第20期雀竜位決定戦観戦記 2日目(9回戦)

第20期雀竜位決定戦観戦記
2日目 9回戦

【担当記者:仲林圭】

敗退者が決まるまで残り2回戦。
唯一のA1リーガー下石と、現雀竜位の富永が苦戦している状況だ。
どうにか最終日に残るために、この二人がどのように戦っていくのかが焦点になる。

9回戦(小池-秋山-下石-富永 ※抜け番:吉田)

東1局
下石が果敢に仕掛ける。

オタ風のをポンし、カンの5200の聴牌。
それに対し、親の小池。

門前のホンイツ聴牌。
ここで、小池が長考に入る。
カン待ちにするか、のシャンポン待ちにするか、、、

に関してはホンイツの下石がいるので出アガリは厳しい牌。
それに対しは下石が持っていないことがほぼ確定している。

意を決して選んだ牌は。メンホンイーペーコーのカン待ち。

実際は下石ともちもちになっており、カンは山に3枚。
しっかりと山にいる牌を選ぶことができ、さすがの選択だった。

しかしながら、この長考が全員を受けに回すことになってしまった。
他家全員が「おいおい小池さんよぅ、絶対メンホンテンパってるでしょ?マンズはもう切れんなぁ」と思っていたに違いない。

案の定、秋山、富永はマンズとピンズが切れなくなり撤退。
そして仕掛けていた下石も持ってきたでノータイム切り。テンパイを外し受けに回った。
最終手番でを引き下石がテンパイ復活。小池、下石の二人テンパイで流局。

そこから小池は2600は2700オールや2600の出アガリなどをし、着実に点差を離していく。

東3局

筆者は富永のことを「シュウ・トミナガ」と呼んでいる。
昔、料理の鉄人というテレビ番組に鉄人として出ていた「炎の料理人・周富徳」をもじりそう呼んでいるのだ。

そして、炎の愛妻家・修富永が反撃を繰り出す。

ドラののシャンポン待ち。ドラをツモればバイマンまである手だ。
それに対し、小池がまたしてもメンホンのイーシャンテンになる。

富永の仕掛けはを先に切っているところからをポンし、打
タンヤオの仕掛けであればの切り順が逆になりそうなので、役牌やトイトイが本線に見えるだろう。
そんな中が場に放たれるが、富永にが切れないためスルーを選択。
放銃ではないもののは富永に暗刻の牌。小池のピントは合っていたと言って間違い無いだろう。

この局は富永がをツモ、3000/6000。
現雀竜位、そして炎の愛妻家としての意地を見せ小池に肉薄する。

しかし東4局・南1局・南2局で下石が2000/4000・3900・1000と連続して和了、トップ目に立つ。
苦しい展開となった秋山以外の3名がほぼ並びでオーラスを迎えた。

南4局
富永:25700
小池:30100
秋山:13600
下石:30600

親の富永は自身がトップに立つことが最優先だが、それが難しい場合は最低でも小池に下石を捲ってもらい、直対相手のトップを阻止したい。
そして下石は3日目に進むために是が非でもトップが欲しい状況だ。

6巡目、小池がをポンしカンのテンパイ。
なんとこの待ちが山に4枚残っている。
さらにツモで待ちに変化し盤石の形。

やっとイーシャンテンになった下石のところに、小池の当たり牌を持ってくる。
小池の仕掛けはかなり捨て牌が濃くテンパイ濃厚。

筆者と下石は一緒に勉強会を行っている。
そこで下石の読みの話をよく聞いているのだが、現發王であるこの仲林でも彼の読みには一目置くぐらい深い読みをしてくる。
ここは笑うところなので、しっかり笑うように。

そういったこともあり、当然下石は打たないと思っていた。
しかし、この極限状態の中ではエラーが出る可能性もある。
いつもの下石であれば絶対に打つはずがない牌だ。

下石はそんなに考えることもせず、を切った。
いつもの下石だ。この極限状況でもかかることなく冷静に打てている。

を重ねを引き、当たり牌をきっちり止めながらイーシャンテンに復活。

ハネマンツモで3着、倍満ツモでトップの秋山がタンヤオドラ1のカンテンパイ。
そこにを引くもすぐに切り、当然のように小池の当たり牌を止める。

なんと美しい攻防なのだろうか。
二人が小池の当たり牌を止め、勝負が長引き16巡目となる。

秋山が再びを切ればテンパイという状況になる。
先ほどと違うのは、フリテンながら567のタンピン三色のテンパイ。
リーチしてツモれば、リーチ・ツモ・タンヤオ・ピンフ・三色・ドラの一発か裏ドラでトップまで狙える手に変わっていた。
危険なことは秋山だって百も承知。
しかしながら自分の手牌に光明が見えてしまった今、を切りリーチを宣言。

小池にとっては長い長い10巡だっただろう。
安堵の表情を浮かべながら手牌を倒した。

小池−下石−富永−秋山の並びで9回戦が終了した。

小池がトップを取り敗退の危機から抜け出し、この時点で首位に躍り出した。
それに対し、最終日に駒を進めることができるのが現雀竜位の富永か現A1リーガーの下石のどちらかという争いになる大波乱。

2日目の最終戦、二人の争いから目を離せない。