第12回関西女流スプリント決勝観戦記(1回戦)

第12回関西女流スプリント
決勝観戦記 1回戦

【担当記者:新田友一】

もう12回目なのか・・・、私にとって時の流れを感じるこのタイトル戦。
第1回は私の入会した11年前に始まった。
そして第1回は同期の水瀬千尋が戴冠した。
第3回に今回も出場しているこちらも同期の小松が戴冠し、第5回、11回と計3度の優勝を手にしている。
同期の活躍を何度も見せてくれる女流スプリント。
私の初タイトルはいつになることだろうか…

小松は過去4回の決勝進出で3回の優勝、決勝20半荘で9トップ、スコアは驚愕の+469.8ポイント。
最多の5回目の決勝進出となる今回も強気の麻雀で圧倒することができるか。

同じく最多の5回目の決勝進出となったのは鳥井ゆう。
そしてこれも最多の4年連続決勝となるが、決勝メンバーで唯一優勝経験がないのである。
だが決して見劣る成績ではなく、決勝の20半荘のスコアは+85.8。
もう準優勝はいらない、今年こそは頂点を!

4回目の決勝進出となったのは関西女流の大将と言っていいだろう、大島麻美。
第7回の覇者で、3年ぶりに決勝の舞台に現れた。
もうミラクルとは言わせない、必然の優勝と言わせてやろうではないか。

決勝は3回目で、今メンバー中最小ではあるが勢いは一番なのは夏月美勇であろう!
第8回の優勝から出産を経て母となり、前回のヴェストワンカップのファイナリスト。
優勝したら石原さとみ似の女の子を紹介してくれる約束を交わし、今年も私のイチ推しである。

さて今回は決勝常連が順当に決勝へ駒を進め、熾烈な戦いが見られるであろう。
みんな笑顔でカメラに手を振る様子から、緊張もほぐれた雰囲気の中1回戦が始まった。

■1回戦(大島-小松-夏月-鳥井)

さて対局が始まると、さっきまでの空気とは一変して真剣なまなざし。
いきなり親番の大島が5巡目にリーチといくが1人テンパイで流局となるも、1本場の次局でも9巡目に先制リーチ。

しかし、この局は他家の手が進行していることもあって押し返しに合いそうな雰囲気。
しかも今回のメンバーは攻撃型選手が揃った印象もあるので、親リーチとはいえそう簡単に引く者はいないだろう。

しいて言うなら夏月がこのメンバー内では守備寄りかと思われたが、この手牌。

567の三色も見えるためツモ切りたいところではあるが、ドラのも押す前提となりこの巡目では難しいところであるが意を決してのツモ切り。

これが大島のカンにストライク。
打点こそ3900ではあったが、この局を見てやはり今日は打撃戦が繰り広げられるんだろうと思えた。

次局も2人テンパイで大島は連荘となり東1局3本場。
そろそろ大島の親番に待ったをかけたいところに、6巡目の小松のリーチ。
待ちは1枚切れのペンチャン待ちと決していい待ちではなかったが・・・

麻雀は筋肉!と言う噂の通り、一発でツモって長い東1局に終わりを告げた。
そして、ここからは小松のターン。

500オールから始まり、注目は2本場。
小松の先制リーチに鳥井と夏月が襲い掛かる。
シャンポンでリーチのみの親の小松に対して、タンヤオチートイツをダマテンで押し続けた鳥井がドラのを引いてドラ単騎での追っかけリーチ。
夏月もダマテンで押し続けてきたが、ツモ切りで3軒目の追っかけリーチ!

は1枚生きていたが、夏月が掴んだのは親の当たり牌。
このめくり合いを制した小松が意気揚々と大連荘に成功し、持ち点を48000点まで伸ばして東2局5本場。

すでに1時間が経過しているが、まだ1回戦の東2局である。

鳥井にビッグチャンスが訪れる。
この理牌を見て欲しい。

の位置にあるのは
これが名物鳥井流おまじない!

自然とこの理牌をしながら淡々と打っているのが、案外これを意識的にやろうとすると難しい。
今回は1枚だけだが複数欲しい数牌の別色の牌が埋め込まれた手牌をみると、もうわけが分からない(笑)

さて、今回はおまじないが通じずに大島のアガりでやっと東2局が終わる。

次は夏月のターン、とはいかず一瞬にしてトップ目の小松が局流しに成功。
1時間以上待ってやっと来た親番が1分ほどで終わってしまう。
まるで遊園地の人気アトラクションに並んだのに、運転中止を食らったかのような虚しさである。

さて、小松に突き放された大島だが、ここまでしっかりと耐え抜いて点棒は3万点付近をキープ。

再度トップの座を奪い返したいところに絶好のチャンス。
役牌2つを序盤にポンしたところでホンイツのテンパイが入っている。
河にはピンズと字牌しか切れていないためホンイツとも断定できず、小松からの直撃も狙えそう。
これが思った以上に長引くが、きっちりと仕留めることに成功。
小松の背後に忍び寄る。

そして南2局にこの半荘の天王山が訪れる。
親の小松が13巡目に盤石のドラ2両面の先制リーチを入れる。
同巡、ダブ南を対子落としした夏月の追っかけ、ここに大島も参戦して3軒リーチ。

大島は平和高め一通ドラ1のテンパイなので当然の勝負ではあるが、ハイリスクハイリターンの至高のめくり合いである。
決着はすぐに訪れた。

連覇を狙う小松がライバルの大島から捕らえる形となり大勝利!
この半荘のトップを決定づけた。

見どころの多かったこの半荘、オーラスに熾烈な3着争いをしている夏月の1巡目を見てほしい。

小松の第1打のからチー。
親を流せばいいだけの小松が上家にいるため、この後のアシストも期待できる。
ツモも伸び、思惑通りに小松からもう一つ仕掛けることにも成功。
優れた状況判断から、見事アガリに結びつけ3着を守り切った。

4者が存分に持ち味を発揮して、2時間超のロングゲームとなった1回戦が終わった。

小松 +73.7
大島 +8.9
夏月 △26.0
鳥井 △56.6