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順位
名前
TOTAL
1回戦
2回戦
3回戦
4回戦
5回戦
1
渋川 難波
133.4
59.5
14.6
18.3
60.1
-19.1
2
中林 啓
87.3
17.9
64.6
-56.1
7.0
53.9
3
木原 浩一
-29.6
-50.5
-29.2
63.0
-21.8
8.9
4
金 太賢
-193.1
-26.9
-50.0
-25.2
-47.3
-43.7

【1日目観戦記】

2日目観戦記最終日観戦記

「雀竜と言えば小倉孝」
第3期にC級予選から一気に決勝まで駆け上がり、今でこそ市民権を得た愚形をものともしない「小倉リーチ」と呼ばれる攻撃と、
「責任を取る」という無意味な価値観を捨て切ったメリハリのある守備で、1期・2期と連覇を果たしていた鍛冶田を退け初戴冠。
続く第4期も防衛に成功。まさにシンデレラストーリーと言えるこれらの出来事こそが、今尚雀竜位の代名詞が小倉孝である所以である。

しかし今回の雀竜位決定戦においては、新たにその代名詞にならんとする2人の若者が、確かな存在感を放っていた。

 

「仲林 圭」
第10期雀竜位。
そして今期の第7回オータムCCも優勝を飾り、二冠を保持する。
新人王や野口賞でも決勝の経験があり、協会20代最強の呼び声も高い。
実績においては「竜」を継ぐ者の大本命であろう。

 

 

「渋川 難波」
ネット麻雀「天鳳」の十段という実績を引っさげて、第10期前期に入会。
雀王戦にてC3・C2・C1リーグとストレートで昇級中。
昨年の雀竜位戦もA級までノンストップで駆け上がり、
2日目まで終わり決勝の見える位置に付けるも、最終日に失速しまさかの降級。
しかし今期はB級・A級と危なげなく勝ち進み、自身初のタイトル戦決勝進出となった、

2連覇を成すことで本物へと昇華せんとする仲林。
小倉が作り上げた伝説を体現せんとする渋川。
歴史に名を刻むことを許された二匹の竜が、ついに合間見える。

 

 

そしてこの協会の2人のホープに対峙するは、最強の挑戦者。

 

 

「木原 浩一」
初の決勝となった昨年の雀竜位決定戦では4位という結果に終わったが、
今期の雀王決定戦にも進出し、現雀王の鈴木たろうを最後まで苦しめた。
そして2年連続の雀竜位決定戦進出。
3度目の正直、木原の言葉を借りるならばそろそろ当選しても良い頃だろう。

 

 

 

「金 太賢」
第5回 関西インビテーションカップ優勝、第10回野口賞受賞、そして雀王決定戦に3年連続進出。
その実績は今回の濃い面子の中でも頭一つ抜けており、現在最も旬の打ち手の1人である。

 

 

 

 

 

群雄割拠、全員本命の超決戦がついに幕を開けた。

 

★1回戦★(渋川→木原→金→仲林)

東1局
渋川にとっては決勝でもらう初めての配牌。
対局前、緊張していますと笑顔で答えていたのは本当だったのだろう、いつも以上に丁寧に理牌を済ませると静かにを切り出した。
その5巡目、親の渋川の切ったに金が反応する。
金の河にはと並んでおり、スピードはなさそうだがアガれば高い典型の捨て牌。
しかし先手を取ったのは現雀竜位の仲林。
イーシャンテンになっていた金のネックであるを暗カン、リンシャンからを持ってくると当然のドラ切りリーチ。

仲林(北家)
 暗カン ドラ

待ちも打点も上々のリーチ。
しかし親の渋川がすぐに追いつく。

渋川(東家)
 ツモ ドラ

いきなり勝負を決めかねない大物手。
待ちが仲林の現物でもないので、当然リーチと打って出る。
お互い山に2枚ずつ残っていたが、どちらも掴むことなく流局。
開かれた渋川の手を見て、3人は何を思っただろうか。

東1局1本場
2本の供託を目指し、三者が仕掛け出す。
1人対応される側に取り残された金が仲林に2000点の放銃。
金は続く東2局も仲林のトイトイドラ3に捕まり苦しい立ち上がりとなった。

東3局
ここまで見せ場のなかった木原から渾身のリーチが入った。

木原(北家)
 ドラ

場況的にも--はかなり良く見え、後は高目か安目かの勝負と見えた。
だが親の金がこれに応戦、宣言牌のをチー。

金(東家)
 ドラ

は生牌だが木原の現物はのみなので、ひとまず一発を消しを勝負、後はどこまで押すかの見極めか。

そしてそのを叩いたのは仲林。

仲林(南家)
 ポン ドラ

トップ目の仲林にしては一見不安定な仕掛けに見えるが、
が金の現物で木原のスジ、も両者の捨て牌を見ると比較的通りそうに見えるので、見た目以上に対処には困らなそうな仕掛けといえる。

三者の勝負に思えたが、渋川の手の内から無スジのが躊躇なく放たれた。

渋川(西家)
 ツモ ドラ

生牌のは木原のスジとはいえ、トップ目にも関わらずポンから入ってきた仲林には打ちづらい牌。
ならば木原の切り順から当たりづらいと思われるを選んだ。
しかし次巡に危険度の高いを掴まされると、同巡にを手出しした仲林を安いと読み、手からを抜き出した。

「6-4-3のダブルプレー」を見せられたような、芸術にも思える一局だった。
チャンス手を潰された木原は堪ったものではないだろうが・・・

東4局
渋川が協会ルールならではの手順を見せる。

渋川(南家)
 ドラ

この形からをポンすると、ドラの受け入れを拒否し一気にホンイツへ寄せる打、すぐにもポンしイーシャンテンとなる。
しかし12巡目にを持ってくると、そっと手の内に収め打とした。
全体牌譜を見ていただくとわかるが、この時点では全員に安全度が高く、尚且つ周りの牌が山にいそうとあり、テンパイを取るには打ってつけの牌である。

狙い通りくっつける事に成功しアガリに結び付けた。
高打点への意識とテンパイ料の大きさをバランスに掛けた絶妙の手順といえよう。

初めての決勝で、緊張からその力を存分に発揮することなく敗れていった選手を今まで何人も見てきた。
しかし渋川は決勝こそ初となるが、メディアへの露出は若手プロの中ではずば抜けて多く、注目をされることに対しての耐性は十分であった。

南2局
親の木原の配牌が本手の匂いを醸し出す。

木原(東家)
 ドラ

すぐにを重ねると4巡目に切られたから仕掛けホンイツへ一直線。
対するは渋川、こちらはマンズのホンイツへ向かうため下家の木原の仕掛けに対してソーズ払っていく。

渋川(北家)
 ツモ ドラ

渋川が選らんだ牌は
木原、少考するも目先のシャンテン数を優先しそのをポン、打とするとこれを渋川がポンして打
すぐに切られたそのを見る木原の眼差しが、いつも以上に細く見えたのは気のせいだろうか。
渋川の方はもすぐに鳴けると、自力でを引き込みテンパイ。

渋川(北家)
 ポン ポン ドラ

木原も渋川から出たを鳴いてようやく追いつく。

木原(東家)
 チー ポン ポン ドラ

後は細い一本道をお互い進むだけに思えたが、思いも寄らぬ人物が横道から現れた。

仲林(西家)
 ツモ ドラ

この形になると、すっとを切り出し渋川に5200の放銃となった。
渋川がを切る際に生じた少考がテンパイ気配を読み違えさせたのだろう。
それを踏まえても現状2着目で17100点差がある渋川に対して危険な牌を打つのは、実に仲林らしくないと感じた。

仲林は雀竜位を獲ったすぐ後、今までの雀荘勤務から一転会社員になった。
多忙な仕事中心の生活が始まり、当然打荘数は激減した。
麻雀のような頭脳ゲームにおいては、スポーツのように急激にその能力が衰える事はないだろう。
それでも今回の面子は、日々麻雀中心の生活を送っている猛者達である。
連覇を目指す仲林にとって、本来の黄金バランスを早めに取り戻さない限りは暗雲は立ち込めたままだろう。

それでも仲林は南3局に木原から8000を出アガり、トップを盤石のものとしてオーラスのラス親を迎えることが出来た。

南4局
仲林は脇に満貫を打ってもトップなので、じっくり親番を味わうか?
金は満貫ツモ、木原は5200クラスのアガリで1着順アップが見込めるのでそこを目指すだろう。
難しいのは渋川。
トップまでハネ満ツモ条件と多少厳しいが、下の金ともある程度差はあるので狙えるならばと言ったところか。

その渋川の配牌にドラドラが組み込まれている。
ツモも効き6巡目にイーシャンテン、そして7巡目に大きな分岐点が訪れる。

渋川(南家)
 ツモ ドラ

牌効率で考えれば当然ツモ切りである。
しかしトップの恩恵が大きい協会ルール、ソーズ部分が横に伸びれば条件を満たすテンパイが組めるため、ここではマンズを固定する切り。
そして次巡、ツモですぐにテンパイを果たす。

を切ってリーチをすれば、トップまでは一発か裏期待の条件になる。
一旦を切ってタンピンに移行出来れば、ツモで条件を満たせる。
8巡目という微妙さが渋川の判断に迷いを生じさせる。
少考の末渋川は、を横に曲げリーチ棒を放った。

同巡に金からもリーチが入り、仲林は当然の一発消し。
しかしこの必然の鳴きによって、渋川の第一関門は突破されてしまう。
とはいえまだ強力な第二関門・裏ドラが残されている。
山からドラを持ってくる渋川。
その場の観戦者を楽しませるよう、そして仲林の心情を煽るかのように、ゆっくりと裏ドラをめくった。

渋川(南家)
 リーチツモ ドラ 裏ドラ

この大舞台でいきなりハネ満条件を満たしてきた渋川・・・麒麟児ここにありか!?
一方盤石だったはずのトップを捲られた仲林、思わず残されたツモ山を開けていたが、
鳴いたことに関しては一切後悔していないだろう。
しかし南2局で渋川へ打った5200に対しては、らしくない自分の判断を悔んだかもしれない。

渋川+59.5 仲林+17.9 金▲26.9 木原▲50.5

 

★2回戦★(仲林→木原→金→渋川)

東1局
ここでも渋川が積極的に動き出す。

渋川(北家)
 ドラ

ここから1巡目に切られたをポンして打、次巡を引くとソーズの上下のくっつきからのチャンタ目も残す切り。
しかしこそ鳴けたもののツモが噛み合わず、9巡目に親の仲林から先制のリーチが入る。

仲林(東家)
 ドラ

渋川は残った形が苦しいものの、字牌を合わせれば手の内に4枚ほど通りそうな牌があるのでオリ切るのには困らないだろう。

渋川(北家)
 ポン ポン ドラ

魔神の守備の真骨頂かと思われたが、渋川の思惑は違った。
上家の金が現物になったを合わせると、ペンチャンでチー。
さらにピンフドラドラのイーシャンテンの金からがツモ切られるとこれもチー、なんと裸単騎の真っ向勝負を挑んだ!

渋川(北家)
 チー チー ポン ポン ドラ

はまだ山に2枚残っていたが、ここは山に3枚の仲林がツモアガり、裏3の6000オールで完全勝利。

東2局2本場
親の木原が仕掛けるも、仲林から一段目のリーチが入る。

仲林(北家)
 ドラ

このリーチの同巡、金にもテンパイが入る。

金(南家)
 ツモ ドラ

ここはが仲林の現物なのでダマテンを選択。
しかし打ち出したは無スジで目立っているので、さらに危険牌を切ることになればリーチと踏み切るか。

2巡後、無スジを掴んだ金は予想通りリーチと行く。
しかしその一牌は仲林、そして頭ハネにはなったが木原にも当たるであった。

裏も乗り手痛い放銃となった金。
この日味わうことになる不幸の連鎖が顔を覗かせた瞬間であった。

東3局
先ほどの失点を取り返したい金が8巡目にリーチ。

金(東家)
 ドラ

しかし、山に5枚生きていた-は王牌に3枚眠ったままなんと流局。

東3局1本場
今度は渋川に先行のリーチが入る。

渋川(南家)
 ドラ

しかし親の金もかなり良い手、十分勝負に行けそうな局面。

金(東家)
 ドラ

ここへ一発で引かされた牌は、なんとラス牌であった
ほぼ放銃が確定の手格好となってしまったが、が山に2枚・が山に1枚、は純カラなのでそもそもテンパイが難しい。
これは金にとって不幸中の幸いと言えよう。

中盤を過ぎ、金にテンパイが入る牌も1枚を残すのみとなった。
渋川の現物待ちのテンパイを入れた木原のアガリが濃厚と思われた直後、金が36分の1を引き当てた。

金は次局に木原のリーチをうまくかわすアガリを見せるも、
本手が成就せずにこのままラスとなり、東1局で得たリードを守りきった仲林が貫録のトップ。
渋川も浮きの2着につけ、2人が抜け出す形となった。

仲林+64.6 渋川+14.6 木原▲29.2 金▲50.0

(2回戦終了時)
仲林 +82.5
渋川 +74.1
金 ▲76.9
木原 ▲79.7

 

★3回戦★(木原→仲林→金→渋川)

東1局
2回戦は見事なゲーム回しで逃げ切り、本来の持ち味である集中力を発揮してみせた仲林。
この局でもその力を存分に見せつける。

仲林(南家)
 ドラ

この形から7巡目に切られたをポンし打、すぐにも鳴けると無理に染めに走らず打とする。
そしてを引くとを切り素直にテンパイを取る。

仲林(南家)
 ポン ポン ドラ
終盤、1フーロの木原のテンパイが濃厚なのを感じとり、ツモで通っている切り。
すぐにを引くとテンパイを外す打と回るが、次巡木原がツモ切ったをチーしホンイツのテンパイ復帰。
そして流局、木原の手牌が開けられた。

木原(東家)
 チー ドラ

なんと手の内にドラを2枚も持っている12000の本手。
仲林は「を持ってきても絶対加カンしなかったよ」とも答えていた。
巡目・自らの打点と待ち・相手の手組を総合的に判断し押し引きを決める仲林の黄金バランスの復活が見えたこの時、1回戦に感じられた憂いは一掃されたように思えた。

しかしこの後の展開は仲林にとって苦しいものとなる。

東2局
木原がドラを暗刻にしてリーチ。

木原(北家)
 ツモ ドラ

親の仲林もすぐにテンパイ

仲林(東家)
 ツモ ドラ

を切ってリーチにいく。
しかし対局後、仲林はこのリーチ判断に自ら疑問を抱いていた。
自分の待ちが木原の現物であり、テンパイで打ち出す牌も木原の現物で目立たない。
さらに木原のリーチ宣言のが、捨て牌の状況的にもドラドラ以上に見え、自分のアガリ率があまり高くないと読める。
結果はを掴み、暗刻のを裏ドラにも乗せられる。

このアガリがなんと木原本日初めてのアガリ。
その1回のアガリで40000点近くまで点棒を増やし、トータルトップ目の仲林を大きく沈めることに成功したのは大きい。

東4局
親番の渋川、ここでもブレない仕掛けが始まる。

渋川(東家)
 ドラ

門前で進めるよりも動ける形の方がいいと、4巡目に出たをポン。
すばやく手牌をと並べ替え、どこからでも仕掛ける姿勢を見せる。

この手に攻めの姿勢を見せたのは、上家に座る金。

金(北家)
 ツモ ドラ

渋川にはどちらも切りづらいが、ここはドラの絡まない切りを選択、結果的に下の形になっていた渋川にチーテンを入れさせてしまう。

渋川(東家)
 ポン ドラ

渋川は打とし-の待ち取りとする。
場況的には若干カンの方が良く見えるが、ここは単純枚数に身を委ねた。
そして金は次巡をツモると、仲林ののポンと全体的な場況を一瞥しリーチと出る。

おそらくリーグ戦などなら、待ちを続行しただろう。
しかしこの決勝は普段のリーグ戦より総半荘数がかなり少ない。
少ないチャンスをより多くものにする事が勝者の条件ならば、この選択が優位性を持つのかもしれない。
結果論になるが、ここでリスクを避ける切りとしておくと、後に持ってくるを切りきれず一旦テンパイを外し、望外のが重ねた後に、渋川のアガリ逃しとなるを捉えて躱す手順も存在していた。

東4局1本場
先ほどはチャンス手を逃した形になった渋川だが、勢いは衰えない。

渋川(東家)
 ツモ ドラ

最高の牌を引いてのテンパイ、高め目なら出アガリでも18000あり、しかもチートイツイーシャンの金が暗刻で持っており、いつ出てもおかしくない状況。
しかし同巡にテンパイを入れていた仲林がリャンメンに変化したところでリーチ。

仲林(西家)
 ツモ ドラ

これを受け渋川、誰もが高くて好形と分かるツモ切りリーチを被せる。
これで金のは出る事はないものの、山にはまだが2枚いる。
渋川のアガり、それも仲林が打つような事があればトータルでも一気に抜け出す展開になる。
しかしここはリーチ時点で残り4枚の仲林が執念のツモで、点数以上に大きなアガリを見せた。

南2局1本場
苦しい戦いが続く金が久しぶりの先制リーチ。

金(南家)
 ツモ ドラ

待ちは良くないが全員が押しづらい点棒状況なので効果は抜群である。
しかしメンホンのイーシャンテンだった渋川が、無スジを1つ2つと叩き切る。
そして12巡目と時間はかかったが待望のテンパイ。

渋川(西家)
 ツモ ドラ

金の待ちも渋川の待ちも山には1枚ずつのみ。
だが、勝負の分かれ目は意外なところにあった。

渋川(西家)
 ツモ ドラ

金にはは現物であり、が4枚見えているので当たるパターンは存在しない。
ここでの選択肢はを切るか、暗カンの選択だけだろう。
自分の打点は十分だが、待ちの所在は不明。
カンをして相手の打点向上の手助けをするのも微妙だが、金のツモ番を一回無くせる。
しかし同時に金から出アガリの可能性も一牌減らすことになる・・・

考え出したらキリがない、渋川は最も素直な切りとした。
しかし、次巡持ってきた牌は
を切るかカンしておけばここでも切りか切り、もしくはオリの選択が出来たが、前述の切りによって切りかオリの2択になってしまった。
-自体通っていないが、愚形のパターンを考えた場合には圧倒的にの方が切りづらい。

珍しく渋川が長考に入る・・・そして、決断の切り。
そして次巡、そのあまりにも分かりやすい感触が渋川の指先をなぞった。

南4局
オーラスを迎え、点棒状況は以下のようになっていた。
木原30400 渋川28300 金21200 仲林20100

親番の渋川が先手を取り、メンツ手のドラ単騎でリーチを放つ。

渋川(東家)
 ドラ

これに捕まったのは、アガれば着順アップが約束されている仲林。
追っかけリーチをかけるも、ラス牌のを掴まされた。

→牌譜表示(3回戦南4局0本場)

続く1本場も渋川がアガり、2着目の木原でも満ツモ圏外となるリードまで差を広げた。

南4局2本場
渋川は2段目に差し掛かるところで早くも手仕舞い。
9巡目に木原にテンパイが入る。

木原(南家)
 ツモ ドラ

満貫では届かないので、アガりやすい--に受けるかと思ったが、木原は打とし単騎のダマテンに受ける。
この待ちに受け、尚且つダマテンにしたという事は早めにをツモった時にはフリテンのリーチを打つつもりだろう。
確かにルールと状況を加味すると優れた判断と思える。

すると同巡、金の暗カンが入る。
新ドラは先ほど切った
しかし木原には、更なる僥倖のツモが待ち受けていた。

木原(南家)
 ツモ ドラ

なんと先ほど切ったばかりのを引き戻したのだ。
これならばとを切ってのリーチと出る。
この望外のコンビネーションが見事にハマり、最速のハネ満ツモへと結びついた。

→牌譜表示(3回戦南4局2本場)

アガった木原を褒めるのは勿論なのだが、金の手順にも注目していただきたい。
木原のリーチを受けた金は、2回テンパイを組むチャンスがあった。
しかしそのどちらのテンパイも、アガった場合に2着はともかくトップは難しい。
リーチをしたならば、木原が3着目の自分から出た当たり牌を見逃すはずもなく、尚且つそのアガリで木原が渋川を捲る可能性も低い。

対局後金に聞いたところ、「自分が渋川を捲れるテンパイが入らない限りは押さない」と言っていた。
すでにトータルポイントの事を考え、自身の2着の可能性を追うよりも木原のトップの可能性を上げる選択を取ったのである。

優勝しか意味がないとは言わない。
それでも、優勝と2位以下の差は果てしなく大きいことを、三年連続決勝で敗れている金が一番実感しているのだ・・・

木原+63.0 渋川+18.3 金▲25.2 仲林▲56.1

(3回戦終了時)
仲林 +92.4
渋川 +26.4
木原 ▲16.7
金 ▲102.1

 

★4回戦★(金→仲林→木原→渋川)

ここまでの戦いで、唯一本手を一度もアガれていないのが金。
この半荘も、当たり牌を一発で掴まされる苦しい立ち上がり。

東3局
ここまでかなり攻撃的な麻雀を貫いている渋川、木原の親リーチを受け以下の牌姿。

渋川(南家)
 ツモ ドラ

木原にはが現物でマンズは1枚も通っていない。
ここから打とする。
確かに場況を見渡すとが良さそうに見えるが、それでもここはに手をかけてしまいそうだ。
更に持ってくるを、少孝の末にツモ切り。
そんな渋川の強硬な意思に応えるように、が舞い込む。
そして、木原が山に残る最後の当たり牌を掴んだ。

南1局
なんとしても親番を死守したい金だったが、ここでも渋川と仲林に先行のリーチを入れられる。
しかも一発で掴んだのは、またも仲林の当たり牌。

牌譜を見ればわかることだが、この放銃は咎められない。
しかし、このを切る際に金はかなり長考していた。
自分の置かれた状況がどんなに苦しいものか、自身も、周囲も手に取るようにわかっていた。
それでも安易な打牌は絶対にする訳にはいかない。
この1牌を切る長考の間に、金の決定戦にかける執念が痛いほど伝わってきた。

しかし、この半荘を制したのはまたも渋川。
オーラスの親番で4000オールを決めそのまま逃げ切った。

渋川+60.1 仲林+7.0 木原▲21.8 金▲47.3 (供託+2.0)

(4回戦終了時)
渋川 +152.5
仲林 +33.4
木原 ▲38.5
金 ▲149.4
(供託 +2.0)

 

★5回戦★(金→渋川→木原→仲林)

南1局
細かいながらも点棒を削られラス目の金。
この親番でもドラドラから積極的に仕掛けるが、またも薄い当たり牌を掴まされる役目を負わされる。

南2局
メンタルには一切の揺らぎもない金。
しかし現実に突きつけられたポイント差は、気持ちだけで埋まるものではない。
この半荘で復調の兆しを見出せなければ、あとは厳しい条件戦の連続となる。

安手はアガりたくない点棒状況だが、トータルトップの渋川の親を流すために仕掛けていく。

金(北家)
 ドラ

ここから3巡目に切られた1枚目のをポン。
すぐにを引いてテンパイすると、渋川から切られたもポン。
渋川もからリーチがかかるも、その渋川が当たり牌を掴み値千金の1000点をアガり切った。

この後、渋川を捲れれば理想形になっていたが、トータルトップ目を沈める大きな目的を果たした事には違いない。

仲林+53.9 木原+8.9 ▲渋川19.1 金▲43.7

(5回戦終了時)
渋川 +133.4
仲林 +87.3
木原 ▲29.6
金 ▲193.1
供託 +2.0

これで初日の5回戦が終了した。

★金 太賢
この5半荘、1人厳しい戦いを強いられていた金。
それでも気持ちを切らすことなく、要所要所の対応は流石と思わせるところがあった。
俯くことなく優勝へのプロセスを追い求めるその姿は、同卓者や観戦者の心に確実に焼き付いたはずだ。

★木原 浩一
なんとこの5半荘で木原のアガリは5回しかない。
しかし攻守に渡って協会ルールを熟知したその打ち筋で最小限のマイナスに耐えている。
経験に加え、決勝での戦い方も身に付けたはずの木原。
悲願の戴冠へ、協会のエースはこのまま終わらないだろう。

★仲林 圭
今回の決定戦でも、高水準の能力を存分に見せつけた。
実力伯仲の今回の面子においても、本命一番手と呼ぶに相応しい内容だった。
協会最強のスタンダードな打ち手が、小倉 孝以来の連覇に向け邁進する。

★渋川 難波
初の決勝戦で堂々の結果と内容を見せつけた。
確かに今日の渋川は押しても放銃が少なく、自身の勝負手をしっかりとアガり切る局面が多かった。
しかし、その選択にはルールと状況に見合ったバランスと、絶対的な読みの力が存在した。
簡単に独走を許す面子でない事は、渋川自身が一番わかっているだろう。
それでも、このタイトルを欲する気持ちは誰にも負けていないはずだ。

まだ10半荘もある、だがもう10半荘しかない・・・
各々感じ方は違えど、目指す先は一緒である。
最後の半荘、最後の局、最後の1牌まで、素晴らしい対局が表現されることであろう。

(文:橘 哲也)

2日目観戦記最終日観戦記

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