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順位
名前
TOTAL
3日目まで
11回戦
12回戦
13回戦
14回戦
15回戦
1
矢島 亨
371.8
308.2
60.2
4.7
8.8
6.9
-17.0
2
坪川 義昭
35.7
178.5
-49.7
-25.7
-13.4
-13.3
-40.7
3
江崎 文郎
-150.2
-285.2
7.7
73.6
-46.2
48.4
51.5
4
吉田 航平
-257.3
-201.5
-18.2
-52.6
50.8
-42.0
6.2

1・2日目観戦記3日目観戦記|【最終日観戦記】|

【雀竜位決定戦 最終日観戦記】

長かった決勝もついに最終日を迎えた。
対局スタジオには静謐な時間が流れている。

残り5半荘でのスコアがこちら
矢島+308.2
坪川+178.5
吉田▲201.5
江崎▲285.2

全員を応援したいのは山々だが、実質矢島と坪川の優勝争い。
自身のポイント状況もあるが、普段から明るい矢島はその日も気さくだった。
「佐治くんおはよう。今日は観戦記者だって?よろしくねー」
経験の豊富さもあるのだろう、実にいつも通りだ。

目を閉じ静かに佇む坪川の対照的な姿が目に付いた。
1回のトップラスで100縮まるとはいえ、簡単な道ではない。
5戦3トップ、最低でも2トップは必須だ。


★11回戦
東4局1本場
坪川、ツモ平和の400・700。

平凡なアガリに見えるが、実はそうではない。
少し時間を戻そう。

江崎のリーチ一発目、無筋のを切った。
自身は平和のみの一向聴で、最低でも2筋押す必要がある。

やや分が悪い勝負にも見える。
江崎のツモで矢島の親っかぶりを期待してもいい。
ぶつけるならリーチも一考だったか。

ここまでの10回戦、後手を引いた坪川の堅実な打ち筋を見てきた。
残り5回で終わることが、トップへの渇望が、押し寄りの判断にさせたのだろう。


南1局
先に言っておこう。
この局がこの半荘の、そして最終日のターニングポイントだ。

矢島が立て続けに二副露。
ポン
ポン
河と仕掛けからトイトイ一点。かなり怖い鳴きだ。

サッと流れるように切った場に1枚切れのに矢島の声が重なった。


南北トイトイ、8000。
トイトイはテンパイ・待ち判断が難しい。
自身はドラ対子あるが二向聴。痛恨の放銃となってしまった。


南2局


今度はホンイツ仕掛けの矢島。マンズもすでに余っている。

坪川は七対子でリーチ。
煮詰まった場況だが、親であり先ほどの失点が効いた。

またしてもこの牌だった。
確信めいたように切られたに、矢島は再び手を開けた。
南ホンイツドラ1の8000。

2局連続のライバルへの満貫放銃。
たった1回の放銃が、強制的にこのリーチをかけさせた。
持ち点の少ない親番だ、無理もない。
想定する中で最悪のケースだが、まだ4半荘ある。やることは変わらない。

矢島の麻雀を説明するなら、「勤勉」と「思考スピード」がふさわしい。
普段サラリーマンをしながらのプロ活動。
「やじ研」なる勉強会を主催し、常に麻雀のトレンドや戦術のチェックに余念がない。
多忙な日常に競技麻雀を積極的に取り入れ続けるその姿は、まさに「勤勉」である。

食いタン仕掛けに場に1枚切れのをツモる。
前巡の打から手拍子でを切りそうだが待ってほしい。
は2人に、何より坪川の現物だ。

競技麻雀では、1枚切れの役牌は意外と安全ではない。
圧倒的なリードがあっても、その思考は鈍らず判断も早い。
この隙のなさが矢島の強み。
若いのは見た目だけではない。麻雀の内容も学ぶ姿勢も「若い」のだ。


吉田は苦悩した。
初決勝で初放送対局。極度の緊張と体調不良による中断への負い目もあったはず。
追い打ちのように麻雀の展開もずっと厳しい。


13戦目で初トップ。これほど辛い麻雀は初めてだろう。

厳しいことを言うなら、体調管理や心構えといった準備もプロの仕事だ。
緊張は仕方ない。それゆえに本来の力を発揮できずに敗れ去るプレイヤーもいる。
またスピード重視の麻雀は、門前パワータイプ3人相手は分が悪かった。

しかし、決勝の舞台という貴重な経験は今後プラスになる。
「2日目以降は緊張も和らぎ、終わってみると楽しかった」
そう語る明るい表情に安心した。
勝者の陰に敗者あり。
彼もまた、この雀竜位決定戦を作り上げた一人だ。

江崎は葛藤した。
2連覇の偉業から「雀竜位=江崎」というイメージの人も多いだろう。
表舞台に出る機会も増えた躍進の2年間。
協会の看板選手の1人としてどこにでも出せる。
それは同じ世界に身を置く者として誇らしく、なにより羨ましい限りだ。

しかし、それだけに江崎を襲ったプレッシャーははかりしれない。


最終日は5戦3勝だが、なんとこの12戦目が初トップ。
ようやく、柔軟な手組みから打点を生み出す江崎らしさが見られた。
悔しさ、重責からの解放感、師匠への祝福。
普段からあまり多くを語る男ではないが、その態度や表情から伝わるものがあった。
来期からのリスタートが楽しみであり、恐ろしくもある。

坪川は抗拒した。
矢島と270p差で残り3回―トップラス3連続条件。
どんなに僅かでも、条件がある限り狙い続けるだけだ。

7700のテンパイに江崎が打
坪川の選択は見逃し。ターゲットはあくまで矢島だ。

しかし、江崎からすぐツモ切られる4枚目の
なぜその牌が自分にこない。なぜ矢島から出ない。
あと1牌が遠い・・・。

流局まで坪川の手牌が開かれることはなかった。
そしてこの渾身の見逃しも、なんと矢島はケアしていた。

矢島と300p差で残り2回のオーラス。


怒涛のツモで四暗刻テンパイ。坪川の執念を感じる。
正真正銘、最後のチャンス。
本人談によると、ツモってもアガらずに単騎にして矢島から直撃狙いだという。
すると残り130p差で一回勝負になる。

人の夢と書いてなんと読むのだったろう。
親リーチを一発で掴み12000。
唇を強く噛みしめる坪川。
今回の4人でプロ歴が最も長く、タイトル獲得の大変さは身をもって知っている。
悲願ともいえるその思いは届かなかった。

「全体的に反省点も多かった」
自身の麻雀を振り返る。
しかし、手役や最終形を意識した手作りやこだわりは見るものを楽しませた。
最後まで条件と戦う姿に心打たれた人も多いだろう。

「はじめまして。この後の勉強会に参加しない?」

私がプロ入りして初めてのリーグ戦の日。
会場で参加者を募る矢島の姿があった。
1人1人に声をかける熱心な姿に、既に惹かれていたのかもしれない。

「どうも、Aリーガーの矢島亨です」
競技選手ならいつか言ってみたい憧れのフレーズ。
そんな挨拶から始まった勉強会は驚きと感動の連続だった。
協会の門を叩く時に漠然とイメージしていた「麻雀プロの強さ」を持った人がそこにいた。


ゲームの性質上、麻雀に「絶対」はない。
それでも一番下のD級予選から勝ち続け、協会の公式戦では久しい圧勝劇。
勝つべくして勝ったと言える、素晴らしい内容だった。

そしてその裏には、怠らない努力と情熱がある。
初日の1回戦東1局を思い出してほしい。


親の第1打のオタ風をポン。
決勝でさぁこれからという時に、誰にでもできる仕掛けではない。
この時点で、矢島の準備は万端だったのだ。


来期のリーグ戦後も、「やじ研」は開催される。
その時の挨拶は考えるまでもない。

「現雀竜位のAリーガー、矢島亨です」

ドヤ顔混じりの明るいトーンで。
そんなフレーズを耳にするのが今から非常に楽しみである。


あらためて優勝は矢島亨プロ!おめでとうございます!圧巻でした。
その強さに更なる磨きをかけ、より一層の飛躍を願って――

                                                                   (文・佐治敏哲)

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