第24期雀竜位決定戦観戦記 最終日(11回戦)

【担当記者:武中進】

全選手敬称略


現雀竜位の安藤が2日目足切りとなった。
これにより誰が勝っても初の雀竜位、そしてタイトルの初獲得となる事が決定している。

現在トップを独走しているのが大川冬馬。この決定戦でここまで2回の役満を含め、他4人の心をへし折るかのような和了を連発してこの最終日を迎えている。
だが逆に言えば2日目終了時から今日まで彼が尋常ならざるプレッシャーを感じながら過ごしてきたであろう事は想像に難くない。競技選手にとって一番悔しい負けとは十二分な手や展開に恵まれながらも優勝を逃すような事態だからだ。
「ここまで天運に恵まれてきた中で最終日にすべてを失うわけにはいかない」そんな思いを抱いているのではないだろうか。

そんな大川としてはぜひともこの11回戦でトップを取り他3人に引導を渡したい所、無論他3人はその逆である。
特に渡邊と澤崎はここで大川より下の着順となれば事実上の敗北となる土俵際の状況だ。

そして東1局を制したのは起家を引いた大川。
10巡目に僥倖のドラ表示牌麻雀牌:三萬を引いての3面待ち満貫確定リーチ、これをドラ3枚の勝負手を入れていた渡邊よりロン和了。いきなりの12000でとりあえず緊張がほぐれた所ではないだろうか。

一方で他3人、特に放銃した渡邊にとっては早々に敗退が決定しかねない最悪の立ち上がりである。
そして東場はここから渡邊サスペンス劇場が開幕する。

次の東1局1本場では渡邊がメンタンピンの先制リーチを打つも、澤崎の追っかけリーチの当たり牌を一発でキャッチ。しかも裏2枚で12000は12300。

続く東2局は優勝のために絶対に流せない親番のなかで最後の最後に澤崎の当たり牌をつかんで2600の失点、さらに東3局、今度は尻無濱のリーチにドラがらみのホンイツで真っ向勝負した結果放銃、これが裏2枚で12000、なんと東3局にして全員に12000を放銃するという惨劇。

更に東3局1本場でも渡邊は先制リーチ後に尻無濱のアガリ牌をつかみ、気づけば以下のような完全一人沈み。
大川 37,000
渡邊 ▲19,100
尻無濱 41,200
澤崎 40,900

この展開、渡邊にとってご勘弁願いたいのは言うまでもないのだが、実は大川にとってもあまり望ましくない展開なのである。
東1局の12000で順風満帆な船出だったはずが、気付けばあっという間に2人に並ばれている。このままだと渡邊を優勝争いから脱落させることはできても他2人には次戦以降も十分な目を残す状況になりかねない。

いくつかのアガリや流局があった後、大きく場が動いたのは東4局3本場、澤崎が4000オールで抜け出す。

これで澤崎に大きく離された大川としては、最悪トップは譲るとしてもせめてトータル2番手である尻無濱よりは上に行きたい所だろう。小さいアガリとノーテン罰符で一時はそれを達成していたが。
南1局1本場の尻無濱が渡邊との競り合いを制しての3000、6000は3100、6100で一気に状況をひっくり返す。
東場ほどではないにしても渡邊サスペンス劇場が南場も引き続いている結果、大川にも逆風が吹く展開。

これにより澤崎も射程範囲内に入った尻無濱、迎えた南3局の親番で2900は3200を大川よりロン和了で5万点オーバー、澤崎が57,700でいよいよトップが見えてきた。
が、澤崎が2本場に1000、2000は1200、2200でこの親を流す。

澤崎はもちろん大川もこの結果は胸をなでおろしたのではないだろうか。
そして澤崎がオーラスも逃げきってのトップとなった。

大川にとって自身のラスは手堅く回避しつつ尻無濱トップは回避できたと考えると上々の立ち上がりに見えなくもない。
が、とにかく素点を澤崎・尻無濱に叩かれた点はかなり嫌な展開と言える。残り4半荘での約200P差、これは協会ルールでは十分な射程範囲、しかもまだ2人が自分を射程範囲にとらえているわけだ。

一方の渡邊はほぼ敗退決定と言える痛いラス、残り4半荘での390P差というのは絶望的と言っても過言ではない。

泣いても笑っても残り4半荘、あと数時間後には第24期雀竜位が決定する。