第22期雀王決定戦観戦記 1日目(4回戦)
第22期雀王決定戦観戦記
1日目 4回戦
【担当記者:坪川義昭】
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3回戦を終えて堀が2勝と一歩リードしたが、20回戦の内の序盤戦ということもあり4位の浅井雀王も悲観している様子は一切ない。長い長い決定戦の序章に過ぎないわけだ。
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矢島は常日頃からその半荘の勝利を決める決定打に対する意識が非常に高い。
この手牌に関しても中途半端な打点になるルートを削除していき、遠回りをして最終形を模索する。
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こうやって満貫は作るんだよ?というお手本のような手順だ。大多数の人間はこのイーシャンテンにはなっていないのではないだろうか。
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今回はリャンメンテンパイとなったものの矢島的には入り目は最悪ではある。しかし、ここが妥協点。
待ちは悪くないが気の進まないリーチだろう。
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こちらは役牌のをポン。勿論1000点でアガろうという気持ちは一切ない。
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テンパイが入るもただアガる為に仕掛けを入れたわけではないのだ。
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すぐに1000点が5200点へ変化を遂げる。なんだか魔法を見せられているかのような芸術点の高い仕掛けである。河にを手出しで並べているこのタイミングであれば次の手出しまではかなり出アガリも見込める。
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この局は今までと少し状況が違う。
矢島がホンイツやトイトイ、三色などを執拗に狙うのはトップを決める謂わば貯金を貯める為の手組みなのだが、今回は既にドラが3枚内蔵されており、どう転んでも高打点になる。選択肢はいくつかあるが、待ちとして優秀なソーズを払うのにかなりの勇気がいる。全方向からのポンでもテンパイを入れることを重視して
を河に置いた。
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理想的なテンパイを組み、これ以上ない最終形が完成する。自分が想像する最高は逃さない手筋が勝利へのルートだと後輩達に教えてきた矢島はそれを証明する為に勝負手を組み続けていく。
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ダブ南が鍵となるこの手でも同様である。アガり形にピンズもソーズも必要ないと思えば敢えてから切っていく。仲林に
が現物、堀と浅井には
が通っているので片筋の
を温存し、全員に両無筋の
と先に並べていくわけだ。実に理論的なホンイツの手組みになっている。
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道中の妥協は一切許さずに、テンパイした時には高打点が決まるように組むのが矢島流。この半荘の矢島のアガリはなかった。
他のプレイヤーが座っていたらアガリはあったかもしれないが、矢島のように全て高打点のテンパイを組めたプレイヤーは他にいないだろう。後一牌が引けなかった。1回の半荘で一喜一憂などないとは思う。最後に優勝するのが矢島のミッションなのだから。
この矢島流で優勝を願う弟子達が画面の向こうには数え切れないくらいいる。
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決定戦前日に矢島は後輩達の為に勉強会を開催した。心身の調整、対戦相手の研究、ルーティン。
やりたいことは無限に存在するとは思う。そんな自身の人生が賭かる一戦の前日にだ。
矢島は弟子達の希望を今日も一人で背負って戦い抜く。
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