第20期雀王決定戦観戦記 3日目(15回戦)
第20期雀王決定戦観戦記
3日目 15回戦
【担当記者:五十嵐毅】
東1局、結果は放銃に終わった矢島だが、強烈な意志を見せた。
小川が5巡目にピンフの–マチリーチ。
ドラ
このときのリーチ打牌はドラの。
すぐに仲林も合わせ打った。
ここにイーシャンテンの矢島が無スジのを打つ。
ドラ
もう一度言う。
はドラとはいえ、2枚切れで安全牌なので普通は一旦を切るだろう。
首位の渋川と400ポイント離れている。多少のリスクを負ってでも打点を上げるチャンスを逃さない気構えだ。
そして見事にを重ねるが、リーチ打牌がとなって放銃。ウラが乗り3900。
普通に打っていればをカブリ捨てるだけでまだ放銃になっていないが、矢島に後悔はないだろう。
東3局、親を迎えた渋川が打点も受け入れも十分なイーシャンテン。
ドラ
チンイツイーシャンテンの仲林がドラのをツモ切り。
ドラ
渋川「それだけは鳴く」とポン。
終盤にを持ってきて、一瞬の逡巡を見せたが6000オールを狙いにいって加カン。
見事リンシャンからを引き寄せた。
この6000オールはデカイ。しかし、これで心が萎えるような者はそもそもここに座っていない。
1本場、矢島が7巡目にドラ雀頭のリーチ。
ドラ
14巡目に小川が追いつく。
ドラ
一手変わりツモリ四暗刻だが巡目も巡目なので即リーチするも、最後のツモ番でを掴んでしまい満貫を献上。
東4局、を引いてピンフをテンパイした渋川。
ドラ
すでに親の小川がマンズのホンイツの仕掛けを入れており、ドラ無しのピンフのみでリーチするのは危険。
まして渋川はトータル首位でこの半荘もトップ目。
「これは当然ダマでしょう」と解説の金太賢が言った瞬間、打牌は横に曲がっていた。
この局、渋川の目から3枚、2枚、4枚が見えており、ヤミにするのがもったいないほどの場況だった。
難無くツモり、裏ドラ無しの700/1300だったが十分な加点。
南1局1本場、渋川が9巡目にリーチ。
ドラ
4巡目にが捨てられてある。
これを受けて、ヤミテンしていた親の仲林がツモ切りでリーチ。
ドラ
引きのイーペーコー確定ピンフ、あるいはや引きへの手変わり待ちだったが、カンチャンとはいえソーズの場況は悪くない。
なにより、渋川に喧嘩を売られたら買わなければならない。
このとき、をポンしてピンズのホンイツ狙いだった矢島はソーズを引かされ回っていたのだが、テンパイする。
ツモ ドラ
無難に打つなら切りの–マチだが、ダブを切って1000点にするのは東1局から見せていた方針に反する。
そこでいま通った切りでタンキ。
いずれはオリることになりそうな泡沫テンパイだが、次巡ツモ!あまりにも大きな1300/2600である。
南2局、親の矢島がをポン。
ドラ
この仕掛けに対し、渋川がドラのを放つ。
ドラ
当然のヤミテン。
ラス目の小川がイーシャンテンからをカン。
すると、がカンドラに。
仲林がリャンカン形に待望のドラ表示牌を引き入れ、切りリーチ。
ドラ
場が煮詰まった瞬間、前述の手にをツモってテンパイしていた矢島がを引き寄せた。
ツモ ドラ
4000オール。ついに矢島が渋川を逆転した。矢島42200、渋川33400。
矢島はラス前にもハネ満をツモ。
ダメ押しと同時に渋川に親かぶりさせたため、渋川と仲林の差を満貫以内(7900差)にすることに成功した。
これに応えるように、オーラスの仲林はドラのを使い切るためチャンタ三色狙いの仕掛けを入れ、を重ねてテンパイを果たす。
ドラ
矢島はこのテンパイをしていたが、仲林から出たを見逃し。
ドラ
アガる気などない。それならもう1局やったほうがいい。流局した場合に仲林と渋川の点差を詰めさせるだけのためのテンパイだ。
しかし、そのためには親の小川がテンパイしていなければならない。
その小川、
ドラ
中盤からずっとこの形。
ソーズは何を引いてもテンパイなので毎巡26%強の抽選を受けられる。
ばかりかはチーテンだって取れる。
それなのにツモ切りがむなしく6巡も続いたのだ。
結局小川ノーテンのまま終焉。
小川はもちろん矢島・仲林にとっても不満の残る中、ただ一人渋川だけが胸を撫で下ろしていた。