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順位
選手名
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
小川 裕之
118.0
-19.1
-28.0
93.2
64.7
7.2
2
涼宮 麻由
114.4
55.3
58.6
-38.7
-27.9
67.1
3
菊地 俊介
-47.7
2.9
-48.8
8.2
15.6
-25.6
4
安部 達也
-187.7
-40.1
17.2
-62.7
-52.4
-49.7

≪決勝観戦記≫

去年10周年を迎えた日本プロ麻雀協会。
11年目を迎えた今年、最初のタイトル戦「新人王戦」が、5月4日に神楽坂「ばかんす」で行われた。
今回の新人王戦の決勝戦に勝ち登ってきた4名を紹介しよう。

小川 裕之(第8期前期入会)

入会した当初は、いきなり「新人王戦」の決勝まで勝ち上がってきた実力者。
その決勝で、最終戦まで筆者、蔵と三つ巴に戦った末に惜しくも敗れ去ったが、
その後は確実にB2リーグまで昇級してきた。

戻ってきた「新人王戦」の決勝でリベンジなるか!?

安部 達也(第10期後期入会)

見た目はおとなしい感じがするが、オーソドックスな打ち手。
筆者とはリーグ戦で一度同卓だったが、その時には押し引きがしっかりしていて、
バランスのとれた打ち方をされていたのが印象的だった。

この新人王戦の決勝でも、その力を発揮して初タイトルとなるか!?


涼宮 麻由(第9期後期入会)

決勝が始まる前は、一番緊張していたのがこの涼宮。
普段は周りの人たちを明るくする性格を持っているが、
この日ばかりは何も話さずに集中していた姿は、
「どうしてもこのタイトルを取ってやるんだ」という意気込みを感じられた。

朝倉、逢川に続いての3人目の女流新人王に輝くか!?


菊地 俊介(第11期前期入会)

オンライン麻雀「天鳳」における鳳凰卓の東南戦赤アリでの初の十段達成者である。
これは「この条件をクリアするのは無理なんじゃないか」と言われたほどの難題である。

十段に達成した才能を発揮して初タイトル奪取なるか!?

定刻となり、起家の涼宮の投サイによって「第11期新人王戦」決勝戦の幕が開けた。

 

☆1回戦☆(涼宮-安部-菊地-小川)

決勝本番前には緊張していた涼宮がいきなりスタートダッシュをかける。
一人聴牌をとったあと、2局連続の4000オールをアガる。多少ムラがあったが、このアガりで彼女は緊張がだいぶほぐれたか?

東1局1本場 涼宮(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東2局2本場 涼宮(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

一気に5万点台まで点棒を重ねて勢いつくかと思ったが、それを止めようと菊地、小川の2人リーチ。
結果、小川が2000・4000をツモアガる。
次局も安部が2000オールをツモアガるが、追っかけた菊地の手もフリテンとはいえ、4面張の満貫クラス!
開局してからいきなり打撃戦になりそうな展開となった。

トップ目の涼宮の手牌。
東4局涼宮(南家) 5巡目
 ツモ ドラ
ここで聴牌とらずの打。イッツーの最高形を見てるのでこれは納得。
が、次ツモがを切った唯一の裏目の
これは仕方ないが、その2巡後にツモ
これはさすがに--のノベタン3面張に受けるだろうと思ったら、このも切ってしまう。
そして、直後のツモがあざ笑うかのように! 次巡ツモでテンパイとるも、ピンズの染め手を作っていた菊地に5200の放銃。

トップ目とはいえ、こういった放銃は非常に痛い。

このアガりで、菊地にエンジンがかかる。
南3局まで5局連続リーチ!
菊地本人曰く、
「自分の武器はリーチ。とにかく先制リーチを打って、相手を脅かす事に専念した」
その武器を如何なく発揮していた。アガりも重ね、じわじわと涼宮を追い上げる。

オーラス。
ラス目の安部がカンでリーチしての小川の手牌。
 ポン ポン ツモ ドラ
2着争いが競ってることと、ラス親ということもあってで勝負。
が、しかし、次にを持ってきたところで、打。次にドラのを持ってきたところで打とし、しっかりとオリた。
は安部の当たり牌、は菊地の当たり牌であったのだが、
トップ目まで見えていた状況で、3着になってしまうことを受け入れ両者の当たり牌を止めた小川のファインプレーを見た場面であった。

しかし、ほっとしたのは涼宮だろう。
5万点近くあった点棒が3万点近くまで削られたので相当焦っていたらしい。

涼宮+55.3、菊地+2.9、小川△19.1、安部△40.1

 

☆2回戦☆(菊地-安部-小川-涼宮)

東1局 安部(南家) 2巡目
 ツモ ドラ
ここで安部が打
ポンを考えつつ、-待ちでリーチを打ちたいという考え方がはっきりした一打だったと思う。
河の作り方も-を出させるような作り方だった。

結果、ポンテンを取って、菊地から1000点のアガり。
1000点とはいえ、安部の上手さが光った一打だった。

次局、安部がを暗カンすると、暗刻で持っていたがカンドラとなり、
ピンズの染めに向かっていた小川から12000を奪い、この半荘優位に立つ。

安部のリードが保たれたまま迎えた南1局。菊地の手牌。
南1局 菊地(東家) 6巡目
 ドラ
ここで上家の涼宮からが出た時、今までノータイム気味に打ってきた菊地に初めて長考が入る。
と鳴くか、と鳴くかなのだが、このちょっとした長考は相手にとっても読みやすくさせてしまう。

一方、2回目の親番を迎えた安部が4000オールをツモアガり、この半荘はもらっただろうなと思った南3局1本場。
南3局1本場 安部(北家) 7巡目
 ツモ ドラ
ここで安部は打。親の小川がソーズの染め手に走っているため、イーシャンテンを維持しつつケアした打牌。
直後のツモが。テンパイ。小川の河にはソーズが1枚も切られていないた為、1枚だけ勝負の打
小川反応なし。直後の小川はをツモ切り。そして、安部のツモは
 ツモ ドラ
ここで安部は打。すると、小川から「ロン」の声が!

南3局 小川(東家) 1本場
 ポン ドラ
実は、前巡で安部が切ったも当たり牌だった。
涼宮か菊地からアガると自分の着順アップの可能性があるため、1枚は見逃したが、安部が2枚目のソーズを打ってきた以上、
安部にもテンパイが入っていると考えアガったという。
今回は実らなかったが、こういった策略は小川は本当にうまい。

南3局3本場 涼宮(南家)
 ドラ
ここで涼宮はをノータイムでチー。もすぐに出てポン。
3巡後にはツモって1000・2000は1300・2300。ここで涼宮がトップ目に躍り出る。

ラス親を迎えた涼宮、安部ともにテンパイが入らずそのまま流局となり、涼宮にとっては大きな2連勝。安部にとっては痛すぎる2着となった。

涼宮+58.6、安部+17.2、小川△28.0、菊地△48.8

2回戦終了時
涼宮+113.9、安部△22.9、菊地△45.9、小川△47.1

 

☆3回戦☆(安部-小川-菊地-涼宮)

いきなり涼宮が2連勝で大きなアドバンテージを取ったために、他の3人はこの3回戦でトップを取らないと自身が危うくなってきた。

そして、これまで眠っていた小川が一気に爆発する!
東2局 小川(東家)
 リーチツモ  ドラ 裏ドラ

東2局3本場 小川(東家)
 チー ツモ ドラ

東2局4本場 小川(東家)
 リーチロン ドラ 裏ドラ

小川は、協会員からは「いのしし」の愛称で親しまれているが、
まさに猪突猛進といった勢いで7万点台まで点棒をかき集めた。

一方、涼宮にも大物手が入る。
南1局 涼宮(北家)
 ツモ ドラ

も初牌。涼宮は待ちをと選択して切りリーチ。2巡後には親の安部も追いついて追っかけリーチ。

安部
 ドラ

ラス目の親に追っかけられた涼宮は動揺の表情が隠せない。
しかも5巡後には期待を裏切るように、ツモがひょっこりと顔を出した。
初牌同士の選択なのでそういう事もやむなしと思えるが、本人には相当にきつかっただろう1局だった。

結局、この半荘は小川のワンマンショーとなり、7万点台を持続した小川がこの3回戦を制し、涼宮の対抗馬となった。

小川+93.2、菊地+8.2、涼宮△38.7、安部△62.7

3回戦終了時
涼宮+75.2、小川+46.1、菊地△37.7、安部△85.6

 

☆4回戦☆(涼宮-小川-菊地-安部)

トップを取った2人に対して、菊地、安部は前に向かわないといけなくなった。
特に安部に関しては、涼宮、小川をうまく下位に落とし、かつ大きなトップが必要となる。

その安部に、東1局に大チャンスが訪れる。
東1局 安部(北家) 配牌
 ドラ
配牌で倍満まで見えるかなりの大チャンス。
菊地からをチーして、ピンズの少なくともホンイツのイーシャンテンに構えたところに、ダブを暗刻にした親の涼宮にリーチがかかる。

もう後には引けない安部は真っ向勝負!
そ して、涼宮が次巡に切ったをポン、さらにドラのもポンして倍満手を完成させた。
安部(北家)
 ポン ポン チー ドラ

ここで、安部はを切らずに親の現物のを切った。
を切れば形はノベタンだが、はすでに無い。
単騎の選択ならば通っている切りでのテンパイ取りが当然。
そして涼宮がツモ切った指先にはが・・・

安部
 ポン ポン チー ロン ドラ

まさに麻雀は分からないものだ。結果論ではあるが、安部にとっては最高の形、涼宮にとっては最悪の形となった。

しかし、小川もこの好機を見逃さなかった。
次局、親となった小川がリーチ。ドラ3で勝負した菊地から出アガり、裏ドラ3つもろのり!
親満となって、一気にトータルトップの涼宮をまくる。

だが、菊地も黙ってはいない。
自分の親番になると、本場をうまく重ねて3本場には、
菊地(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
この親満のアガりでこの半荘のトップ争いに立ち、粘りを見せる。
安部も前局で不運な満貫を打ち込むも、親で2600オールをアガり、
東場終了時には涼宮以外の3人が3万点台となり、涼宮にプレッシャーをかける。

安部(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

ところが、安部にまさかの事件が起きる。小川が親番でリーチをかけた南2局。
小川のリーチに誰もがオリているように見え、小川もアガれずに終盤を迎えた安部の牌姿。
安部(西家)
 ツモ ドラ
安部の目にはが4枚見えていたため、テンパイ持続しつつ初牌とはいえ、を河に置いた瞬間・・・

「ロン」

その声を聞いた瞬間、安部の顔が「まさか?」と言った表情になった。

菊地(南家)
 ロン ドラ
これまで、テンパイ即リーチを貫いてきた菊地がここではきっちりとダマテン。
3回戦までなかなか高い手がアガれなかった菊地にとっては、まさに技ありのアガりであった。

オーラス。2着小川とトップ菊地の差が6900点差。
ここで小川は2着でもトータルトップに踊り出るが、菊地にトップを取られると最終戦三つ巴になってしまう。
ここはなんとか菊地を捲り、涼宮との一騎打ちに持っていきたい。

小川(西家) 配牌
 ドラ
ここにをツモってを切って、タンピンを狙う。そして・・・

 ツモ ドラ
ドラを切ってリーチ!安部もこのドラをポンして、勝負するも・・・を掴んで放銃。裏も3つ乗り倍満へ。

最初の局で倍満をアガった安部。
ここでまさかラスに落とされるとは思ってもみなかっただろう。

しかし、アガった小川も渋い顔をした。
実は満貫だけだと涼宮がラスに落ちて、最終戦に優位に立てるのだが、
裏が3つ乗ったことにより、それまで涼宮がラスであったのが3着に浮上したため、涼宮にも優勝条件を残してしまったのだ。

しかし、これで小川も連勝で、一気にトータルトップに躍り出た。

小川+64.7、菊地+15.6、涼宮△27.9、安部△52.4

4回戦終了時
小川+110.8、涼宮+47.3、菊地△22.1、安部△138.0

 

5回戦に入る前、それまでの成績ポイントがホワイトボードに書かれた。
そのホワイトボードの前で各自がそれぞれの優勝条件を確認しあっていたが、 この条件が二転三転としようとは・・・

 

☆5回戦☆(菊地-小川-涼宮-安部)

最終戦。これが終わった瞬間に第11期新人王が決定する。
東場は全員が慎重に打っていたせいか、これまで激しい打撃戦ではなくほぼ点棒が動かない状態であっさりと東場が終了する。

最後の親を迎えた菊地も少し粘るが涼宮に流され、小川をラスにしないといけない条件が満たせなかった。

そして、小川が親番を迎えた南2局。

「ツモっ!」
と発声と同時に、緊迫した空気の中でパチンと音が鳴った。

小川だ!
 ツモ ドラ
ドラカンチャンツモっての2000オール。
この瞬間、誰もが小川が優勝すると思っただろう。小川本人もそう思っていたらしい。

しかし、麻雀の神様はそんな簡単な結末にはしなかった。今度は涼宮が決して諦めない姿勢を見せた。

親番が回ってきた涼宮。
をポンした後、なかなかツモが利かず、さらには上家がライバルの小川。
相当絞られた状態でテンパイをとるのも困難・・・、涼宮の親が流れそうになった17巡目にをなんとか重ねてテンパイ。
手出しのを見た瞬間、小川は嫌な予感がしたという。

そして、ギリギリで親を継続させた涼宮が次局に4000オールをアガり、一気に小川に迫ってくる。
涼宮(東家)
 リーチ一発ツモ ドラ 裏ドラ

さらに親番を継続させた南3局5本場。
を仕掛けた涼宮に対し、小川の手牌。
小川(北家) 10巡目
 チー ツモ ドラ
涼宮に対しての安牌がなく、手詰まりの状態。河の状態から見て通りそうな牌、を自分の河に置いた瞬間・・・

「ロン」

その時の小川にとっては、世の中で一番聞きたくなかった涼宮の「ロン」の声が場内に響き渡った。
 ポン ロン ドラ
5800は7300。供託も入り8300のアガり。
涼宮にとっては大きなデバサイでのアガり、小川にとっては痛恨の一撃となった。

しかし、小川は決して諦めようとする事はなかった。
涼宮のリーチに対しても、自分もテンパイを入れ続け必死に食い下がった。

だが、南3局8本場では涼宮のリーチに対し、一発で振り込んでしまい、涼宮の優勝がグッと近づく・・・

しかししかし!!
それでも小川は諦めずに、南3局9本場で満貫をツモアガり、最終オーラスに優勝の可能性を残す。
小川(北家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

オーラス。この時の点棒状況が涼宮・58500、小川・25700
小川は満ツモ条件、5200直条件。
涼宮はアガるか、ラス親の安部が流れた瞬間に優勝。

先にテンパイを入れたのは涼宮。
ポンの-待ち。小川もテンパイを入れるが、満ツモ条件は少し厳しい手牌。
-待ちも決していい待ちとはいえないが、一気に涼宮が決めにきたと思った瞬間に、ラス親の安部がリーチ。

安部も永久的にアガりにいかないといけない為、当然のリーチ。

そして涼宮が一発目に掴んだ牌が安部、小川ともに通っていない
掴んだ瞬間、涼宮が長考に入る。安部の現物のをトイツで持っている。

押すかオリるか。

「これを通せばタイトルが獲れるんだ」

そんな考えが彼女に「押す」という選択をさせた。

を切る。
通った! しかし、次に掴んだ牌が。同じような考えでを河に置いた瞬間・・・

「ロン」

「12000」

その声を聞いた瞬間、彼女は顔を覆った。

「やってしまった・・・」

安部(東家)
 リーチロン ドラ 裏ドラ

これでトータルで小川がトップに立ち、最後は安部がテンパイ取れず、安部が牌を伏せてしまった瞬間、
「第11期新人王」のタイトルが小川の手の中へと入った。

涼宮+67.1、小川+7.2、菊地△25.6、安部△49.7

最終スコア
小川+118.0、涼宮+114.4、菊地△47.7、安部△187.7

「長かった・・・」

小川は、ほっとした事であろう。
優勝候補とはされながらも、準々決勝、準決勝も決して楽ではなかった。
決勝も4回戦までは小川の勝利かと思われたが、最終戦には涼宮とのデッドヒートを繰り広げてしまい、苦しい戦いが続いていた。

諦めない姿勢を見せた涼宮も終わった後は、実に悔しがっていた姿が印象的だった。
よほど今回のタイトル戦に息込んでいたのかが分かる。菊池、安部も同じような姿だった。

しかし、全体的に見れば、小川が一番戦略的に抜きん出ていた。
他の3人は経験不足だったというのは否めない。

だが、これからの麻雀界を生きていく中で、貴重な経験をしたのは間違いない。
その経験を活かし、今後の麻雀界で活躍してくれることを望もう。

 

(文・濱 博彰)

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