第25期新人王戦決勝観戦記(3回戦)

【担当記者:武中進】

※全選手敬称略
この半荘が実質的には1,2回戦と連勝を決めた梅岡に対する3者の最後の抵抗だったと言っても過言ではないかもしれない。
結果から先に言ってしまえば、梅岡はここも制して3連勝、しかも1,2回戦を連続2着にまとめ彼を追走していた陰山を4着にする文句のない結果で優勝をほぼほぼ手中におさめる事となった。

が、この結果に至るまでの間に3者が見せた新人王という栄冠を得るための必死の抵抗は、同じ競技選手として心揺さぶられる内容だった。それを紹介していきたいと思う。

まず東1局は陰山が梅岡からメンタンピンの3900を直撃する。


最初のテンパイ形である麻雀牌:五筒麻雀牌:八筒は場のピンズの状況を考えて慎重にダマテンとして、マンズのピンフ形にしてからのリーチ、そして梅岡からの直撃。裏もぜひ欲しかったところではあるが感触の良いスタートだっただろう。
少々意外だったのはこれに梅岡がオリなかった点だ。まだ先も長い中で「守りを意識しすぎずに攻める」という意思表示にも見える1局だった。

東3局1本番には小野が2000/4000は2100/4100、そして梅岡が親かぶり。これにより3者念願の梅岡ラスが現実味を帯びてくる。

そこから場が大きく動いたのが、この半荘のターニングポイントの一つになった南2局。
まずここまで苦しかった梅岡に勝負手テンパイ、高めの麻雀牌:五筒ツモなら一気にトップ戦線へと躍り出る跳満となる手。

これに対抗したのが速水。一発目に梅岡の高めアガリ牌である麻雀牌:五筒を引かされて以下の形。

ここで麻雀牌:五筒を切って放銃する打ち手もかなりいると思う。
決勝というトップ取りの舞台で現状首位の梅岡がリーチで首をさらしている状況、ストレートにそれを打ち取りにいくため目いっぱいの勝負形にするのは正しい選択の一つだ。
しかし速水ここをぐっと我慢して麻雀牌:二萬をツモ切る。

一方で次巡に引かされた無筋の麻雀牌:二索は勝負してイーシャンテンに踏みとどまる。ただ逃げているわけではない。
そして次に引いた麻雀牌:六筒でまた分岐点に。

安全度でいえばマンズの麻雀牌:七萬麻雀牌:八萬落としかもしれない。
しかしこの勝負手を梅岡から直撃する千載一遇のチャンス。速水はここから最高形での勝負を決断して麻雀牌:九筒切り。
結果次巡に最高形でのテンパイに。

しかしこれはつまり梅岡の高めアガリ牌である麻雀牌:五筒の放銃という結果を意味する。
裏こそ乗らなかったが8000点の放銃により梅岡がラスを脱出。

悲しい結果になってしまったが、この局の速水には本当に拍手を送りたい。
ギリギリで踏みとどまりつつ、決勝という勝負の場を考慮した素晴らしい選択だと個人的に思った1局だ。

そんな速水、次局は早々にピンズのホンイツでテンパイ。
途中で麻雀牌:発の加カンもし新ドラものって跳満まで打点をあげ、リーチをかけていた陰山からホンイツ・發・ドラ3の12000をあがって失点をリカバリー。

が、この結果に速水本人よりも歓喜したであろうは梅岡だ。
当面のライバルである陰山の勝負手をつぶし、かつラス目に叩きおとすこのアガリ。解説も「梅岡は心の中で踊り狂っているだろう」と形容した最高の横移動といえる。

気づけば梅岡を大きく後押ししているような展開が続き、そしてオーラスへ。
現状トップ目はラス親の小野、このまま伏せれば残り2半荘に望みをつなげるところ。
速水はぜひともトップを奪還したい。
陰山は1,2回戦連続2着の立場ゆえ速水さえ捲れば優勝はまだまだ現実的な立場。

まず最初にテンパイしたのは陰山。
しかし満貫ツモでも梅岡を捲れないゆえにダマテンでの手代わり待ち。

その直後に梅岡もテンパイ。ツモ裏1でトップになるゆえ当然のリーチ。

しかしこれで陰山も満貫ツモでの着浮上になった為、即追っかけリーチ。
ここに速水も三色のドラ麻雀牌:南のタンキで追いつく。リーチ棒2本のおかげでどこからの出アガリでも小野と同点トップ。

このままの流局or陰山のアガリによるトップ逃げ切りを願う小野。
自身のアガリでトップを奪還したい速水。
梅岡直撃orツモでの着浮上にかける陰山。
しかし現実は残り自摸2回のところで梅岡の手が開かれる非情な結末だった。
めくられた裏ドラ表示牌が3者の心もへし折らんとする非情の2000/4000。
冒頭で書いた通り、この速水の3連勝+陰山のラスという結末で今期の新人王戦は実質決着と言っても過言ではないものとなった。

改めて振り返って、たった一つのかみ合わせの違いが結末に大きく影響する麻雀の怖さを痛感させられた半荘だったと感じる。
東場の陰山や小野のアガリに裏が1枚乗っていれば、南場の速水・陰山の牌の後先が1つ違っていれば、梅岡はもっと苦しい立場でこの半荘を終えた事だろう。すべてのたらればを語ればきりがないが。
それらをすり抜けて会心のトップを取った梅岡が新人王をほぼ手中におさめたこの半荘、しかしここまで記した3者の内容も決して劣るものではなかった点を改めてこの記事の締めとして記しておきたい。