第22期雀王決定戦観戦記 1日目(2回戦)

第22期雀王決定戦観戦記
1日目 2回戦

【担当記者:中島由矩】

2回戦(堀-矢島-仲林-浅井)

戦前のインタビューで「協会に堀慎吾あり」を思い出させると語った堀が、1回戦のトップを手中に収め、順風満帆なスタートを切った。

同じ戦前のインタビューで「良い内容で勝ちたい」と語った矢島は、後にこの2回戦をどう振り返るのだろう。

東3局、先制リーチはラス目の浅井。

12巡目にカン麻雀牌:三筒を引き入れ、麻雀牌:九筒とドラの麻雀牌:八萬のシャンポン待ちでテンパイすると、麻雀牌:発を横に曲げる。

そういえば、やじ研という名の勉強会で「ドラ色のホンイツはバラ色の人生」と筆者に教えてくれたのは矢島だった。

浅井のリーチを受けた一発目。ツモ麻雀牌:九萬で小考。しかしここで考えたのは、何を切るかではなく、

麻雀牌:一萬から切るか麻雀牌:二萬から切るか

麻雀牌:四萬麻雀牌:七萬が出たときにチーをするか

麻雀牌:七萬が入って多面張になった時にリーチを打つか

あたりだったと思われる。

ちなみに、浅井のリーチだが、待ち牌の麻雀牌:九筒麻雀牌:八萬は、麻雀牌:八萬が矢島のホンイツに1枚、さらに堀がジュンチャン三色含みで麻雀牌:八萬を1枚と麻雀牌:九筒を1枚使っており、山には麻雀牌:九筒が1枚だけだった。

矢島の選択は、仲林のチーも考慮して打麻雀牌:二萬から。すると注文通り仲林が鳴き、タンヤオのテンパイを入れた。麻雀牌:二索麻雀牌:八索のシャンポン待ちだ。麻雀牌:二索は堀の河に、麻雀牌:八索は矢島の河にそれぞれ1枚ずつあり、あまり感触は良くないものの、とりあえずという感じ。

仲林は3年連続4回目の決定戦になる。

麻雀は4人でやるゲームだから、「そろそろ自分の番がくるんじゃないか」と語っている。

ディフェンディングの浅井はもちろんのこと、堀・矢島も雀王経験者。ここは勝って、初めての雀王の座を射止めたい。

しかし、そんな仲林のもとに訪れたのは、浅井の入り目である麻雀牌:三筒だった。これは苦しい。

■自身の打点が1000点であること

麻雀牌:三筒麻雀牌:六筒がリーチの浅井に打ちづらいこと

麻雀牌:二索麻雀牌:八索のシャンポン待ちに自信がないこと

などを考慮して、この麻雀牌:三筒を手に留め、仲林は打麻雀牌:八索として回った。ピンズは自身で麻雀牌:一筒麻雀牌:七筒麻雀牌:八筒と河に放っているが、巡目も深く、形式テンパイになることも受け入れられるか。

その次巡、矢島がツモ麻雀牌:六萬でテンパイを入れる。待ちはペン麻雀牌:七萬とやや不満であるものの、中・メンホン・ドラ1に三暗刻もついて跳満のテンパイだ。予定通りペンチャンターツ外しの麻雀牌:一萬をそっと河に置いた。

麻雀牌:八索をトイツ落とししている間にツモ麻雀牌:二索を引き入れた仲林は、今度は麻雀牌:三筒麻雀牌:六筒待ちでテンパイしているところに、ツモ麻雀牌:七萬

これが河に放たれ、矢島が牌を倒した。

この表情は、

(やじー、張ってたの?)

で合っているだろうか。

一方、浅井のリーチをかわし、トップ目の仲林から12000を直撃した矢島はこの表情。

(圭くん、浅井くん、悪いね。)

としておく。

こうして矢島がトップ目で迎えた南4局は、

この配牌が入る。矢島はこれを積極的に進め、また上家堀のアシスト気味の打牌もあり3フーロできて、

最後は、親番維持で一直線に手を組んでいた浅井から麻雀牌:三萬を打ち取った。

これで開幕2半荘ラスラスとなった浅井。

4者の中で唯一リーグ戦を戦っていないビハインドがあるのかと思いきや、浅井にとってこの1年は「雀王として大きな舞台に出ることができて経験を積めた」宝物のような時間だった。

最強戦、IKUSA、さらにビーストドラフト会議指名オーディションではファイナルまで勝ち上がって麻雀界をわかせ、多くのファンを増やした。

四者四様の物語は、この後どういう結末を迎えるのだろう。1冊の小説を読んでいるような、1本の映画を見ているような、そんな気持ちにさせてくれる決定戦だ。

勝ち負けだけなら4日目の20回戦だけ見れば分かる。しかし、20回連続で見ることで、あるいはこの観戦記を読み返すことで、選手たちそれぞれのストーリーを感じてもらいたい。