第19回日本オープン観戦記(3回戦)

第19回日本オープン決勝観戦記
3回戦

【担当記者:坪川義昭】

【頭ハネ】というルールが存在する。

日本プロ麻雀協会では上記のようなルールが採用されており、2人以上が同時に『ロン』をした場合は放銃者から一番順番が近い者がアガリの権利を得るというものだ。
巷の麻雀ではあまり馴染みのないルールかもしれないがほぼ全ての団体で採用されており、最近ではMリーグで仲林選手が国士無双を頭ハネされたシーンも記憶に新しい。

南1局1本場、絶好のペンをチーした宍戸にチンイツのハネマンテンパイが入る。

トップ目の柴田がをアンカンしリーチ。

しかしリーチ後に宍戸の当たり牌であるを放ると、ロンの声が重なった。

リーチと仕掛けに対応していた親の荒木が2900の頭ハネである。

このゲームを決定付ける勝負手を頭ハネされた宍戸もこの表情。
柴田は表情にこそ出ていないが、内心『良かった…』と思ったのでないだろうか。

今度は荒木がドラを重ねてヤミテンを入れる。
現状でも打点は十分、好形変化した時にはリーチも視野に入れているだろう。

そんな中で宍戸からあたり牌が放たれる。
これで荒木は柴田を捲りトップ目でオーラスを迎えることが出来る。
と思ったのも束の間、『ロン』の声がまたもや被った。

今度は柴田だ。
柴田も仕掛けてテンパイを入れていたのだが、アガリ牌は荒木と同じだった。

大きなアガリを阻止された荒木もこの表情である。

結果的に頭ハネというルールの恩恵を二度授かった柴田がトップを奪取した。
これにより次戦宍戸・荒木の2人の内、トップを取れなかった者は事実上敗退となる状況になった。
2人に残された時間は短い。