第21期雀王決定戦観戦記 1日目(3回戦)

日本プロ麻雀協会 第21期雀王決定戦観戦記 1日目

第21期雀王決定戦観戦記
1日目 3回戦

【担当記者:佐治敏哲】

開幕2連続4着と苦しいスタートとなった現雀王渋川。
優勝確率30%(本人談)を少しでも高めたいところだ。

東1局

ここからを切ってダマテン。
タンピン変化狙い、仮に出てもアガらないだろう。

数巡後に持ってきたで手が止まった。
三色とタンピン変化を見て切り。
は平和が消える代わりに三色がつくので、実質の裏目はだけだ。
すぐに待望のを引き、再度ダマテン。

国士模様の変則手の2人から高めを狙った冷静な選択。
メンツ手進行だった松本から余ったを捉えた。

 ロン ドラ

次局1本場は浅井のアガリ。

 ロン ドラ 裏ドラ

ダマでも満貫の手だが強気のリーチ。
全20回の中で、この手を跳満以上にしないことがどれほどトップ率に影響するのか。
「7回以上トップを取れば優勝だろ!」
見ていて気持ちのいい有言実行の選択だ。

この大物手に捕まったのはまたしても松本。
めくり合いに負け、開始2局で箱下になってしまった。

松本は今期で麻雀プロ10年目、Mリーガーとしても5年目を迎え1つの節目と言える。
そんな円熟期に差し掛かった男がこのまま終わるはずがなかった。
2局連続のアガリで南入時点で10400点まで復活。

南1局、渋川が親番で再び牙をむく。

 ロン ドラ

タンヤオ一盃口ドラ3の親満をトップ目の浅井から直撃。
2着目の親でカンも入っていたためリーチの誘惑もあったはずだが、ダマテン大正解。
しっかりとトップ目に返り咲く。

南1局1本場、眩暈のしそうな放銃をした浅井だったが倒れない。

 ツモ ドラ 裏ドラ

三色かドラを使っての打点を見た進行が大成功。
最後の1牌を手繰り寄せ、再びトップ目に立った。

南3局1本場
南家の松本に早い仕掛けが入る。

   ドラ

6巡目であっという間の3副露。
ダブのポン、周りにはかなりのプレッシャーだ。

しかし渋川に戦える手が入っていた。

を鳴いてピンズの5面待ち。
対する松本は単騎のまま。
渋川が圧倒的有利と思われたが、松本が単騎に待ち変えした瞬間に渋川が引いたのはだった。

松本の最終手出しは。かなり危険に見える。
時間を使って考えるが、ここは仕方なく単騎に受ける。
松本に直前まで当たりだったをツモ切られた直後に持ってくる
カン待ちはフリテンかつ3枚切れであり受けられない。
そっとツモ切るとロンの声。
1牌の後先に泣かされ、痛恨の結果となった。

南4局は渋川と浅井の仕掛け合戦。

先制テンパイは浅井。
   ドラ

渋川も応戦する。
   ドラ

渋川はトップ目の浅井と6300点差。
ダブドラ1でツモアガリもしくは浅井からの直撃条件のテンパイだ。
浅井から出るを大明槓し、さらにも加槓。
浅井も一歩も引かず真っ向勝負の痺れる展開。
残り4巡と流局も見えてくるが・・・

勝負を制したのは渋川!
2000/4000のアガりで見事トップを決めた。

シーソーゲームの激しい展開を制した渋川。
三色の手作りや条件に合わせた仕掛け、ダマ判断。
2回戦までは苦しい展開だったが、現雀王としての意地を見せた。

一方で浅井は3連続2着。
悪くはない。僅差とはいえトータルもトップ。
だが常日頃からトップへの意識が強い選手だ。
リーグ戦首位通過の今期絶好調の男は、きっと満足はしていないだろう。