第20期女流雀王決定戦観戦記2日目(10回戦)

日本プロ麻雀協会 第20期女流雀王決定戦観戦記 2日目

第20期女流雀王決定戦観戦記
2日目 10回戦

【担当記者:五十嵐毅】

中月-佐月-逢川-奥村

東1局、親の中月が10種10牌の配牌から国士へ。5巡目にイーシャンテン。派手な捨て牌に注目が集まるが、その陰で佐月がドラ2枚組み込んだイーペーコーを完成させ、こっそりとテンパイ。

ドラ

奥村が放銃して5200。現在首位の佐月が好スタートを切る。

東2局、奥村が4巡目リーチ。

ドラ

をツモると、裏ドラがでハネ満。

東3局、逢川が七対子を6巡目にテンパイ。

ドラ

逢川はを切ってタンキとした。は1枚切られていてドラそばでもあり、いいマチではないのだが、前巡にを切っている。5巡目までの捨て牌は、

となっており、せっかく七対子には見えない字牌からのおとなしい切りなのに、ここでと並べるのはドラがなのに不自然に映る。それを嫌っての仮テンだったと思われるが、これが意外にもすぐにアガれた。を切っていた奥村がすぐに持ってきてしまったのだ。
親なのでもちろんアガるが、逢川としてはマチ頃の牌を持ってきてリーチと言いたかっただろう。

1本場がなんとも形容し難い。
奥村が7巡目にリーチ。

ドラ

同巡、下家中月の手がこれ。
ドラ

一応リーチ打牌のスジであるのトイツ落としと、おとなしく入ったが、それが追いつき、こんな手に化けてアガリ切った。

ツモ ツモ ドラ

ここに至るまでに切り飛ばした無スジはの2種と、中月にしては標準かもしれないが、序盤にを早切りしていたため最後に喰ったはフリテンターツだったことを考え合わせればなかなかできないだろう。中月オリジナルのアガリである。

東4局は5巡目に逢川リーチ。

ドラ

その陰で奥村がメンホンタンキをテンパイ。

しかし、逢川がツモって裏ドラを乗せ満貫。

流局が続いた南2局2本場、中月に2度目の満貫が出る。

ドラ

リーチして高目のをツモ。これにより、
中月38400 逢川23600 奥村19600 佐月18400
と、中月ひとり抜けた格好。加えて2着目逢川からラス目佐月まで5200と僅差のため、中月がトップで終わる公算大となった。

南3局、佐月4巡目にリーチ。

ドラ

これに、逢川がテンパイ打牌で打ってしまう。裏ドラ乗らず2600。5200差だったので同点(2.5着)となった。

オーラス、ラス目に落とされた奥村が親。ピンフテンパイ。この時点ですでにが4枚出ていたが、委細構わず即リーチ。

ドラ

とにかくみんなの手を止めなければならない。
佐月が先にポンテンを入れており、中月はここに差せばトップで終わるが、安牌を切り続ける。

ドラ

そもそもを持っていなかったが、1回奥村にアガってもらいたかったのだろう。
奥村は安手でも2着に浮上する。仮に4000オールを引かれてもまだ中月が2800上。それから自分でアガるか、同点のため1000点でも急ぐ佐月、逢川のどちらかにアガってもらえれば、理想の並びで終えることができる。

だが、現実は中月のシナリオの上を行った。奥村はハイテイでツモ。裏ドラを乗せて6000オールで一気にトップになった。

1本場、ラスの押し付け合いの2人のうち、佐月が先にテンパイ。

ドラ

しかし、これが空テン。
逢川が追いつきリーチ。

ドラ

こちらはリーチ時点で5枚残り。
奥村を5200差で追う中月もテンパイするが、条件を満たさない。

ここにドラを持ってくる。ドラにくっつけてのリーチを考えればを切って佐月に放銃もあり得たが、ドラ1ではツモか裏ドラ条件。さらにともに3枚切れ。


それならばドラ2、つまりドラタンキまでを想定して雀頭のをはずし、が出て行かない。
そうこうするうちに逢川がをツモって500/1000の1本場、ラスを佐月に押し付けた。

終わってみれば、9回戦終了時のトータル順位とまったく逆の着順となった。結果、上下差がグッと詰まって最終日を迎える。