親では茨城はを暗槓 してリーチと出る。

打牌に窮した乾のトイツ落としに伊藤が高目マンガンのチーテンで応戦。

結果は茨城に軍配が上がり、2300を勝ち取り南入へ。ここで乾が存在を主張しだす。
乾がピンフをアガリ、局を進め、自身の親番で、積極的にリーチ。
乾
ドラ
ここに北家の茨城が高目ツモでマンガンクラスの追いかけリーチ。
茨城
ドラ
二軒リーチにも押しを重ねる伊藤にも超ド級のテンパイが入り、男らしく追いかけリーチ。
伊藤
ドラ
頭を下げる楠橋の目の前を銃弾が飛び交う1局となったが、アガリは乾で1000オールとおいしい供託をものにし、楠橋からトップ目を奪い取る。
楠橋も黙っていられない。
タンヤオ三色のチーテンを入れ、高目三色の伊藤のリーチを蹴散らし、微差ながら再度トップ目へ。
南3局に楠橋が先制テンパイ。

私はヤミ聴に構えると思っていた。何なら4巡目にを切っていそうなので、この形になっていなさそう。
しかし楠橋はここでリーチを選択。
確かに茨城の捨て牌に索子はめちゃ安。自身の目からが4枚見えていて
が、使いにくいこともわかる。
ただ、ラス目の親伊藤が簡単にオリを選択することはなく、自身はトップ目で、同じ土俵に立つ選択を避けたいからだ。–
をチーしても役ありになるわけだし。
案の定、楠橋の捨て牌に合わせたを親の伊藤がチーをする。楠橋はどう思ったのだろうか。
伊藤
チー
ドラ
イーシャンテンだがドラドラの手格好。
くっしーよ。その選択をしたなら結果を出してくれ。どんな形でもいいからアガリ牌を手にしてくれ。
歳を取り、麻将連合を辞め、また、その後所属した最高位戦を経て協会へ入ったあなたは生半可な向き合い方じゃないはずだ。
真のプロとか、Mリーグとか、そんな気配がない時代から競技マージャンに取りつかれ、時間もお金も使い、何年も何年もマージャンと向き合っているあなたが報われてもいいはずだ。その権利はあるから自分の判断を信じて結果を出してくれ。自身の決断に身をゆだねて、大きく手足を伸ばしてくれ。心の底からそう思った。
結果は楠橋が伊藤のテンパイ打牌をとらえて、たった1300のとても大きなアガリ。
最終局となった南4局はトップ再奪取をもくろむ乾のリーチと、倍満のツモアガリまであった伊藤の仕掛けを受けて、ラス親楠橋がテンパイ形からノーテン宣言をして3回戦のトップを勝ち取る形となった。
楠橋の調子が良い。打牌にも不自然さがほとんどない。戦前予想通り、この優勝争いからおいて行かれるケースはほぼないだろう。不安があるとしたら、我々中年男性は体調面での集中力が切れることぐらいか。まぁそれも今まで何とかしてきたことだし、これからも付き合って競技マージャンに取り組むしかない。
楠橋の戦いはまだまだ続くのであった。










