第21期雀竜位決定戦観戦記 1日目(5回戦)

日本プロ麻雀協会 第21期雀竜位決定戦観戦記

第21期雀竜位決定戦観戦記
1日目 5回戦

【担当記者:坪川義昭】

現在首位の小池だが、前評判はお世辞にも高いとは言えなかった。
インタビューでも本人が語っていたが、過去に決勝戦の相手でもある堀慎吾に「協会のプロの中で一番下手な可能性がある」とまで言われたこの男だが、2年連続決勝戦に進出している。

一番下手と言われた彼が何故こんな好成績を?
その謎を解いていこう。

交通事故のようなダマテン満貫を食らってしまった小池だが、親の安藤がを仕掛けたところに、

平気でこの手牌から生牌のを被せていく。

この後も自分の手に素直に打牌を繰り返していき、最終的にはこのような勝負手に育っていっている。

親の安藤の仕掛けは序盤から中張牌をバラ切りしており、手役が絡む高打点の可能性が高そうに見える。
江崎や吉田は序盤から不自由な進行を余儀なくされていたが、小池は違った。

再び同じような局面が訪れる。
親の吉田が3フーロしてこのテンパイ。

このテンパイから全てがツモ切り。
生牌でロンと言われたらトイトイの7700や12000は容易に想像出来る仕掛けのため、周りはなかなか前に出れない。

しかし終盤、チートイツのテンパイが入った小池はテンパイ料のために生牌のを叩き切った。

最終手出しがだったのでトイトイの可能性が減っているのでは?
自分の目から見える生牌をカウントし、候補の牌がまだまだ残っていたのだろうか?

理由はもっとシンプルで、せっかく貰えるテンパイ料を貰わないのは損だからかもしれない。

親の吉田が3巡目にをポンしてテンパイしていたところに加カン。

カンが入ったとて、テンパイかも何待ちかも何点かもわからないものに怯え、自分の手を崩していくのは損なのではないだろうか?

全てを無視して強引なドリブルを決めた、小池らしい満貫ツモアガリ。

彼の強さはこの鈍感力にあるのではないだろうか。
麻雀は知識が増えれば見えてしまう幻想も増えていく。
1000点の仕掛けに怯えてる人もよく見るだろう。
シンプルに勝負したい手は勝負する。
幻想に騙されない単純な戦術こそが一番重要だということを表現してくれているような気がする。

しかし結果は6000オールを引きアガった吉田がトップとなり、小池はラスを引いた。

初日が終わってポイントはほとんど動いていない。
最後には恐怖を乗り越えて、どこかで勝負を決める場面が優勝者にはやってくる。
そんな時でも小池は同じように戦えるのだろうか。
それが出来たならば、優勝を掴み取る可能性は高いかもしれない。