第20期雀王決定戦観戦記 1日目(3回戦)

日本プロ麻雀協会 第20期雀王決定戦観戦記 1日目

第20期雀王決定戦観戦記
1日目 3回戦

【担当記者:高津圭佑】

『胸ぐらを掴み返して反撃のパンチを繰り出すくらいじゃなきゃお前の隣には立てないから』

私が好きなアニメ「東京卍リベンジャーズ」の主題歌にこんな歌詞がある。
この日、これまで2着・1着と好発進の仲林が3回戦も開局早々軽快な仕掛けで和了し先制する。

まだ先は長いとは言え、他3者からすれば初日から仲林の独走を簡単に許す訳にはいかない。

東2局、親番矢島に手が入る。
4巡目にしてこの一向聴。

形・打点共に申し分無い手格好だ。
矢島の高らかなリーチの発声も時間の問題だなと思っていたが、この局の主役は渋川だった。

ツモで一向聴となると、矢島と小川の現物であるを残してドラのを先に処理。

次巡出るをすかさずチー。

1000点の和了であったが、結果的に親の矢島のチャンス手と小川のリーチをかわす大きな価値を持つ和了となった。
闇雲に打点ばかりを追うのでなく、他家の速度を読んでそれに合わせての選択。
これも「魔神の読み」があって成し得る技。

東3局、親番小川が5巡目に一気通貫ドラ1をヤミテンにするとこれに飛び込んだのは矢島。

矢島としては前局親番でのチャンス手を潰された直後の放銃となり、ますます苦しくなる。

東4局、混一色役2を渋川が仕掛けてツモ。

矢島以外の3者が和了りを決めて南入。
だが現雀王である矢島が、このまま何も出来ず黙っている訳がない。

南1局、この半荘で自らの十八番である混一色を仲林と渋川に見せつけられ、心中穏やかでは無かっただろう。

ドラがであってもお構いなし。一気に索子に寄せる。
自分だって混一色を成就させなきゃ始まらない。

「さっきはよくも俺のチャンス手を潰してくれたね」と、親番渋川のリーチとの勝負に競り勝ち反撃の狼煙をあげる。

息を吹き返した矢島。
次局の親番では淀みない手順でリーチといくと、今日これまでの鬱憤を晴らすかのように力強く一発ツモ。
裏ドラも乗せ6000オールで瞬く間にトップへと躍り出た。

この加点を最後まで守り、3回戦は矢島がトップ。
好調な滑り出しだった仲林はオーラスに聴牌料の差で4着へと転落し、全体のトータルポイント差も縮まった。

現雀王矢島が、他3者に対して「そんな簡単には勝たせないよ」と威厳を見せつけた半荘だった。

3人の雀王リベンジャーズ。
胸ぐらを掴み返して反撃のパンチを繰り出し、頂を目指す戦いのこれからが楽しみだ。