第12回チャンピオンロード ～雀王シリーズ～

決勝レポート

【担当記者：坪川義昭】

『明日A1リーグ第7節で負けられない対局控えていますので、本日も一切手を抜かず全力で戦います！宜しくお願いします！』
今回の雀王シリーズのゲストである第16.17期雀王の金太賢だ。
A1リーグでの勝ち方を1番知り尽くしている男だが今年は珍しく苦しい立ち位置に追いやられている。今大会では初戦に特大のトップをもぎ取り、会場を騒然とさせた。

『明日手術がありますので、少しの間麻雀が打てなくなるのですが、皆さんと麻雀が出来て光栄です』
続くは第5期雀王の須田良規。
昔から足が悪く、人工関節を入れる手術を明日受ける。周りにもその知識を持つ者は少なく不安でいっぱいだろう。著者もそんな経験を持つ者はプロレスラー武藤敬司しか思いつかない。
足の影響もあってか成績もイマイチ乗らない。
短期決戦の4回勝負でノートップの須田は次のステージに進めずここで敗退。
またこの舞台で元気な姿を見せて欲しいと切に思う。

4回戦が終わってこのスコア。32人が5回戦に進出した。
初戦に特大のトップを獲った金もそこから失速してしまいここで姿を消した。
ここからは一戦終える度に半分以上が足を切られていく。決勝に残ったのはこの4人。

1位　やす。　+292.6p
2位　伊藤凌馬　+256.0p
3位　はじめ　+238.4p
4位　丹雄飛　+225.5p

1位〜4位まで多少のポイント差はあれど結局のところは最終戦でトップを獲った者の優勝と考えて良いだろう。

東3局に丹が12000をトータル首位のやす。から直撃に成功する。
しかし、次局やす。が3000-6000をツモアガった後、2人の歯車が噛み合い始める。
リードする丹が手を進めるために手牌から弾き出される牌は下家のやす。の必要牌で仕掛けが捗る。
はじめ、伊藤の親はアッサリと消化されていき2人の勝負となった。

オーラス。
やす。が4000オールを引いたらほぼ並び。
丹はそれまでに試合を終わらせたい。
仕掛けてやす。がテンパイを入れたところで丹の手が止まる。

場にはが一枚切られているのだが、をポンされている。
色々な意見が本人にもあると思うし、見ている側にもあるとは思う。リスクとリターンの比較も難しくはある。

敗因と勝因は紙一重だ。
一つ息を吐き丹はリーチを宣言した。

ここからはあっという間だったような気がする。全員の手牌は見てないのだが、リーチと宣言した瞬間に勝負が決まったように思えたのだ。
勝因としては不恰好な手牌なのだが、勝負師としては最良の選択だった。

丹はこの優勝で3月に行われるグランドチャンピオン大会出場の権利を手中に収めたのだが、他３人もまだまだ可能性は十分にある。

まだ道半ばなり。
３人の眼は既に次戦に向けられている。