第21期女流雀王決定戦観戦記3日目/最終日(13回戦)

日本プロ麻雀協会 第21期女流雀王決定戦観戦記 最終日

第21期女流雀王決定戦観戦記
最終日 13回戦

【担当記者:坪川義昭】

水崎がトップを取ったことによって優勝争いから一歩抜け出した。
ここからの水崎のミッションは残り3回の内1回トップを取ることによって優勝濃厚のムードを演出することだ。

というのも、この3回で一度もトップがない場合はかなりの確率で13回戦、14回戦のトップ者との一騎打ちや団子状態になってしまうからだ。

最終戦にリスクを負って勝負することになるのであれば、残り回数が多い段階でリスクを負った方が取り返しは付きやすい。

残された3人は優勝を決定づけさせないように、水崎だけにはトップを取らせるわけにいかない。
特に澄川はその上で自身の連勝が必須となるのでもう後がなくなっている。

東3局
ポン  ドラ

佐月がホンイツのイーシャンテン。

水崎にテンパイが入るものの、打点的には見合うが枚数は心許ない。ここは迂回を選択。
リスクを負う場面はここではなくもっと先に存在する。

南1局1本場
  ドラ

またもや同じような佐月の仕掛けが入る。

既にリャンメンテンパイが入っていた水崎だが、ダマテンに構えてドラを引いて勝負手に変化。
が澄川にポンされているので待ちは増えていないのだが打点は跳ね上がった。しかし水崎はここでもリスク回避。

全員の手牌が見える放送対局では、イーシャンテンの相手に勝負手のテンパイを崩すことは見栄えはよくないが、元女流雀王佐月の仕掛けに対するリスペクトもあったのだろう。
佐月にとっては通常運転の仕掛けなのだが、水崎を封じ込めるには抜群の効果を発揮している。
こういった選択をさせることが出来たことによって、試合が長引き始める。

結果的には絶対連勝条件の澄川がトップを取ることとなった。
それは意図的に逃がされたようなものではなく、佐月と逢川の勝負手がぶつかり合う展開で序盤にアガった8000点がほぼ減ることなく手元に残った結果である。

が3枚切られており、佐月や水崎の手牌にが組み込まれている可能性は高いので優秀な待ちとは言えないテンパイではあるが、トップ目というワードが彼女の脳裏を過っていることだろう。

ゲームはまだ東3局の序盤だ。ミッションは必ずトップを持ち帰り首の皮一枚を繋ぐこと。
これは元々の打ち筋や性格からくることでもあるが、迷った時はリスクを控えめにという、まずは一番自分にとってマイナスなことから考え始める思考じゃないだろうか。

もし、澄川が優勝するならば残り2回でこの壁を破った時に希望の光が見えるような気がした。

オーラスに水崎が2着に浮上してゲームセット。
この状況で2着だったか3着だったかはあまりトータルポイントには影響しないが、次回トップを取った1人が水崎への挑戦権を得る。

もう最後まで戦えるのは1人だけ。