第22期雀王決定戦観戦記 2日目(9回戦)
第22期雀王決定戦観戦記
2日目 9回戦
【担当記者:坪川義昭】
8回戦でも紹介したように堀の戦い方は一切緩めずに相手の心を折りにいく。
所謂『雀王になるアガリ』をひたすら愚直に求め続ける。
この二日間を通して、ただの一度も堀は相手に背を向けることをしない。
ポイントをいくつ上乗せしてもだ。
何戦目を見直しても変わらず、そして結果も堀に優位に浅井と矢島には不利に働き続ける。
長時間見続けているとどこかパラレルワールドに迷い込んだかのような感覚になってくる。
東2局
親番の浅井がすぐさま牌を横に曲げる。待ちの場況も悪くは無いリーチの一手である。
堀の手にはドラのが2枚あるとはいえ、まだテンパイには程遠い。
常人の感覚では現物のを中抜きといったところだろうか。
親リーチの一発目にこの進め方が出来る打ち手が何人いるだろうか。
フラットな状況でも難しい判断の上に自身のポイントは300p近くあるのにも関わらずだ。
ここまで育てばやっと同じ選択が出来るようにはなるだろうが、この手牌になっている人間がそもそも多く無い。
この二日間何度見せつけられてきただろうか?
もうこの先見ずとも結果はわかる。
浅井は力無く河にをおいた。
何度でも言うが途中からこの手牌進行になる打ち手はいたとしても、親リーチの一発目から同じ選択が出来る選手は他にいない。
東3局
仲林に本手が入る。
リーチの時点では既に浅井の手牌に4枚とカラテンになっているのだが、ここからの話にはあまり関係はない。
リーチの一発目に堀が躊躇いもせずに放ったのはなのだが、これがまた無筋の上にドラなのだ。
–の強さ、相手3人の河を読み取ると手牌進行的に字牌を必要としていないように見えるなどの総合判断でこの手の価値を見出しているのだが、それにしてもアッサリとに手をかける堀には人外な要素すら感じてしまう。
10年数年前に協会を席巻したゼウス無き今。
小さな天才が神に一歩また一歩と近付いていき、我々にはもう届かない存在になってしまうような感覚に陥った。