第21期雀王決定戦観戦記 3日目(13回戦)

日本プロ麻雀協会 第21期雀王決定戦観戦記 3日目

第21期雀王決定戦観戦記
3日目 13回戦

【担当記者:武中進】

現時点のスコアは以下の通り。
浅井 +101.5
渋川 +59.6
松本 ▲74.0
仲林 ▲87.1

12回戦はオーラスに渋川が4000,8000を決めて起死回生のトップ、
これによりいよいよ現状首位の浅井をとらえる位置まで迫っている。

座順は渋川、浅井、仲林、松本で開始。
そして開始直後、渋川がなんと親のダブルリーチを宣言。


ツモ山から最後に引いたは今一つの牌ではあったが打点は7700以上で十分。
13回戦の勢いのままにまた渋川がポイントを稼ぎ、ついにトータル暫定首位の浅井を捲るのか、、、

と思っていたがそれに待ったをかけたのはその浅井だった。

渋川のリーチに対してオリようと思えばを抜くこともできた、またダブリーの現物待ちゆえのダマも選択としてありえた。
しかし浅井はそれらを拒否しての真っ向勝負。
暫定首位といってもまだ先は長い、いや暫定首位だからこそのアグレッシブな選択にツキも引き寄せられたかのような裏2。
ダブリーの渋川に親かぶりをさせる大きな3000,6000で最高のスタートを切る。

この半荘、この後も渋川にとっては苦難の連続だった。
勝負手を何度ももらいつつもほとんどアガリに結び付けられない展開が続く。

東4局は松本への連続放銃でラス目になっていた仲林への8000放銃でついに持ち点1万点に。

ちなみに放銃前巡の渋川の手牌がコレ。

ドラ2良形の勝負手をもらいながらもしっかりと松本や仲林をケアしてピンズをから処理。
しかし直後に仲林がカンでテンパイしこれに放銃という最悪のめぐりあわせ。

南場に入っても逆風は続く。
南2局は四暗刻イーシャンテンの手牌をもらうが、リーチを入れていた松本の現物であるで浅井に3900を放銃。

ちなみにこの局の渋川・浅井の選択がちょっと面白い。

まず浅井。
アガリ前巡の選択が以下の通り。

トップ争いのライバルでもある松本のリーチを受けてテンパイには当然とると思ったが、を切っての待ちではなく、を切っての待ちとしている。

リーチの松本に対する危険度はもそこまで大きな差はない局面、そしてが場に3枚見えているため待枚数の差はわずか1枚、
その中で松本だけでなく仕掛けを入れてる仲林や渋川をケアした打牌とダマテンの選択がなんとも趣深い。
豪胆な打点派の選択を好みながらも卓上の様々な情報に配慮をする浅井らしい選択に見えた。

そして渋川。
この局は四暗刻のイーシャンテンの形をもらった中で点棒状況も踏まえてかなり大胆な進行だった。

5巡目の松本のをポンしない選択や、6巡目にのメンツを使ったリーチを拒否している点は自然な選択に思えたが、松本リーチ後に自風であり鳴けば5200以上が確定するをポンしなかったのは意外だった。

この半荘のラス脱出を考えればポンして勝負が十分に割に合うように見えたが、この状況でも役満を大胆に目指しそれが難しい場合にはリーチにしっかりオリ(結果は脇への放銃ではあったが)、これが渋川流のタイトル戦決勝バランスとでも言うべきか、彼らしい打点と押し引きのバランスを見せつけてくれた。

この次局、南2局1本場は渋川が浅井に7700は8000を放銃、これによりこの半荘の大勢は決した。
その後ダンラスの渋川が仲林から8000をアガリ、コンスタントに加点を続けていた松本が浅井を追いかけるも特に波乱なく終了。
浅井が現状2位の渋川とトップラスを決めてこの13回戦で頭一つ抜け出す結果となった。

まだ残り7回あるとも言えるが、7回しかないとも言える、
そんな中で最下位の仲林は浅井と285.7P差、これ以上離されるといよいよ優勝に危険信号がともる。
3日目半ばにしていよいよ一つ目の勝負所を迎えつつあると言えるだろう。