第24期女流雀王決定戦観戦記最終日(15回戦)

【担当記者:五十嵐毅】
座順・夏目-逢川-望月-奥村
最終日、永世女流雀王が猛追。ここまで3トップ、2着1回。
しかし残る1回のトップが奥村で、逢川トップの回はすべて2着。距離はなかなか縮まらないまま最終戦。その差144.4ポイント。現実的には難しい。
本日すべて赤字の望月、夏目の2人はもう無理と言っていい。3位争いとなるだろう。
「64400差のトップラス、84400差のトップ3着、なんなら、順位気にせず10万点稼いじゃえ」と、つぶやきながら逢川は席に着いた。
東1局、望月が1000・2000。東2局、逢川の1人テンパイの後の1本場、逢川が連覇への執念を見せる。
6巡目にをリャンメンでチーしただけの逢川、次巡
をアンコにしてホンイツのテンパイ。役牌はないが、雀頭の
がドラ。親満である。この巡目ならば奥村狙いの山越しが行けると踏んだ。

夏目がを打つ。スルー。

9巡目、奥村はを引いて雀頭無しのままテンパイが入る。
夏目が、次巡
を打っている間、逢川はツモ切りだ。
奥村はまず、を打った。

こう打ったら、次に出て行くのはである。

逢川、12000の直撃に成功。

あとは4万点ほど稼ぐだけと、連覇が現実化した。
放銃した奥村だが、3枚前の画像を見返してほしい。
ピンフにはすぐ手変わりしそうだし、789三色の変化もある。なによりこのままひょっこりツモもあるかもしれない。
しかし、カンチャン、ペンチャンならともかく、6巡目のリャンメンチーは緊急警報が鳴っていると言っていい。ドラ1くらいの手ならばリーチを狙ってもう少しメンゼンで頑張るだろう。
逢川の捨て牌はちょっと見、一色手とは断言し辛いが、を鳴いたときが
、
をアンコにしたときが
で字牌が後出しである。一応、ピンズを警戒するべき。
そうでなくとも、ドラがのこの局、
とはずしていくと、ドラ引きが後手になる。
逢川のゲンブツで薄くなっているや
を打って
重なりのピンフテンパイに期待する――経験値が高い者、つまり決勝でリードする立場に立った回数が多い者ほど、そう打つのではないかと思う。
2本場は全員、手が遅かった。夏目が13巡目にようやくテンパイしてリーチ。はドラ、
ならばタンヤオとイーペーコーが付くピンフ
–
待ち。

逢川は456の三色狙いで手を作っていた。一発目にを掴まされる。次巡、夏目が
をツモ切る。

これをチーすれば三色確定。問題は待ちにするか、ドラタンキにするか。
ハイテイ間際ならばテンパイだけで良しとしてドラタンキにしたかもしれない。しかしまだ十分アガリが見込める巡目だ。
数秒間、捨て牌を見渡した逢川。

こちらが逢川目線での捨て牌だ。
たしかに待ちはいい。
「アガリ率がちがいすぎる」という理由でを切って放銃してしまう。
すると裏ドラで満貫。
この夏目のアガリで奥村はホッとしただろう。逢川が点棒を減らしたこともさることながら、親が落ちたからだ。
東3局、夏目がリーチツモ裏1で1000・2000。これでトップ目に立つと同時にトータル3位に浮上。
東4局、親の奥村はをポンしてアガリに向かう姿勢を見せたが、夏目のホンイツ仕掛けに打てないソーズを掴んでそそくさとヤメ。この局はドラ
トイツでイーシャンテンの望月が夏目に
で放銃。

夏目と逢川の点差が開く。奥村にとっては好状況。
南1局、望月がピンフ–
待ちでリーチ。親の夏目はすでに3位浮上の条件を満たしているので無理しない。
アンコでテンパイしていた奥村と2人テンパイで流局。
南2局、逢川の親番。奥村にとって最後の難関。
逢川の手は遅く、ようやくイーシャンテンになった14巡目、ピンフのテンパイを入れていた奥村がツモ。22年ぶりの返り咲きが確定した瞬間である。

南3局、行くしかない望月が連荘。まずは夏目から3900。
1本場は逢川から3900+300。この時点で望月は2着に。
2本場、後はゴールするだけの奥村に手が入る。アンコの手で仕掛けもOKの手だったが、メンゼンでカン
を引き入れテンパイ。ペン
の受け入れを残していたので
を切って
タンキ。そこから仮テンのタンキを変えていくうちに
をツモって安定のテンパイ形に。そのため高目三色の満貫手になってしまった。

これにで放銃してしまったのが夏目。

望月の親を流せるので、奥村への放銃は構わないが、「8000は高すぎる」という夏目の苦情が聞こえてきそうだ。
これで3位争いがどうなったかというと、夏目はまだトップ目だが29100点。望月が2着で25100点。
元のポイント差が45.3。トップ2着の順位点は40差なので、夏目は望月に5300差を付けなければならないが現在は4000点差。1300足りない。
夏目は1300で同点。同点はAリーグ首位の夏目にアドバンテージ。1000点ならばツモか直撃。
望月は何でもアガればOK。アガれなくてもテンパイさえすれば、奥村が必ずノーテン終了させるので3位キープとなる。
夏目は5巡目にカンをチー、タンヤオに向かう。上家の奥村は逢川のゲンブツを溜め込む作業をするだけで、夏目に対して絞ったりするわけがない。さらに
をチーさせてもらい、次巡くっつきの形に
を引いてテンパイ。この時点で5枚残りだった。
逢川の切ったを2回見逃した後にツモ。

わずか0.1P差で3位に滑り込んだ。
奥村知美。第2期、

そして第24期女流雀王。

第1期の手塚紗掬さんは、いまは連盟なので協会で奥村がもっとも古く、もっとも新しい女流雀王である。
同一タイトルを20年以上のブランクを空けて獲り返したという例を聞いたことがない。おそらく業界初だろう。
奥村は協会入会期が1期後期となっているが、最高位戦25期を受けている。当時22歳。アニキも若かったのだ。
この年、理事会でC2リーグを作って増員することが決まっており、試験で落ちた者を1年間研修リーグで繋ぎとめておくことになった。それに出席するように説得したのが私である。その点では、鈴木達也と同期である。講師を務めたのは私と村上淳さん。
だが、出産のため26期は受験できず、協会設立半年後に協会員となり、すぐに女流雀王となった。
その後は、期待した活躍はできなかった。
しかし、ここへ来て3年連続で決定戦に進出している。そして22年振りの戴冠。
おそらく子供が成人し、手を離れたことで麻雀に費やせる時間が増えたのではないかと思う。奥村が子育てしていた頃はまだ産休、育休の規定がなかった。大変だったと思う。
第24期女流雀王、おめでとう。誘い込んだ責がある者としても、本当に感慨深いものがあります。








