第12回チャンピオンロード ~女流雀王シリーズ~

【優勝】今田 孝志 【2位】當眞 脩平 【3位】清原 隆さん 【4位】青木 茂之(RMU)

決勝レポート

【観戦記者:安住太一】

 2024年1月28日(日)、チャンピオンロード〜女流雀王シリーズ〜が開催された。本大会は、3月2日(土)に行われる『グランドチャンピオン(以下、GC)大会』の出場権を賭けた今年度の最後の大会であり、上位24名の参加枠を獲得するために、参加者同士の鎬を削る戦いが予想された。

 私はGC大会へ出場のために、本大会での優勝を意気込んでいたところ、執行部の佐久間氏より「本大会の運営業務をやってみないか?」と招待を受けた。当初は優勝に固執しており、どう立ち回るのが1番幸せかを考えたが、昨春に受講した「プロ試験対策講座」の講師を務めている柳田氏の後押しを知り、「できることを1つでも増やせることは、今後の人生で間違いなく活きて良い経験になる」と考え直し、快く運営業務を引き受けた。同様の理由で、本大会の観戦記者も、運営の藤井氏より引き受けた次第である。

 総勢88名参加の本大会。柳本店には、崎見百合氏や眞崎雪菜氏、大崎初音氏、豊後葵氏、佐月麻理子氏、水崎ともみ氏といった、可憐な歴代の女流雀王がゲストとして勢揃い。柳二丁目店には、三浦ももこ氏、椿彩奈氏、田口淳之介氏と、柳本店の女流雀王に引けを取らない美しさ・強さを兼ね揃えた3名がゲストとして参戦。参加者から、非常に華やかで会場も大盛況だったと伺っている。

 数々の華のあるゲストや、私の同期、大学時代の後輩が敗退する中、以下の4名が決勝戦へと駒を進めた。

【決勝戦 開始時点】
1位 +320.5pt 今田孝志氏(協会・21期後期入会)
2位 +267.0pt 當眞脩平氏(協会・22期前期入会)
3位 +227.3pt 清原 隆氏(一般)
4位 +223.4pt 青木茂之氏(RMU)

(以下、敬称略)

 本大会でのGCポイントを上記順位に暫定的に付与すると、青木が5位・26pt、今田が11位・22pt、清原が20位・20pt、當眞が25位・16ptとなる。青木には今年度の〜日本オープンシリーズ〜にて3位入賞の実績があり、清原には皆勤ボーナスが付与されている。両名ともGC大会への出場が濃厚な位置にいる一方で、今田・當眞は、本大会の最終順位がGC大会への出場に直結する当落線上の位置にいる。

 當眞が優勝するには、
・決勝戦で1着を取り、「今田が3着以下で終局する」もしくは「今田との点差を13600点以上離す」
・決勝戦で2着を取り、「今田が4着で終局し、今田との点差を13600点以上引き離す」かつ「青木が1着で終局し、青木との点差を3600点以内に抑える」

 という条件のうち、いずれか1つを満たす必要がある。
 一方で、今田が優勝するには、
・決勝戦で1着を取る
・決勝戦で2着を取り、「當眞が3着以下で終局する」もしくは「當眞が1着で終局し、當眞との点差を13500点差以内に抑える」
・決勝戦で3着を取り、「當眞が2着で終局し、當眞との点差を33500点差に抑える」かつ「清原(青木)が1着で終局し、清原(青木)との点差を33200(37100)点差以内に抑える」
・決勝戦で4着の場合、「清原が1着ならば、清原との点差を13200点差以内に抑える」「青木が1着で當眞が3着の場合、青木との点差を17100点以内に抑える」「青木が1着で當眞が2着の場合、青木との点差を17100点差以内、當眞との差は13500点差以内に抑える」

 という条件のうち、いずれか1つを満たせば良く、4着でも優勝の可能性がある条件が生まれた。

 決勝戦は、當眞、今田、青木、清原の座順で開始された。

 東1局では、清原の先制リーチを受けた當眞は押し返すように次巡にリーチ。
一瞬にしてリーチ合戦となったが、當眞がリーチ・ツモ・タンヤオの2000オールの和了に成功した。

1本場では、當眞がリーチ・ツモ・ピンフ・ドラ2の4000は4100オールの加点にも成功したことと、2本場では、青木が清原から平和のみを和了したことで、當眞が頭ひとつ抜ける形となった。

當眞:44300点
今田:18900点
青木:20500点
清原:16300点

 東2局 親:今田 ドラ麻雀牌:三萬

麻雀牌:二萬
麻雀牌:二萬
麻雀牌:三萬
麻雀牌:四萬
麻雀牌:九萬
麻雀牌:九萬
麻雀牌:一筒
麻雀牌:二筒
麻雀牌:三筒
麻雀牌:六筒
麻雀牌:七筒
麻雀牌:四索
麻雀牌:六索

と持っていたところ、6巡目にリャンカン形になる麻雀牌:八索を引き入れた今田。7巡目に麻雀牌:八筒を引き入れ、打麻雀牌:四索のリーチを掛けた。リーチを受けた3者は丁寧に回ったが、青木が平和ドラ1の十分形の一向聴になり、麻雀牌:七索を切り放銃。裏ドラは麻雀牌:四萬であり、今田が7700点の加点に成功する。

2本場では、青木が2巡目に清原から麻雀牌:白をポンし、清原からリーチを受けるまで一向聴が続いた。リーチ後に聴牌できた青木は、直後に當眞から清原のスジ牌の麻雀牌:七筒を捉える。麻雀牌:七筒には清原からもロンの声がかかったが、青木の白のみの1000は1600の頭ハネの和了となり、今田の加点を維持したまま次局に進んだ。

當眞:42700点
今田:29900点
青木:14400点
清原:13000点

 東3局では、親番の青木が發・中・ドラの2000オールを加点後、東3局1本場に清原のリーチを受け流局。今田・青木は丁寧に回し打った中で、當眞が押し切り、清原・當眞の2人聴牌となった。

その後、東4局流れ2本場では親の清原が、3本場では青木が、各々満貫確定の先制リーチを掛けるも流局が続き、場は4本場に進む。5巡目に今田が青木から麻雀牌:発をポンし、全力前傾の姿勢を取る中で、清原が

麻雀牌:四萬
麻雀牌:赤五萬
麻雀牌:六萬
麻雀牌:七萬
麻雀牌:八萬
麻雀牌:九萬
麻雀牌:一筒
麻雀牌:六筒
麻雀牌:一索
麻雀牌:二索
麻雀牌:五索
麻雀牌:六索
麻雀牌:白

ドラ

麻雀牌:三索

の形から6巡目にドラの麻雀牌:三索、7巡目に麻雀牌:白を引き入れ、

麻雀牌:四萬
麻雀牌:赤五萬
麻雀牌:六萬
麻雀牌:七萬
麻雀牌:八萬
麻雀牌:九萬
麻雀牌:一索
麻雀牌:二索
麻雀牌:三索
麻雀牌:五索
麻雀牌:六索
麻雀牌:白
麻雀牌:白

ドラ

麻雀牌:三索

のリーチを掛けた。
清原から感触良好とコメントいただいたものの、リーチ後に怯まず戦い続けた今田に、發・ドラ1の2000は3200(+供託4000)の放銃となった。

 今田としては優勝の条件を現状達成する大きな加点になったが、今田は一息つくこともなく、真剣な表情を微塵も崩さない。清原にとっても、ここまで6度のリーチが1度も実を結ばない苦しい展開で南場を迎えることとなる。

當眞:39700点
今田:31100点
青木:18400点
清原:10800点

 南1局では青木が清原からリーチ・西の2600を和了後、南2局では當眞が清原のリーチに押し返し、青木からリーチ・一発・ドラ1の5200を和了した。
今田にとっては、當眞に優勝条件を微差ながら奪い返された上に最後の親番が無くなり、些かの緊張感が走ったように感じた。

 南3局。青木はとにかく親番で逆転を狙いたい。青木が清原から發・ドラ2の5800を和了した。

 南3局1本場 ドラ麻雀牌:五索

 振り返ると、決勝戦はこの局が最も激しい勝負手のぶつかり合いだった。青木が8巡目に

麻雀牌:八萬
麻雀牌:八萬
麻雀牌:四筒
麻雀牌:四筒
麻雀牌:四筒
麻雀牌:五筒
麻雀牌:七筒
麻雀牌:三索
麻雀牌:四索
麻雀牌:赤五索
麻雀牌:五索
麻雀牌:六索
麻雀牌:七索

のタンヤオドラ3のダマ満貫を聴牌するも、今田も先に

麻雀牌:赤五筒
麻雀牌:七筒
麻雀牌:五索
麻雀牌:六索
麻雀牌:七索
麻雀牌:東
麻雀牌:東

チー

麻雀牌:六萬
麻雀牌:赤五萬
麻雀牌:七萬
麻雀牌:三索
麻雀牌:二索
麻雀牌:四索

の三色ドラ3の聴牌が入っていた。
両者とも麻雀牌:六筒の嵌張待ちであるところ、清原がこの半荘で8度目になるリーチを掛ける。

 清原の現物を合わせ打って安全に進行したい當眞だが、終盤で全員の安全牌が尽きる。全員の河を満遍なく見渡す當眞。
徐々に少考が長考になる中、プレッシャーと静寂が無音を掻い潜って耳に訴えかける。當眞の選んだ麻雀牌:三萬は生牌であるが、清原の現物のスジだ。東場に清原の現物のスジ牌で青木に打ち取られたことも重なり、當眞の右手が静かに震えていたことと、麻雀牌:三萬を捨てた瞬間に少し歯を食いしばった姿は筆者の印象に残っている。

 この局は當眞の1人ノーテンで流局した。今田との点差は10800点で、再び今田に優勝条件を明け渡すことになったが、優勝に必要な2800点を詰め直せば良い。

當眞:42900点
今田:32100点
青木:22600点
清原:1400点

 続く2本場では、清原が青木に中・ドラ1の2900は3500(+供託1000)を放銃した。

3本場では、清原が中盤にノベタンの待ち選択に成功し、9度目のリーチにして初めての和了となり、3000・6000は3300・6300の加点に成功した。青木にとっては優勝条件が重くなる親被りを受け、オーラスを迎えた。

當眞:39600点
今田:28800点
青木:20800点
清原:10800点

 オーラスでは、今田が8巡目に麻雀牌:二筒をポンし、當眞もすかさず清原から捨てられた麻雀牌:赤五筒をチーする。
當眞の手は一向聴だがドラ2の3900点になり、誰から和了しても優勝だ。次巡に対局終了のアラームが鳴り響き、この局が最終局となったところで、親の清原からリーチの声が掛かる。

宣言牌もチーして聴牌を取れた當眞だったが、清原がリーチ・ツモ・平和・ドラ1の2600オールの和了に成功した。この瞬間、今田の優勝が決まり、清原も怒涛の2連続和了で総合3位に返り咲いた。

當眞:37000点
今田:26200点
青木:18200点
清原:18600点

【最終結果】
優勝   +326.7pt 今田(+6.2pt)
準優勝  +324.0pt 當眞(+57.0pt)
3位   +205.9pt 清原(▲21.4pt)
4位   +181.6pt 青木(▲41.8pt)

 終わってみると、全18局のうち、満貫以上の和了は2回しか発生せず、最後までもつれた展開だった。

全員の懸命な表情、丁寧に打とうとする所作、その場での最適解を限られた時間内で導き出して選択する動作の連続性。重く長く、だけども短い90分間で、これらの競技麻雀の醍醐味を全身で味わえた。
対局中に表情を一切崩さなかった今田だが、メダルを手にして写真に写る笑顔から達成感を窺えた。蛇足ではあるが、シャッターを切る直前、その場にいた全員から拍手を浴びた時が、最も素敵な笑顔をしていた。

 私は手牌の構想や、山読み、他家の手出しツモ切りから他家の動向を推察する能力に自信がない。自信がないなりにも、日を置いて、1局ずつ振り返りながら、そして自身と向き合いながら文章にしたためたことは、自身の競技活動において今後のありたい姿への道標になったと断言できる。GC大会での各選手の吉報を楽しみに、私自身も進歩と可能性を見出すべく、能力の向上に日々励みたい。

 改めて、運営業務をご教示いただいた藤井氏、髙田氏をはじめとする運営グループの先輩方や、運営に招待いただいた柳田氏および佐久間氏、ゲストの先輩方、ご多忙の中ご参加いただいた選手の皆様には、この場を借りて深く感謝を申し上げる。

順位
氏名
所属
合計
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
準決勝
決勝
1今田 孝志協会326.7118.867.9-47.981.39.391.16.2
2當眞 脩平協会324.0-4.164.310.772.958.864.457.0
3清原 隆205.970.170.161.982.8-67.710.1-21.4
4青木 茂之RMU181.67.6-19.357.162.361.354.4-41.8
5髙城 雅史200.154.81.416.251.773.72.3-
6丹野 賢一168.3-28.160.565.912.458.0-0.4-
7伊藤 智広協会122.816.659.714.7-6.560.7-22.4-
8神火燐 岡嶋協会117.4122.880.7-64.7-24.218.7-15.9-
9西川 賢大協会103.757.853.266.5-28.53.3-48.6-
10佐藤 聖也協会103.5-41.359.265.367.4-20.4-26.7-
11井上 剛一協会103.112.976.34.274.3-20.3-44.3-
12内藤 広夢93.820.656.053.78.918.6-64.0-
13東海林 義弘125.4-65.464.2-21.962.486.1--
14庄司 麗子協会122.661.415.15.156.7-15.7--
15向迫 和貴119.8-8.1-19.269.816.860.5--
16ユージ106.055.8-21.157.411.92.0--
17宮本 一輝協会104.750.463.4-19.964.9-54.1--
18椿 彩奈協会104.668.258.3-80.651.37.4--
19木下 裕文103.819.762.3-22.8-17.862.4--
20大渕 淳司97.73.562.64.810.316.5--
21山口 敬86.868.2-55.176.258.8-61.3--
22剣持 美和85.85.1-22.264.558.8-20.4--
23富田 博生協会77.7-28.964.460.94.9-23.6--
24久慈 一丈66.89.4-56.760.571.0-17.4--
25小林 康人65.968.24.363.0-18.1-51.5--
26伊藤 凌馬協会60.2-22.585.219.75.8-28.0--
27阿内 晴生59.5-15.021.757.3-15.711.2--
28石井 徹46.263.210.162.3-66.0-23.4--
29豊後 葵協会22.8-14.821.9-23.393.0-54.0--
30くまっち-2.287.8-6.43.8-26.8-60.6--
31武田 定彦-5.356.722.2-48.49.3-45.1--
32上野 智弘-7.719.7-18.3-17.255.1-47.0--
33佐月 麻理子協会38.669.1-50.5-54.474.4---
34東川 亮34.0-32.0-23.065.523.5---
35菊川 圭協会32.411.0-28.054.2-4.8---
36市村 泰蔵協会28.96.0-48.311.859.4---
37皆川 信之協会16.765.858.6-47.5-60.2---
38畠山 美千代14.011.3-52.8-19.575.0---
39丹 雄飛協会10.460.8-43.464.1-71.1---
40矢津 智久9.96.718.99.3-25.0---
41小島 真由美7.235.711.4-62.722.8---
42眞崎 雪菜協会4.964.3-63.4-51.555.5---
43稲熊 勝明-3.9-30.164.7-53.014.5---
44川合 充喜-5.8-51.655.3-20.310.8---
45木暮 欽一-7.8-28.020.6-11.811.4---
46岡田 拓也-8.4-10.1-22.917.76.9---
47真白 祐介協会-9.1-18.0-68.412.464.9---
48藤森 ナオ協会-11.1-57.469.2-41.919.0---
49野間田 純最高位戦-17.11.8-17.5-14.713.3---
50ピキン-20.8-27.616.12.4-11.7---
51やす。-29.4-45.1-53.6-20.489.7---
52Asuka-35.2-23.360.2-20.4-51.7---
53田口 淳之介協会-40.514.1-23.6-11.0-20.0---
54小幡 和輝-42.2-18.611.36.4-41.3---
55高口 和之協会-44.9-70.4-45.764.76.5---
56本田 悠来-48.861.53.7-54.2-59.8---
57津坂 流生協会-52.166.3-59.11.3-60.6---
58月田 玲夢-53.511.6-47.53.1-20.7---
59中橋 正人協会-54.555.9-15.2-46.3-48.9---
60天津 みろう協会-55.4-23.11.419.4-53.1---
61増村 一也協会-55.917.4-16.5-21.6-35.2---
62木戸 憲幸-56.2-34.09.5-20.9-10.8---
63寿(とし)-57.8-51.6-64.086.2-28.4---
64富山 貴記協会-59.7-55.16.215.5-26.3---
65崎見 百合協会-60.9-23.511.1-51.93.4---
66かめんたん-65.5-59.5-21.93.412.5---
67剣 士郎-79.9-18.45.8-46.1-21.2---
68水崎 ともみ協会-83.2-52.0-22.546.2-54.9---
69三浦 ももこ協会-83.4-48.9-47.261.8-49.1---
70瀬本 裕志-84.4-43.0-47.210.5-4.7---
71速水 あいり協会-86.8-48.7-25.717.2-29.6---
72たきりょう協会-88.9-49.28.3-20.3-27.7---
73グレート・宗-97.8-10.1-14.0-23.6-50.1---
74松田 たけひろ-106.48.0-56.2-73.415.2---
75大崎 初音協会-106.9-52.5-46.917.7-25.2---
76山本 肇-108.0-17.8-23.9-20.4-45.9---
77新倉 和花協会-124.6-65.09.4-30.2-38.8---
78細音 耀雪-127.316.3-51.4-20.0-72.2---
79神野 莉子-140.1-69.58.8-47.5-31.9---
80清水 堅斗協会-141.0-22.39.3-65.4-62.6---
81松本 達也-145.7-89.9-18.8-20.9-16.1---
82中野 夕協会-148.024.8-51.6-46.7-74.5---
83山部 正人-160.9-51.8-21.2-35.6-52.3---
84内藤 幸子協会-161.7-75.6-18.6-47.5-20.0---
85花田 幸子-179.0-44.4-54.0-28.7-51.9---
86島袋 岳夫-186.0-60.7-61.2-15.4-48.7---
87中村 昇-203.7-20.4-79.8-45.5-58.0---
88向井 勇希協会-205.8-43.3-45.0-60.4-57.1---