第22期新人王戦決勝観戦記(1回戦)
第22期新人王戦決勝観戦記
1回戦
【担当記者:武中進】
今期の新人王戦参加者は歴代最多となる236名。
昨年の180人を大きく上回っての記録更新となった。
筆者が出場した第2期新人王戦が32名だった時と比べ、参加者は20年で約8倍。
つまり数字だけで見ると、第2期で優勝するよりも、今期決勝に進出することの方がはるかに難しい計算になる。
そんな決勝メンバー4名は以下の通り。
■藤井啓志(21期後)
■黒田遼河(21期後)
■晃平(18期前)
■柊みれい(22期前)
昨年と同様、ほぼ全員が事前情報無しの選手達。
たった一人の勝者を決める、過酷な戦いが始まる。
■1回戦(藤井-黒田-柊-晃平)
最初のアガリは東1局1本場、親番の藤井だった。
、をポンして黒田より5800は6100のアガリで先制。
ちなみに放銃した黒田の手牌はこう。
仕掛けを入れていた藤井の現物でこっそりテンパイしていた満貫手。
ただ藤井の仕掛けと捨牌を考えると、掴んだは本命の一つゆえ、三色を崩しての切りリーチの選択肢もなくはなかっただろう。
ただそれはそれで勇気がいる決断なのは事実。
この手をすんなりとアガれなかったことも含めてモヤモヤした立ち上がりとなった。
ただそれ以上にモヤモヤした立ち上がりとなった男が北家の晃平だった。
次局の東1局2本場、ダブリーを入れるのだが、、
なんとこれが柊に追いつかれ、メンタンピンドラ2裏1の12000は12600の放銃に。
ほぼ選択の余地0にて強烈なビハインドを背負うという中々に心をえぐられるスタートとなった。
これをアガった柊が東3局の親番でさらに駆け抜ける。
まず0本場にてライバル目の藤井との競り合いを制し、12000を直撃し頭一つ抜けたトップ目に。
そして次局は4000は4100オール。
両方ともダマテンの選択もありえる形手だったが、積極的にリーチ。
それにどちらもツモや裏ドラがその期待に応えてくれた。
だが、この後に他3者の反撃が始まる。
まずは次局に黒田が8000は8600を柊から出アガリ。
途中のトイツ落としといい、黒田の手作りには共感できる手順が多い。
次に、ここまで7800持ちでダンラスだった晃平が、東4局の親番で起死回生の12000をリーチしていた藤井から出アガリ。
かと思えば、それによりラスに叩き落された藤井が1本場で起死回生の2000/4000は2100/4100。
南場突入時点で点棒状況が以下の通りとなっていた。
藤井 15800
黒田 18800
柊 48700
晃平 16700
東場にて満貫以上のアガリが6回出ている超打撃戦。
その割には、柊以外の3人は大接戦かつトップもまだ絶望的ではないという状況である。
比較的静かな進行が続いた後の南3局。
親番の柊がドラのをポンし、タンヤオで黒田より12000のアガリ。
これでさすがにトップを決定づけた。
その後ある程度復活した晃平が2着、藤井が3着。
上述の失点などが響いた黒田が4着となった。
1回戦は全員の攻撃的な姿勢がかなり印象的だった。
たった一人の優勝者だけがすべてを勝ち取る戦いゆえ、前のめりになるのは当たり前なのだが、4者全員が中々に積極的な今回のメンツ。
2回戦も激しい戦いが期待できそうだ。
既述以外の局で特に印象的だったのが、南2局の晃平のリーチ。
なんと待ちはフリテンかつ場に3枚切れ。
確かに他家3人がノーテンに見える局面なので、低リスクかつツモった時のリターンが高いことを考えるとリーチも選択肢としてはあり得るが、中々打てるものではない。
この積極性が2回戦以降も見れるのか、興味深い所だ。