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第7回日本オープン

順位
氏名
所属
合計
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
武中 真 最高位戦
88.0
-25.1
52.5
66.8
-16.2
10.0
2
多井 隆晴 RMU
33.1
64.2
-20.8
-49.0
-47.4
86.1
3
小室 勇人 協会
23.1
9.7
9.7
-27.8
57.4
-25.9
4
日向 藍子 最高位戦
-146.2
-48.8
-41.4
8.0
6.2
-70.2

≪決勝観戦記≫

今年で10周年を迎えた日本プロ麻雀協会。そして、10度目の日本オープン。
もうこの件は書きたくないのだが・・・当協会からの優勝者は未だに無し。
この呪縛から解き放たれるのはいつなのか?

毎年、参加している協会員のほとんどが、
『今年優勝したら、俺(私)ヒーローじゃね!』と思っているに違いない。

えっ!?違う?私の頭の中は、いつもそんな感じなのだが・・・。
少なくとも、五十嵐代表は私と同じ考えだと思う。
(違っていたらごめんなさい!・・・いや、でも多分間違ってない。)

冗談はさて置き。軽く決勝メンバーの紹介を。

前日のベスト16には当協会から半数の8名が勝ち上がり、今年こそはというムードになっていたのだが、
蓋を開けてみれば、決勝に駒を進めたのはただ一人。

 

小室 勇人

関西本部所属。ネット麻雀で腕を磨いたという今時系雀士。
おとなし目の容姿とは・・・いや、見たまんまおとなしい好青年。

 

そして、外敵の方達。

武中 真

最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
別名 双子のええ方or双子のアカン方。

 

日向 藍子

最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
プロ1年目。情報が一切ない!

 

多井 隆晴

RMU所属、代表。
第1回と昨年度第9回の覇者。
もう何も言うことなし!ラスボス。

以上。

まぁまぁまぁまぁ、軽すぎた紹介ですけど、ちゃんと本編で補足していきますから!
ねっ?ほら、ちゃんと最後まで見て!

 

☆1回戦☆(多井-小室-日向-武中)

東1局、立ち上がりは親の多井が7巡目にピンフ・ドラ1のリーチをかけ、3者が丁寧にオリ切り流局。

続く東1局1本場、7巡目に小室が表示牌のを仕掛けてテンパイ。
小室(南家)
 ポン ドラ

多井(東家) 10巡目
 ツモ ドラ
ドラを力強くツモ切り。表示牌のがすべて見えているのでノーチャンス。
小室のポンの時の手出しがなので、ここからはまずロンの声が掛からない。
自分も手牌で1牌使っているので比較的安全な牌ではあるが・・・打牌の音が会場内にバチンと響いた。
その音が「ほら、行くぞ!」と物語っている。

小室は、次巡カンのシャンポン待ちへ待ち変え。

多井の河はマンズが高い。そして、自分の手牌はほとんどマンズ。少し困った様子だ。
そして、13巡目に多井がリーチと襲いかかる。

多井(東家)
 ドラ
それを受けた小室、一発目に無スジのを持ってくる。

小室(南家)
 ポン ツモ ドラ
多井の河に放たれているを見てを切るかな。あぁこりゃダメだ・・・と思っていたのだが、小室は、そのをツモ切った。

これが相当意外だった。一発も裏ドラもあるこのルール、さらにビッグタイトルの決勝戦、開始してまだ10分程度。
緊張もまだほぐれていないだろうと思っていたのだが、見事な放銃回避。

多井(東家) 17巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
2000は2100オールで、決勝戦最初のアガりは多井が物にした。

小室はその後安全牌を引いていた為、勝負した牌はその1牌だけではあったが、このアガり形を見て小室はどう思っただろうか。
ちなみに、私は間違いなくを切っているので、7700は8000の放銃になってましたね!
えっ?そんな話はいらない?・・・はいはい、そうですか。

東1局2本場は、小室が日向から2000は2600をアガる。

2局流局が続いた後、再び小室が細かくアガりを重ねて点棒を原点近くまで戻したところで東場が終了。

南1局、武中がを仕掛け、小室も同様に仕掛けて捌きにかかる。
しかし、両者その後がうまく結びつかず、親の多井からまたしてもリーチの反撃を食らってしまう。

多井(東家)
 ドラ

さらには、日向から追っかけリーチ。
日向(西家)
 ドラ

仕掛けた二人は、程なく撤収。リーチ者二人の勝負となったが、

多井(東家) 15巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

力強く4000オール。

これで、この半荘は大勢が決した。

小室が点数は小さいもののその後アガりを重ね2着をキープ。
3着は武中。オーラス小室に3900を放銃してしまった日向がラスとなった。

1回戦終了直後、立会人の五十嵐代表と目が合う。

『連覇・・・』
『今年もダメか・・・』
という、まぁ何とも言えないどんよりとした空気を二人で身に纏いながらタバコに火を付けた。

1回戦終了
多井+64.2 小室+9.7 武中△25.1 日向△48.8

 

☆2回戦☆(多井-日向-武中-小室)

1回戦目にいいところがなかった日向が、一気に飛び出す。

東1局
日向(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

東1局1本場
日向(東家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ
点棒は40000点台へ。

日向はプロ1年目の新人。1回戦目を見た感じでは、好型と打点をバランスの基準として、押し引きをするという至ってシンプルな打ち方。
いろいろな方に教えて貰ったことを忠実に守っているのだろうなぁ、という印象だった。

ベスト16では、堂々の首位で決勝への切符を獲得。
爆発力を持っているのなら、他にもまだ武器を隠していそうなものだが、さてその刀はいつ抜かれるのだろう。とも思ったりしたのだが。

東3局
武中(北家)
 リーチロン ドラ 裏ドラ
武中がこの日初のアガりを見せ、開始から約1時間半、ようやく全員の緊張がほぐれてきたのではないかという感じがしたが、
全員がまだ慎重になっているのが影響しているのか大きな点棒の移動がない。

親の連荘もなく、全員が3900以下のアガりのまま局が進み、日向は40000点近くをキープしたままオーラスを迎えることとなる。

オーラス点棒状況は、東家より、小室・17700、日向・38900、武中・24200、多井・19200

日向(南家) 11巡目
 ドラ
終盤に差し掛かったところ、日向は上家の小室が切ったをスルーする。
テンパイならば、もちろん鳴いているだろうが、手牌を短くして一向聴だと後の反撃に対応できなくなると思ったのだろう。
序盤から形が良いまま終盤まで来てしまった為、何とも微妙な感じがしたのはわかる気がする。

ここで日向は、自分で2牌捨てているほぼ安全牌のを抱えたまま、流れに身を任せてしまう。

そして、ラス目の小室からリーチ。

小室(東家) 14巡目
 ツモ ドラ
13巡目にテンパイ、そして2牌場に出ているへ待ちを変えてのリーチ。

このを持っているのは前述にも述べたように、安全牌として残しておいた日向。
しかし、小室の現物があるので、ベタオリを敢行する。

が、2巡後そのがひょっこり顔を出す。

小室(東家) 16巡目
 リーチロン ドラ 裏ドラ
裏ドラが乗って、12000の放銃。ベタオリをしていたつもりが、捕らえられてしまう。
実は、もう1牌現物の牌があるのだが・・・。

ここで、経験の浅さが出てしまった。
ほんのちょっとの気の緩み、このは安全牌だという思い込みが、彼女を地獄の入口へと導いてしまった。

オーラス1本場。点棒状況は、東家より、小室・29700、日向・26900、武中・24200、多井・19200

小室が一気にトップに躍り出たが、ラス目になった多井も満貫ツモもしくは小室からの直撃でトップと、場の空気は一変した。

4者が条件を課せられた為、進行が今まで以上に重くなる。
そして、ようやく訪れた最初のテンパイ者は、

武中(西家) 14巡目
 ツモ ドラ

『リーチ』

ドラを切ってのモロ引っ掛け。静かに罠を張る。
(このチャンス逃してなるものか!)平然とした顔をしているが、心の声がひしひしと伝わってくる。

現物を切る多井と小室。そして、日向の手牌は、
日向(南家)
 ツモ ドラ

(リーチ棒が出たので、この手牌が成就すれば、トップへと返り咲くことができる!
残りは後3巡。ドラを切っての引っ掛け待ちで点数が充分なの?
大丈夫!このはと、お、る・・・。)

『ロン。8000は、8300』

武中(西家)
 リーチ一発ロン ドラ 裏ドラ

武中は、静かに点棒を受け取る。

私と彼は所属団体が違うが、プロになったのがお互い6年前。
初めて会ったのが、プロになって1年が過ぎた頃だった。
年は私の方が少し上だが、気の合う友人として、これまで仲良くさせてもらっている。

だから、わかるのだ。平然としている彼の心の声が。

(わ〜い!わ〜い!アガれた!アガれた!)と。
そう、彼は、まぁ、なんというか、そ、そんな奴なのだ・・・。

日向は、少し笑っていたのが印象的だった。
(やっぱり、甘くないな・・・)といった感じだろうか。
先輩達から手痛い洗礼を受けてしまい、この短い5回戦勝負の決勝戦で連続ラス。事実上、ここで1名が脱落となってしまった。

2回戦終了
武中+52.5 小室+9.7 多井△20.8 日向△41.4

2回戦終了時トータル
多井+43.4
武中+27.4
小室+19.4
日向△90.2

 

☆3回戦☆(多井-日向-小室-武中)

開始から武中が先程の逆転劇で勢いがついたのか、軽快な仕掛けでアガりを重ねる。

東1局
武中(北家)
 ポン ツモ ドラ

東2局
武中(西家)
 ポン ロン ドラ

東3局
小室(東家) 12巡目
 ドラ
12巡目と少し遅めではあるが、先制となるリーチ。高め三色同順の手牌だが、高めのは場に4牌すべて放たれている。
このリーチは、アガりにいくというよりも親番の立場を利用して押さえ込みにいったような形だ。

結果、流局。ドラを対子で持っていた多井と日向もこのリーチの後、手が進まないと見るとオリてしまった。

自分がアガる為ではなく、他者のアガりを防ぐ為。
一発・裏ドラのあるルールでは、やはりこの見えない部分の重圧を利用したリーチが、かなり有効的だ。

東3局2本場
1回戦トップを取り、やはり今年もこの人なのかと周囲に思わせていた多井だが、その後全くいいところがない。
スピードに追いつけず、勝負手も武中、小室両者の仕掛けでことごとく蹴られてしまっている。

早くから日向が翻牌のを仕掛けて8巡目にテンパイ。次巡、待ちをシャンポンにした後、を暗カン。

日向(北家) 11巡目
 暗カン ポン ドラ

すると、多井も追いつく
多井(西家) 12巡目
 ドラ
ピンフのみの手だが、槓ドラが捲れているというのと、日向の手が軽そうだということもあってリーチと出た。

このリーチで日向がオリてしまうが、実は密かに息を潜めていたのが武中だ。

武中(南家) 16巡目
 ドラ
新ドラが暗刻のヤミテン、待ちは多井の現物でもある。

日向の暗カンの後、多井がリーチと出る直前に武中はドラのをツモ切りしている。
多井は、この武中を押さえ込めればと思っていただろうが、結果8000点を献上。

武中(南家)
 ロン ドラ

自分と相手との勢いの差が、そのまま結果に現れてしまう。

この時の、武中の心の声は、

(わ〜い!わ〜い!アガれた!アガれた!)

顔は、至って真面目。
しかし、彼は、まぁ、その、なんというか、こういう奴なのだ・・・。

大きくリードをした武中、南1局の多井の親番も軽快に仕掛けて捌いていく。

武中(北家) 9巡目
 チー ツモ ドラ
このの両面チーでテンパイを入れる辺り、ここで完全に多井との差を意識しているように伺える。
心の中は(わーい、わーい)でも、顔は冷静。

武中リードのまま迎えたオーラス。

2着目の日向が逆転の手を入れるが、同じくテンパイを入れていた武中
武中(東家)
 ツモ ドラ
勝負を決定づける2600オール。

武中が連勝で中盤、大きく抜け出した。

3回戦終了
武中+66.8 日向+8.0 小室△27.8 多井△49.0 供託2.0

3回戦終了時トータル
武中+94.2
多井△5.6
小室△8.4
日向△82.2
(供託2.0)

3回戦と4回戦の間、いつものように、ここで長めの休憩が取られる。

この間、私は携帯電話をチェックしていた。ツイッターやSNSの掲示板で、みんなが速報や感想を載せている。
やはり、こういった皆さんの声は、大事にしていかないと。

おっ!さっきまで会場にいた一般の観戦者(東京都江戸川区在住)の方が、某サイトで呟いているのを発見!

えぇ・・・と、なになに?

『ひなたんの転落劇を見てたらイ・・・』

ダメだ・・・これは書けない。

えぇ・・・と、もういいや・・・後半戦行きましょう!

 

☆4回戦☆(小室-武中-多井-日向)

東1局
日向(北家) 7巡目
 ドラ
優勝はかなり苦しくなってしまったが、全力の先制リーチ。しかし、これがなかなかアガれない。
河にはと切られ、待ちの--はすべてワンチャンスになる。
それでも3人はしっかりオリきって流局。優勝の狙える位置の3人に死角はなし、といったところか。

東3局、小室が動く。
4巡目に自風のをポン。ドラ色のピンズの混一に照準を合せ、手牌からと落としていく。

小室(西家) 8巡目
 ポン ポン ドラ

捨て牌

ここから上家の日向が、この仕掛けに対してとピンズを落として真っ向勝負。さらに、までもツモ切り。

(一体、なんなんだ!?)

小室このをチー。

小室(西家) 12巡目
 チー ポン ポン ドラ

すると、日向がリーチと襲いかかる。

日向(南家) 13巡目
 ツモ ドラ

(はっ?)

(えっ??)

(おっ???)

ペン待ちのリーチのみの手。
1回戦から好形と打点を基準にしたリーチしか打っていなかった日向だが、ここに来て、まぁ何とも大胆な・・・。

だが、この大胆なリーチが入ったことで、かなり困ったことになってしまったのが親の多井である。

二人に挟まれたこの局面、長考に沈む。

多井(東家) 15巡目
 ツモ
リーチに対しての安全牌はのみ、しかし小室がピンズの混一。
暗刻のも単騎待ちの可能性が残る。そして、マンズとソーズは無スジ。

悩む。さらに悩む。

そして、意を決して放った牌は
日向の現物であり、小室が仕掛けていなかったこの牌に活路を見出しに行くが。

『ロン。8000』

小室の手牌が開かれる。

小室(西家)
 チー ポン ポン ロン ドラ

多井の腰が浮いた。えっ!とかなり驚いた様子であった。
アガり形を少し上から、じっと見つめている。

完全な読み間違い。
今までの日向のアガり形、流局時に開かれたテンパイ形、特に東1局で開かれた--待ちで開かれた後の局面、
その布石があったからこそ、この読み間違いが生まれてしまった。

多井はこの中で、いやプロ麻雀界においても、ベテラン中のベテラン。
何度か研究会などに顔を出させてもらったこともあるが、相手の手牌の読みは、それは見事としかいいようがない。
過去にある経験、そして何千何万という牌譜データの中から得たパターン、その全てを駆使して、看破していく。
さらにその一つ一つの理由を、納得せざるを得ないというくらい、丁寧でわかりやすく教えてくれる。

人柄も良く人望も厚い。
が、多少変な収集癖がある。褒めすぎかもしれないが、私もプロになってこの人に影響された部分はかなりあるのだ。

短期決戦の中、数少ない情報を頼らざるを得なかったこの状況。
対局後、日向のこのリーチを牌譜で確認して何を思うだろう。

その後、この4回戦は、ここでできてしまった並びのまま、さほど点棒も動くことなく終局を迎える。

4回戦終了
小室+57.4 日向+6.2 武中△16.2 多井△47.4

4回戦終了時トータル
武中+78.0
小室+49.0
多井△53.0
日向△76.0
(供託2.0)

 

☆5回戦☆(多井-日向-武中-小室)

いよいよ最終戦。スコア上は、武中と小室の一騎打ちという状況。
しかし、麻雀は未知の可能性を秘めたゲーム。何が起こるかわからない。

とは、言ったものの・・・すぐに大きな波が訪れる。

東2局
小室(西家) 11巡目
 ドラ
一気通貫ペンのリーチ。ここにきて小室が手役を絡めた攻撃で勝負を賭ける。
対する武中。

武中(南家) 配牌
 ドラ

この配牌が、リーチを受けたときにはこの形。

武中(南家) 11巡目
 ドラ

ドラを2牌引き入れて、戦える形が整っていた。リーチ後に引き入れたで一向聴。
そして、親の日向が門前混一に向かう為に切ったをチーしてテンパイ。

武中(南家) 13巡目
 チー ドラ

ドラであがれば8000点。勝負手がぶつかった。しかし、親の日向もテンパイに漕ぎ着けリーチ。

日向(東家) 15巡目
 ドラ

さらに大物手がぶつかってくる。この決勝戦、最終戦にして初の三つ巴戦。
多くの観戦者が見守る中、直後に持ってきた小室の掴む牌は?

武中(南家) 15巡目
 チー ロン ドラ

『8000』

悔しさの表情を浮かべる小室。そして、表情を変えることなく点棒を受け取る武中。

さすがに、このときの武中からは、(わーい!わーい!)という心の声が聞こえなかった。
表情は普通だが、心無しか点棒を受け取る手が震えていたような気がする。

4回戦終了時に、武中は『流石に緊張してきた』と周囲に漏らしていた。
武中は、すでにミドルクラスの大会には何度も決勝戦まで駒を進めている。しかし、優勝の経験はない。

そして、今訪れた優勝のチャンス。しかも、他団体のビッグタイトルとなると、想像した私の方が今にもえずきそうだった。

東4局の小室の親が落ち、いよいよラスト1周。

南1局、多井が最後の意地を見せる。
多井(東家)
 リーチハイテイツモ ドラ 裏ドラ
6000オール。

南1局1本場
多井(東家)
 ツモ ドラ 裏ドラ
1300オールと猛追を見せる。そして、このときの着順のポイントも含めて、小室と並ぶ位置にまでつけてきた。

しかし、その猛追もここまで、武中が多井の親を落とす。

南1局2本場
武中(東家) 10巡目
 ロン ドラ

チャンタ片アガりをヤミテン。反撃を想定してのヤミテンだったのか、逃げる者の立場として、この選択は難しいところ。
このヤミテンを見て私は、(もう落ち着いているな)と思っていた。

南2局終了時
多井・57300、日向・△900、武中・28600、小室・15000

お互いトップを取れば文句なしの条件だったが、多井が親で大きく点棒を増やした為、小室のトップはかなり厳しくなった。
となると、武中に2着順差を付けるか、1着順差で9000点以上の差をつけるかという条件となる。

残すは2局。

そして、武中は自分の親で被害を最小限に抑え、オーラスの小室の親を撃ち落とすだけだ。

武中(東家) 7巡目
 ツモ ドラ

『リーチ』

難しいと思う。安い手で親の連荘はしたくない。しかし、少しでも加点をしたい。
一発や裏ドラが付けば、さらに有利になる。ならばと、ピンフのみのこの手で武中は牌を曲げた。

小室(南家)
 ドラ
このとき小室は、ドラ暗刻の一向聴。無防備に曲げてしまったことで、直撃のチャンスを与えてしまった。

小室にとって願ってもない展開。これは、まさにうさぎと亀状態。となると、物語は亀の逆転優勝!となるわけだが、

武中(東家) 9巡目
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

あっさり1300オール。

これで、小室は力尽きた。

そして、日本プロ麻雀協会の悲願。日本オープン制覇は、10年目も実らずとなってしまった。

大きな放銃も無く、我慢を重ねた結果が優勝へと繋がった。
多くの観戦者に見守られて、笑顔で優勝のスピーチを述べる武中。

後ろの方で、私は見ていた。
とうとう、先を越されてしまったか・・・。
悔しい気もするが、友人の優勝した姿を見るのは、やはり嬉しいものだ。

おめでとう。

来年こそは、協会員が!いやこの俺が!ヒーローだからな!

(終わり)

・・・。

・・・。

・・・!

あれっ!?何か忘れていたような気がする!
そうそう、これも書いておかないと!

※余談※

冒頭の紹介で少し書いたのだが、優勝した武中は、双子の兄である。
そして、弟の進は、日本プロ麻雀協会所属のプロ。つまり、麻雀界初の双子プロ雀士なのだ。

今回、弟の進もベスト16に残り、初の麻雀タイトル優勝戦で双子対決という珍しい戦いのチャンスがあった。
残念ながら、その夢は叶わなかったが。

さらに余談になるが、武中兄弟が主催する大会『ツインカップ』は毎年年末に開催され、数えて5回目となる。
この大会には、各団体から毎年100名を超えるプロが参加している。

実はこの双子。“麻雀界では”人気者なのだ。

住んでいる家(弟も一緒)
職種(弟も一緒)
学歴(弟も一緒)
未婚(弟も一緒)
タバコの吸い方と銘柄(兄はときどき禁煙、弟は禁煙しているが昔は一緒)
容姿(最近、弟が太り気味)
牌捌きが下手(弟も一緒)
空気が読めない(弟も一緒)

何から何まで一緒。流石、双子。

しかし、ここで、
タイトルを持っている(弟はない)

違いが出てしまった・・・。

こう書くと、最近スネ気味の弟が、さらにスネてしまいそうな気がする・・・。
某漫画では、
『兄より優れた弟など存在しない!』と描かれている。
多分、このネタで当分はいじられるであろう弟。
なので、敢えてここで言っておきたい。

兄がタイトルを取った今、これは絶好の機会だ。

『兄より優れた弟は存在する!』
この言葉を証明してやれ!

その為には・・・まず、その見分けのつきやすくなった体から元に戻さなきゃな!

 

(文・大窪 貴大)

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