第25期新人王戦決勝観戦記(最終戦)

【担当記者:五十嵐毅】
今回の新人王戦決勝は、実質、3回戦で終わっている。
5回戦で梅岡が3連勝。残る2回で梅岡を上回る回数のトップを取ることは何人にも不可能だからだ。
4回戦、梅岡はラスを引いたが、それでも+151.4のポイントを持っている。残る3人はマイナス、いわゆる3コロ状態である。いずれにもほぼ不可能な条件が付きつけられている。
新人王に誰がなるかの戦いはほぼ終わっているが、この場に座っている者として自身のできる最高のパフォーマンスを見せなければならないだろう。いずれも入会5年以内、先は長い。今後のためにも良い経験になるはずだ。
座順・速水-陰山-小野-梅岡
東1局、西家の小野がドラタンキのリーチを敢行。

親の速水がホンイツのテンパイで打ったを見逃す。

みんなで親番を長く続けて梅岡の点棒をとことん削り取らなければならない。このドラタンキをアガるのはツモったときだけ――小野のそんな声が聞こえてきそうだ。
結果は小野が速水に7700を放銃。

解説の仲林圭はしきりに「この見逃しは(流局して)みんなに見せたかったねえ」と言っていたが、視聴者は目にした。小野の侠気を。
東3局、陰山がピンズのメンチンをテンパイする。待ちはペン。

仲林は「四暗刻まである」と叫んでいるが、が場に2枚出ているのでそれは難しい。
それよりも、この局は梅岡がソーズのホンイツをやっており、このは止まらない。もしも直撃できたのなら、少しはざわついたのではなかろうか。結果は梅岡の満貫ツモ。この日はどこまでも梅岡の日らしい。
陰山は43歳とこの中ではかなり年長。広島で長く麻雀店に勤めていたということで、キャリアも豊富。細かな技術に長けていて、最もバランス良く打てていたと思う。それが2着3回という成績に表れている。梅岡の出来ががこれほどまでにすさまじくなかったら、陰山の技術が生きる展開になっていたら、盛り上がる接戦の戦いになっていたと思う。
トータルポイントで2位、この半荘も3万点超えで梅岡に次ぐ2番手に着けていた速水、南1局の親番で終盤形テンを入れられたが、をポンしていた梅岡のツモアガリで親番終了。
南2局、親の陰山はホンイツ七対子の大物手に向かうもテンパイできず。じたばたせずに、運命を受け入れたかのような終わり方であった。

南3局、小野は粘って連荘したが、3本場で頼みのが鳴けないままで形テン、ここにドラ
アンコの梅岡がリーチ。このカン
はヤマに残り1枚だったが、小野はこのままではアガることができないテンパイである。
カン待ちの小野、
を持ってくると
を加カンして
–
待ちに。フリテンだが、どうせアガれるテンパイではない。だが、この瞬間にリンシャンから
をツモればアガれる。ここはカンする一手。

しかし、リンシャンに寝ていたのはラス牌のだった。
カンドラ、カン裏
を3枚を乗せて勢い余って倍満に。この日の梅岡は世界一強かったにちがいない。

オーラス、親の梅岡はアガる気はないのに手が勝手にピンフでテンパイしていた。もちろんアガるわけはないのだが。
逆転優勝にはダブル役満直撃というあり得ない可能性しか残っていなかったが、中盤で字牌の出具合からダブル役満の可能性も消失した。立会人にその権限があるのなら、この時点でコールドゲームを宣してオーラスの得点収支にX(エックス)を書き込んで終了しただろう。それほどの圧勝劇であった。
梅岡泰己、25期前期入会。つまり、入会してすぐに新人王となったわけである。これは第10期の逢川恵夢など、ほんの数人しかいない。
さらにまだ20歳、昨年の貞徳祐伸も21歳と若かったが、最年少記録を塗り替えた。
「この日の梅岡は世界一強かった」と書いた。それほどツイていたのは間違いないが、4回戦で仲林がベタ褒めしたラス落ち覚悟の差し込みなど、競技的な技術をこの歳ですでに身につけているのは驚愕である。
この決勝1週間後の「リモトーーク」で、飛躍的に上達したのは「大学で麻雀サークル(70~80人もいるらしい)に入ってから」と答えている。リーグ戦的なことをやっていて、トータルポイントを考えた競技的な打ち方もここで修練されていたようだ。
優勝おめでとう。協会にとっては将来楽しみな「恐るべき新人」である。







