第21期雀竜位決定戦観戦記 2日目(7回戦)
第21期雀竜位決定戦観戦記
2日目 7回戦
【担当記者:中島由矩】
7回戦(安藤-小池-堀-江崎 抜け番・吉田)
「もっと上手く打ってたら、どんな結末になってたんだろう…」
アガリを逃がして顔をゆがめ、
痛恨の放銃に思わず首をうなだれ、
迎えられなかった望ましい決着を想像して、
残された山をひっくり返し、
私たちは日々牌と向き合う。
雀王に次ぐ2大タイトルの1つ、雀竜位決定戦も全3日間のうちの2日目を迎えた。
熟練の技を持つ選手たちの摸打に、麻雀の新たな一面や、自分が見られなかった未来を見つけたい。
6回戦を制した安藤がトータル+41.6ptで暫定首位に。
対照的に6回戦4着だった現雀竜位の吉田がトータル△64.5ptで5位になっている。
それでも両者のポイント差は106.1ptと、今後ひと波乱もふた波乱もありそうな状況だ。
東1局6巡目、まずは親の安藤に選択。
打として将来リーチを打った時ののつり出しや、マンズのリャンカン形に活路を見出したいところだが、安藤は打。
残したにドラのをくっつけ、マンズのリャンカンに頼らず新たにターツを作った。
南家の小池はピンズのホンイツ。
16巡目にを暗刻にしてテンパイ。
一発・ツモ・裏ドラなどが絡めば倍満まで見込める手に育てて迷わずリーチを宣言したが、ここは他家が対応して1軒テンパイで流局。
東2局1本場は安藤が、押し寄せる中張牌を上手くさばく。
–待ち高め三色の手に育て、こちらも即リーチ。
安めながらもこれをハイテイでツモり、リーチ・ツモ・タンヤオ・ピンフ・ハイテイの2000/4000は2100/4100、まずはリードを取る。
安藤リードのまま東3局を迎えた堀の親番。
ダブをポンしてからターツ選択。
堀は打とし、のターツを残してのターツを払っていく。
すると上家の小池からをチーすることに成功。
あっさりとダブドラドラの12000リャンメンテンパイを入れる。
しかしこの後は他家が丁寧に対応し流局。
東4局0本場は、北家堀の仕掛けから戦いの幕が開く。
1巡目にをポンした堀は、7巡目にツモでテンパイを入れるとを加カン。
堀に自由に打たせたくない親番の江崎は、堀のテンパイから2巡後にツモでテンパイを入れると、とのシャンポン待ちでリーチ。
江崎のリーチからさらに1巡後、ここに小池が追いつく。
追いついたのは、間違いなく追いついた。
しかし、リーチ宣言牌がになった場合、それは堀への放銃となる。
は元ドラの方で、仕掛けの堀はもとより江崎の親リーチに対しても無筋である。
しかし小池は正解を選ぶ。
打でカン待ちにしてリーチ。
勝負の天秤は右に左に傾き、先の先まで視聴者をいざなってくれる。
小池のリーチに対し、堀は一発でこれまた無筋のをつかむがプッシュ。
–待ちテンパイを継続する。
しかし、数巡後につかんだ小池のロン牌であるは手にとどめ、小池のリーチ宣言牌でもある打。
この局は手詰まった安藤がで親の江崎に放銃。
リーチ・表ドラ・裏ドラで7700のアガリとなった。
江崎はこのアガリで堀をかわしトップ目に立つ。
さらに江崎は南3局、三面張リーチを一発でツモり2000/4000は2100/4100を加点してトップを盤石なものにする。
南4局を迎えて、四者の点棒状況は下の通り。
トップ目の江崎は39500点。
親番なので連荘による加点も可能だが、ノーテンで伏せることもできる。
2着目の堀は25200点。
トップまでは満貫の直撃か、ツモなら跳満以上が必要。
3着目の小池が1100点差にいるため、こちらとの差を気にすることになるか。
3着目の小池は24100点。
なんとか2着をものにしたい。
4着目の安藤は11200点。
トータル首位なので敗退ボーダーまではまだ遠いが、満貫直撃や跳満ツモで着順アップ出来れば御の字だ。
各者がそれぞれの目的をもって激しく仕掛けていく中、ファーストテンパイは小池。
しかし1000点のため、ツモか堀からの直撃でないと2着にはなれない。
数ある麻雀のプレイの中でも、事前の準備が必要なことでは1・2を争う発声がここで出た。
「カン!」
大ミンカンだ。
上家のに機敏に反応するとリンシャンからをツモ、見事700/1300のアガリを決め着アップ。
7回戦トップは江崎。トータルでも首位に立った。
6回戦で無念の4着となった現雀竜位の吉田が、抜け番から明けて8回戦の卓につく。
残り3半荘で、3日目に行けない選手が1人出てくるが、今後はそこをめぐる争いにも注目していきたい。