第20期雀王決定戦観戦記 3日目(12回戦)

日本プロ麻雀協会 第20期雀王決定戦観戦記 3日目

第20期雀王決定戦観戦記
3日目 13回戦

【担当記者:大浜岳】

残り8半荘あるとは言え、小川・矢島としてはこれ以上渋川に差をつけられると致命傷になりかねない。
そんな状況の中、最初にリードを取ったのは小川。

仲林の仕掛けに丁寧に対応し、終盤にドラのを重ねてリーチ。

東1局 小川
 ドラ

残りのツモは2回だったが、ハイテイでをツモり4000オール。

続く1本場は渋川が2巡目にチーして、バックのテンパイ。

東1局1本番 渋川
 

なんの変哲もない仕掛けだが、なんとドラが
もはや誰が掴むかの勝負になっていたところ、5巡目に仲林が放銃。
渋川からすればトータル2番手の仲林からは最高の出場所である。

しかし東2局は仲林が早いリーチで4000オール。
続く1本場も1300は1400オールとすぐに復活。

東2局3本場、先制テンパイは小川。

ドラがなのでカンテンパイに取りたいところだが、直前にを打たれ2枚見え。
ドラそのものとドラの周りの受けを考え、打でテンパイ取らず。
直後に仲林からリーチを受けるものの、安全な牌を切りながら再びテンパイ。

アガリを逃した形になるツモとも言えるが、最高の入り目とも言える。
ここは当然を切ってのリーチ。

同巡に渋川もテンパイ。

ここでふと似たような局面が頭をよぎる。

8回戦東1局に2軒リーチを受け、2軒に対して無筋のを切ればテンパイと言う場面。
が両者に危険であることは同じだが前回と違い、
・現状3着目で、この手をアガればトップ目に立てる可能性がある
・トップ目の親リーチと2着目の追っかけリーチであるため、アガられた場合どちらにせよトップが遠のく可能性が高い

苦悩の表情を見せながらもリーチに踏み切った渋川だったが、小川へ8000の放銃。
小川にとっては大きな大きなアガリとなった。

渋川をラスに沈めたいのは3者の共通認識。
しかし東4局、渋川が親番で粘る。
アガリこそ2回しかなかったものの6本場まで積み、親を落とされた南1局でも1000/2000のツモアガリ。

南2局1本場を迎え、
小川 43300
仲林 24600
矢島 0
渋川 32100
とトップ目も射程圏内に。

そして苦しいのは矢島。
特に2日目・3日目は、全く手にならずに1人置いていかれる展開が非常に多い。
しかしそんな矢島にようやくチャンスが訪れる。

親番での三暗刻ドラ3のテンパイ。変化もあるので当然のヤミテン。
程なく仲林よりが打たれ12000の出アガリ。

もちろん理想はツモアガリや渋川からの直撃である。
タイトル戦の決勝では、骨身を削ってトップ目を苦しめる局面が多々ある。
が、矢島の今の状況は削れる骨身もないのだ。

この半荘は小川がトップ、渋川が2着で終了。

小川はこのトップでなんとか踏みとどまった。
厳しいのは矢島。優勝するためには他の着順にもよるが残り7戦中5トップ、最低でも4トップが必要か。

そして崩れないのは渋川。未だに4着を一度も引いていない。
三者で渋川の牙城を崩すことができるか?それともこのまま渋川が逃げ切るのか?
果たして…