第21期女流雀王決定戦観戦記2日目(9回戦)

第21期女流雀王決定戦観戦記
2日目 9回戦
【担当記者:五十嵐毅】
9回戦(水崎-逢川-中月-佐月 抜け番・澄川)
事件が起こったのはラス前だった。
背水の陣の親番・中月。
逢川のホンイツ七対子リーチを、喰い一通でなんとか凌いで迎えた1本場。
持ち点は、
佐月 35500
中月 27400
水崎 25400
逢川 11700
しかし、ここまでのトータルポイントは中月が大きく離されている。
中月は10回戦が抜け番なので、この半荘このまま佐月トップ・中月2着では、本日での敗退がほぼ確定してしまう。
佐月を捲ってのトップ必須だが、ただのトップでは10回戦での佐月・澄川にあまりプレッシャーを与えることにならない。
できればトータルで澄川の上に行けるようなでかいトップが欲しいが、そこまでは無理でも、澄川・佐月がラスを引いた時には入れ替われるくらいのポイント差にしておきたい。
1本場で手にした配牌は10種11牌だった。

これはこれでいい。どうせでかいトップが必要なのだから。
分岐点が4巡目に訪れる。
を引いてトイツ4組、混老頭七対子の2シャンテン。
もちろん喰っても親満以上が保証される。
中月は長考の末、トイツの
を切った。
国士一直線、もう戻れない。

水崎が8巡目にリーチ。
ドラの
タンキ。

これはすでに1枚切ってかつ手に使っていた佐月の手にもう1枚入ってすぐカラテンに。
14巡目、中月がついにテンパイする。
マチ。
直後に、逢川が中月の切った
をポン。
3フーロでホンイツをテンパイするも、ここもカラテン。

水崎、逢川カラテン、トップ目佐月は防戦一方。
こうなればアガれるのは一人しかいない。
中月が3枚残りの
を引きアガった。

これにより、中月の持ち点は76700。
このまま終われば+96.7で、180以上あったマイナスを半減できる。
同時に10回戦の澄川に「ラスはやばい」とのプレッシャーを与えられる。
トータルマイナス組のもう一人、佐月はこの半荘2着ならばあせる必要がないが、雲行きが怪しくなる。
南3局2本場、持ち点△4400と箱下になった逢川が配牌4枚の
をカン。












ツモ
ドラ
好形のイーシャンテンである。
佐月はメンゼンでも行ける手だったが、
チーから入ってピンズの一色手へ。
2フーロでテンパイ。










ドラ

直後に逢川がテンパイ、即リーチ。












ドラ

佐月が
を掴んで放銃。
すると、裏ドラ表示牌に
!!

佐月、ラス目へのハネ満放銃で、持ち点はこうなった。
中月 76700
水崎 8300
逢川 8200
佐月 6800
オーラス、ラスにまで落ちた親の佐月はもはや行くしかない。
イーシャンテンでドラの
をツモ切ると、西家逢川がポンしてテンパイ。
佐月、
を引き入れてリーチ。












ドラ
しかし、逢川がツモ。

佐月、ラス前とオーラスで32000以上の点棒を失い、トップからラスにまで落ちてしまった。
中月は大トップで、トータルを△89.0とした。
10回戦抜け番なのでこの数字は固定である。
佐月は△74.0、澄川は△42.1である。
佐月は24900持ちの3着以下で敗退となる。
25000配原の麻雀なので、3着ではほとんどダメということだ。
澄川は46.9差なので、△17.0のラスにならなければいい。
点箱に13000点以上残せれば敗退は免れる。
中月の16000オールから、3者のサバイバルレースが凄いことになってしまった。







