第22期雀王決定戦観戦記 2日目(10回戦)
第22期雀王決定戦観戦記
2日目 10回戦
【担当記者:坪川義昭】
『龍を継ぐ者』
仲林の右腕に宿る龍が目覚めた。しかし、勝負はまだ中盤である。
この回のトップは決まったようなものだが、仲林が目指す場所はこの先にある優勝の二文字なのだから出したのは龍ではなく虎だったかもしれない。
やはり団体の頂点を決める闘いは一筋縄にはいかないのだ。
おそらくこの世の誰にも解説が出来ないようなプレーが発生する。
役牌のをポンした堀は想定通りドラ単騎のテンパイを組むのだが、既に仲林からリーチが入っている。
注目はをではなくと晒してを切っているところだ。
リーチにはもも通っておらず、単純な安全度では断然の方が通りやすいはずだ。
勿論も通っていないわけだから、わざわざ二筋にかかる方を切るはずがない。
堀曰く仲林のリーチ宣言に『少しだけ躊躇を感じた』とのこと。
映像で確認したもののリーチを宣言するまでにかかったのは0.5秒だ。
それが故に手牌には愚形が残るテンパイという印象を持ったという。を切っていることによってシャンポン待ちに関してはの危険度の方が逆転するという思考だが、
ヤバイだろ…
正直な気持ちとしてはそんな感想しか出てこない。
南3局
大量リードを手にした仲林が隠れた好プレーを魅せる。
親の浅井が役牌のをポンしてこの形。
たいした打点も見込めない手の仲林はここからホンイツの浅井にマンズを下ろしていく。
重要なのはこの段階で切っていくのは複数持っている牌というところだ。
こうしておくことによって、この後手出しが入ったタイミングで改めて鳴かせることが出来る。
実際に1枚目の段階では鳴けなかった浅井だったが、再度差し出されたを鳴いて4000オールのアガリを拾う。
これによって堀がラス目に落ちる。
演出家仲林は最後の仕上げに移った。
次局矢島がダブ南を仕掛けて2副露。
自身の手を進めつつ対面に座る矢島に当たりやすい牌を選び抜く。実際に一手進んでいればロン牌になっているだけに的確だ。
その後も自身の手を崩して差し込みを敢行するが声はかからず。
仲林が差し出した牌は矢島の必要な牌だったのだが、テンパイが入っていなければ声がかけられない。
しかしながら、仲林の手牌読みの精度、高度な戦略を披露した二局となった。
折り返し地点を過ぎて上下の差がかなり大きなものになってしまった。
浅井、矢島がこのまま何も出来ずに終わる未来は全く想像出来ないが、堀と仲林が崩れる姿も想像が付かない。
協会の未来を背負う四名の闘いは最後まで見逃せない。