第21期雀竜位決定戦観戦記 2日目(6回戦)

日本プロ麻雀協会 第21期雀竜位決定戦観戦記

第21期雀竜位決定戦観戦記
2日目 6回戦

【担当記者:武中進】

首位の小池から5位の安藤までわずか約30ポイントと大混戦。
ちなみに昨年も初日終了時は首位から5位までわずか21.2Pと、2年連続で大混戦の中での2日目となっている。

1回戦(小池-堀-吉田-安藤 抜番 江崎)

その東1局、東家の小池が4000オールの好スタート。

続く1本場は小池、堀の2人テンパイ。

2本場は安藤のリーチとの競り合いを吉田が制して1000/2000は1200/2200のアガリで原点付近に回復。
 ツモ 

吉田はこの半荘、とにかくアグレッシブな手組と仕掛けが多かった。
上記の染め手こそほぼ選択肢がなかったが、明らかに前のめりな仕掛け進行をする局が幾つかあり、今日の吉田の戦略が伝わってきた半荘だったと感じる。

しかし、積極性では負けていなかったのが堀。
次局の親番では吉田に負けず劣らずの全力進行。

カンチーして上記の形。
一つ目のチーはドラ表示牌ゆえにする人が多いかもしれないが、二つ目はかなりの大胆さ。
決勝ゆえの特殊バランスとも見えるが、それでも中盤・終盤にかなりの迷いを生むことにもなりそうなこの一手。
だがこういった綱渡りを平然と出来る精密なバランス感覚が堀の持ち味ともいえる。

一方でこの仕掛けを受けた堀の上家の小池

前述の通り堀が仕掛けた牌は小池の切った。つまりピンズはほぼ伸びが期待できない。
さすがに十分な勝負手だしこれで盤石の切りかとおもいきや、小池の選択は切り。
堀に対してソーズやあたりが打ちにくいのは解るのだが、この勝負手をもらった東2局と考えるとかなり消極的にも見える。

後に堀がを切ったのを見て、を完全に抑え込む進行に。
そして数巡かけてピンズを伸ばし、メンタンピン・ツモ・ドラの2000/4000をアガリきった。

高め三色の牌がフリテンとなる形を安めでツモってのこのアガリ。
もしも最初の段階でを切っていれば、すぐにマンズ待ちでのメンタンピン聴牌となっていた。
これがピンズを引き返しての満貫となる最終形は、まさに彼だけが作れる世界で一つだけオンリーツモとでも言うべきか。
だが「この形で張り返した以上はリーチ」という感覚は賛同できるし、その意志が生んだ大きなリターンともいえる。
これにより一気にダントツに。

が、ここに待ったをかけたのは安藤。
まず東3局は終盤にチートイツのリーチを吉田から一発でアガって6400。

序盤から中盤はメンツ手・トイツ手をしっかりにらみ、最後の待ち選択ではきっちりを勝負して出アガリしやすいと思われるでの待ちどりから一発での出アガリ。
まさにお手本のような進行といえる。

迎えた東4局の親番では堀から5800の出アガリ。
これでまずは2着目に浮上。

続く東4局1本場は堀のアガリ。
競技麻雀の教科書の様な染め手狙いでマンガンを作り上げ、リーチをしていた小池から8000は8300。
これにより小池と安藤の差も1万点を切る接戦となり南場へ入る。

先にこの半荘の結果に触れるが、トップ安藤、2着堀、3着小池、4着吉田となった。

小池は南1局の親番で2600オールをツモりリードを広げたが、南3局も堀に8000を献上。
満貫2回の放銃が大きく響く結果となった。

正直な感想として、小池の中での迷いが感じられる半荘だった。
2回のマンガン放銃だが、1回目は不可抗力の部分も大きい。
堀の2フーロがあったとはいえ自身もメンタンピンの十分な勝負手のため、勝負を決めに行くリーチも立派な選択だろう。

ただ南3局の放銃については、道中の進行を含めて前のめりになりすぎていた感はある。
限界まで広く構える進行とせずとも、まだ安藤とある程度の差があることを生かし、じっくりと進行もできた局面だった。
そしてリスク覚悟のフルスイングをするのであれば、東2局の手でそれをやるべきだったのではと感じる。
次戦以降にこの結果が尾を引かないが少々懸念される結果とも言えるだろう。

トップとなった安藤についてほとんど触れていないのだが、とにかくソツのない進行とバランス感覚で、すべての選択が高度だった。
近年の若手の中にはレベルの高い打ち手が何人もいるのは知っていたが、彼もまたその一人だという事がよくわかる内容だった。
細かく言及すれば触れられる見事な選択がいくつもあるので、興味のある方はぜひ映像でご覧いただきたい。

堀に関しては言わずもがな。
途中苦しい局面は何回もあったが、それを挽回する見事な手進行はさすがの一言。
上述の2回の8000の局、そしてオーラスに小池をかわした三色の8000は本当にお見事だった。

吉田についても文中で書いた通り、結果は伴わなかったがこの決勝を勝ち切る彼の意志を随所に見せてくれた半荘だった。
江崎も含め、まだ全員に敗退の可能性も残している状況。
次戦以降の展開も気になるところだ。