第21期雀王決定戦観戦記 2日目(9回戦)
第21期雀王決定戦観戦記
2日目 9回戦
【担当記者:佐月麻理子】
9回戦(松本-渋川-仲林-浅井)
初日プラスで終えた浅井と仲林が苦戦を強いられる2日目となっている。
しかし上下のポイント差に開きはなく、21期雀王を決めるこのレースで抜け出した者はまだいない。
それにしても6回戦9局、7回戦11局、8回戦8局と驚くほど展開が早い。
9回戦も渋川が–の先制リーチで2600を、仲林が–の先制リーチで1300をアガり、この半荘もサクサクと進んでいくかのように思えた。
===★仲林ドラ暗刻配牌からの苦悩===
★東3局
第一ツモで親の仲林がドラのを暗刻にした!
絶対にアガリたい。仲林はこういう手を間違えないし逃さない。
慌てず騒がず孤立のにくっつきを求めペンを払っていくと目論見通り、と引いて6巡目にはあっという間にイーシャンテン!
さっくりとリーチまでたどり着くかと思いきや、なかなか聴牌できない。
何故こんなことに?
終盤に聴牌をとるために仕掛けて、最終的にはあがれそうにないチンイツとなった。
松本と渋川も聴牌を入れ、浅井以外の3人テンパイで流局。
===★まわしばやし&リーチの渋===
★Case1:東4局2本場(供託2本)
仲林が5巡目にドラ1の嵌聴牌。
手変わりもあるのでヤミテンに構えると、その瞬間に渋川がを仕掛け、親の浅井もをポン。
リーチならば仕掛けはなかったかもしれない。
をツモった仲林の手が一瞬止まる。
供託が2本もあり、そのままツモるも一通の変化もある。仕掛けは既に2つ。
それでもあがりやすさを求めて聴牌を外す選択を取った。
ここは浅井の1500は2100のアガリとなった。
★Case2:東4局3本場
前局に続き、仲林がまたもや4巡目にドラ1の今度は嵌聴牌。
しかしマンズの一盃口やソウズの一気通貫の変化をみて聴牌トらずの打。
裏目のを引いてもフリテンリーチを打てる。
一気通貫になるが場に3枚切れたため、今度は打。
満足のいく聴牌を求めていたはずが、先に聴牌を入れたのは渋川だった。
待ちは嵌。
仲林は一発でを持ってくると、冷静にを落としていく。
終盤に形式聴牌を取るため、親の浅井が仲林の切れなかったを放つ。
松本もダブルワンチャンスとなったを最後のツモ番で押して聴牌。
いの一番に聴牌をしたはずの仲林は一人ノーテンでこの局が終わった。
何を思うか。
★Case3:東4局5本場
今度は渋川が奇しくも仲林と同じドラ1の嵌で聴牌。
渋川はリーチを選択。
・仲林の聴牌よりも巡目が深い
・、が2枚切れで一通の打点を追いづらい
・を切っていて手代わり枚数が少ない
などの理由がリーチを後押ししているのかもしれない。
結果は松本がのみの嵌を浅井から出アガリ南入となる。
仲林渋川共にアガリが発生したわけではない数局だったが、強者と呼ばれる二人の選択が対照的で、非常に考えさせられる東4局であった。
東場は小さな点棒移動のみで終了した。
高打点大好きな浅井にしては物足りないだろうが、親番で聴牌を取りに行く姿勢が印象的だった。
===★ようやく入った勝負手!===
★南1局
麻雀を見る時、私は一人気になる人が出来るとついそこにばかり集中してしまう。
だから、その聴牌に気づいていなかった。
南家渋川の手が面白そうだ。だが南入しているので染めても打点が低い。
面白そうなのは気のせいだったと思った矢先が重なる。
を引いて、打。
を落としていくタンヤオでもアガれそうだが、それでは安い。
ホンイツトイトイや、マックスの四暗刻も逃さない落としとする。
のポンをした渋川を見て、渋川の手への集中は遠のいた。
息をつき周りを見渡すと、仲林さん…聴牌してるじゃないですか!?
しかもドラドラ!渋川のには間に合わなかったのか!?私は急いで放送を遡る。
渋川がを鳴いてをきった直後に仲林が聴牌していた。ツいていない!
しかし松本のや浅井のが少し浮いている。
どちらも溢れないままを引き入れて仲林は絶好のでリーチ!
も鳴き、早々とトイトイの聴牌を入れていた渋川は降りにまわった。
ついに仲林のアガりか。
そう思っていたが、親の松本が追いつきリーチをかける!
メンピンドラドラ。
だれよりも早く聴牌していた仲林がこれを一発でつかみ裏も乗り18000の放銃。
天カメのポツリと斜めに向いているが悲しさを一層物語る。
===★卓上のヒットマン覚醒===
★南1局1本場
悲しいのが仲林なら、嬉しいのは松本である。
気持ちよく親の跳満をアガった松本の持ち点は43300となり一歩抜け出した。
欲を言えば更に点棒を稼いでトップを盤石にしたい。
そう思っている松本に瞬く間にダマで7700の聴牌が入る。タンヤオ三色の嵌待ちだ。
ヒットマンが卓上にいることを知らない渋川は、
は1枚切れのため、守備にも使えて重なっても嬉しい。
はドラ。リーチのみはしょうもないと四暗刻まで見据えた打とする。
見事にを重ねるがで松本に痛恨の放銃。
「ロンっですねぇー--!」
その後も加点に成功しトップを盤石に。
★南1局5本場
浅井先制でメンタンリーチ!
渋川がリーチダブの嵌で追っかけリーチ!
追いついた仲林はホンイツドラドラ!
軍配は浅井に。親番できっちり稼いだ点棒を減らすことなく、松本の親は流れた。
そこからの展開はあっという間だった。
南2局、南3局ともに浅井が1000、1600と和了しオーラスヘ。
オーラスは満貫で3着浮上を目指す仲林が、ツモって裏ドラ期待のリーチといくが…
テンパイしていた松本にドラで放銃となってしまった。
序盤からのあまりに厳しい展開に、高めタンヤオ三色のじゃなくて助かった…と少し思ってしまったことだろう。
親番での大きなアガリが勝負を決めたのはもちろんだが、その後も積極的に加点する姿勢を見せた松本が大きなトップをものにした。
派手なアガリの裏側で起きる、4人それぞれのたくさんの選択のひとつひとつが勉強になった。
全20半荘に及ぶ雀王決定戦の折り返しはすぐそこだ。
今年の雀王が誰になるのか、ワクワクドキドキしながら残り11半荘を見守りたいと思う。