第20期女流雀王決定戦観戦記3日目(13回戦)

日本プロ麻雀協会 第20期女流雀王決定戦観戦記 最終日

第20期女流雀王決定戦観戦記
最終日 13回戦

【担当記者:田籠 謙介】

佐月と逢川の一騎打ちの様相を呈して迎える13回戦。
奥村と中月はトップかつ佐月と逢川を3、4着となる並びを作らないと優勝戦線から脱落濃厚の厳しい局面となる。

東1局、親の奥村が好形の配牌を貰い、4巡目にドラを引き入れ打でリーチ。

東1局0本場 東家奥村 4巡目
 ドラ

カンツになった場合、よりの方が打点を高く出来るが、少しでも他家に有利な捨て牌の情報を減らそうという繊細な思考を伺える。

中月もドラ対子のチャンス手を入れており、奥村同様に後が無いため、親のリーチに対して降りる気は無くをアンカン。
このが新ドラとなるが、無スジのを抱えつつ、も2枚切れと勝負できる形になっていない。
せめてを切ってからカンすべきでなかっただろうか。

この後、中月がをチーして打により奥村へ放銃。
カン裏がとなり、開始早々に中月は12000の失点となった。

良いスタートを切れた奥村は好調のまま、またも4巡目にリーチ。

東1局1本場 東家奥村 4巡目
 ドラ

11巡目に裏ドラが乗らないものの1000は1100オールのツモ。

東1局2本場、解説の矢島から染め手のアドバイスを受けたという奥村が丁寧な手作りを経てテンパイ。

東1局2本場 東家奥村 12巡目
 ドラ

ここで一手替わり純チャン3色のテンパイを入れていた逢川が少考。

奥村の捨て牌が先に切り、手出しと途中でピンズのホンイツ移行が濃厚にみえる。
生牌の中は切り難いものの、ピンズか字牌が最終手出しで無く、イーシャンテンと踏んで打としたが、奥村に掴まり18000は18600の放銃となってしまった。

奥村の独走を何としても止めたい中月が終盤にドラ3の仕掛けをテンパイ。

東1局3本場 北家中月 14巡目
   ドラ

ようやくテンパイに追い付いた佐月が長考の末、リーチ。
中月のドラ3仕掛けが怖いものの、がヤマに埋もれていてもおかしくない。
アガり切れば逢川との点差を離すチャンスと踏んだようだ。

東1局3本場 西家佐月 16巡目
  ドラ

しかし、無情にも一発でを掴んでしまい、中月に8000は8900の放銃。
恐らく、佐月も普段のリーグ戦ならヤミテンに構えていただろうが、点数や場況から勝負どころの条件が揃ってしまうと、不利でも攻めざる得ないのが決勝戦の難しい所だ。

この後、東2局 中月が4巡目リーチ、流局。
東3局1本場 奥村が6巡目リーチ、1300は1600の出アガリ。
東4局 奥村が4巡目リーチ、5200の出アガリ。
南1局 中月が6巡目リーチ、一発で高めを手繰りよせ3000/6000のツモ。

と、展開がとにかく早い。
こうなっては佐月も逢川も手を出せなく、まさかのトータル1、2着が
佐月2200点、逢川1300点とトビ寸前までに追い詰められてしまった。せめて、佐月より順位を上にしたい逢川は丁寧にテンパイ後の待ち変えを経て2000オールをツモ。

南2局0本場 東家逢川 14巡目
 ツモ ドラ 裏ドラ

南3局はリーチ、一発でを手繰りよせ3000/6000のツモ。

南3局0本場 北家逢川 7巡目
 ツモ ドラ 裏ドラ

逢川は辛くもトータル首位に躍り出たが、逢川と佐月にとっては苦い半荘となってしまった。

終わってみれば、逢川と佐月の着順を3、4着の並びにしての5万点オーバーと最高の形で半荘を終えた奥村。
18年振りにアニキらしく力ずくで女流雀王の座をもぎ取ってしまうかも知れない。
・・・あ、アネキらしくです。。