第21期女流雀王決定戦観戦記3日目/最終日(14回戦)
第21期女流雀王決定戦観戦記
最終日 14回戦
【担当記者:坪川義昭】
第21期女流雀王決定戦も遂に終焉を迎える。
結果から述べるとこの14回戦で水崎の優勝が決まった。
『麻雀は何が起こるかわからない』
『協会ルールは大逆転が起こりやすい』
なんて話はよく耳にする。それはその通りで可能性がゼロになることはないが、事実上の終焉というのは存在する。
最後に各自の選択を紹介する。
水崎はリードしてから初めてこのオーラスにリスクを取った。
優勝する為にはどこかで勝負を決めるアガリが必要となる。
先延ばしにしてきたリスクを負うに相応しいテンパイが入り、リーチを宣言。
逢川から逆転の先制リーチが入っているため、3着落ちは十分にあるがトップを取れば優勝がほぼ確定し、負けたとしても有利な条件の最終戦だ。
選択肢は存在しなかった。
このリーチは実らなかったものの、次局佐月から7700点をアガり優勝を引き寄せた。
何度も勝負を決めることができる可能性がある局は訪れたが、その中で厳選された一番リスクの負いやすい局面に出会えた。
極限まで待った彼女の我慢の賜物である。
現女流雀王の逢川に残された道は一つ。
この一局でハネマンをツモること。それ以外優勝の道は存在しない。
をアンカンした逢川はハネマンルートを探し続ける。
8000点を直撃でも水崎を捲るのだがリーチが必要であり、水崎がリーチをしない限りは不可能に近い。
待ちに待ったテンパイが入る。
アガるのはツモ限定、更にの場合のみではあるが、一発か裏ドラ2種類の内1種類があれば最終戦に望みが繋がる。
しかし、神は逢川に微笑むことはなかった。
佐月は悩んでいた。
彼女もこの回トップを取らない限り優勝の目はない。
逢川からの逆転リーチ、水崎の優勝を決めるであろうリーチに挟まれて指が動かなくなった。
2巡の間に約4分間の長考をした。
逢川に当たりうる牌を河に置き、自らのラスを受け入れた上で逢川を押し上げることが自身の優勝の可能性を引き上げることに繋がるのか。
テンパイが入ったとしてこの手に価値はあるのだろうか。わからない。
そして、自分の選択がこの決定戦を崩してしまうのではないだろうか。誰か教えて欲しい。
そんな葛藤が巡り続けていた。
澄川は後悔していた。
水崎はノーテンで伏せれば事実上の優勝。澄川はこの一局で8000点のアガリが絶対条件なのだ。
逢川から逆転のリーチが入ってはいるが、自身が2着で終わるか3着で終わるかは最終戦にはほぼ影響しない。
最終戦にトップを取ったところでこの回水崎にトップを取られたらもう追い付けないのだ。
逢川が澄川にロンの声をかけるかは不明。倍満が満たされていれば倒されるし、ハネマンであればツモ以外のアガリはしないだろう。
重要なのはそこではなく、自ら手を崩し決定戦の場から去ってしまったことだ。
それはきっと去りたくて選んだのではなく優勝へのルートを導き出せなかったのだと思う。
全てが終わった後に自身の戦いを見直し、彼女はまた一つ成長するだろう。