第18回オータムチャンピオンシップ観戦記(2回戦)
第18回オータムチャンピオンシップ
決勝観戦記 2回戦
【担当記者:中島 由矩】
初のタイトル戦、決勝1回戦を2着で終えた天津みろうはホッと一息つく間もなく2回戦東家の席についた。
主戦場である雀王戦は1節4半荘、オータムCSも準決勝までは3回戦2人勝ち抜けだったが、この決勝戦は全5回戦のトータルトップ獲りだ。
まだ先は長く、どこかでトップがほしい。
前回チャンピオンの矢島亨、現女流雀王の水崎ともみ、関西本部所属・新進気鋭の平城六花を向こうに回し、1回戦は東1局に2000/3900をツモって好スタートを切ったものの後続がなく、南場は矢島の独壇場になってしまった。
ところで、2023年9月16日(土)に当会ホームページがリニューアルし、選手1人1人の個人データが見やすくなった。
入会して間もない選手は獲得タイトルの欄が寂しい傾向にあるが、天津のページの左下に【第18回オータムCS】と入ることになるのだろうか。
東1局、先制リーチは水崎。
打点上昇の肝であるドラを受けられる形を作り、8巡目に・の変則待ちで勝負に出る。
水崎は水崎で1回戦を3着で終えており、この2回戦に懸ける思いは決して小さくない。
一般に「ツモがいい」というのは、リャンメンより先にカンチャンが埋まるとか、役牌が暗刻になることを示し、「ツモが悪い」というのはその逆であるケースが多い。
しかし今局では水崎にとってリーチ後のツモが悪かった。
水崎が12巡目にをツモ切ると・・・
同巡に平城が合わせたを天津がチーし、5800のテンパイ。
歯を食いしばって押した天津に、牌が応える。
次巡ツモで2000オール。
1回戦に続き、この2回戦でも東1局にリードを奪ってみせた。
しかし、東3局に親番の矢島が反撃。
2回戦終了後、解説の現雀王・浅井堂岐をして
「ミスがなく、オリジナルな手順も決まった。矢島さんのベスト対局だったんじゃないかな」
と言わしめた、矢島の麻雀が冴え渡る。
まずはドラのが暗刻の配牌をもらうと、7巡目にカンのテンパイを入れる。
しかしこのは西家・天津の手に1枚、北家・水崎の手に2枚。
いずれもターツで入っており、簡単に出てくる形ではなかった。
が他家に3枚使われていることは、いわゆる神目線である我々視聴者だけが知りえる情報だったはずだが、矢島はが打たれたのを見るやいなや機敏にポン。
カンからタンキにテンパイtoテンパイの鳴きを敢行。
最後は待ちごろのタンキに待ち替えして、すぐさま平城からロン。
このアガリで矢島は天津をかわしてトップ目に立つが、まだ序章にすぎなかった。
続く東3局2本場では、7巡目にタンヤオ・三色の7700カン待ちテンパイを水崎からロン。
これで矢島の点棒は47300となり、2着目の天津と11300差をつけた。
さらに東3局3本場では、タンピンドラ1が見える好配牌を丁寧に仕上げ、
最後は絶好のを引いてテンパイを入れると、即リーチ。
この––が山にゴッソリ残っており、最後は平城からロン。
11600は12500の収入となり、ついに持ち点は59800点に。
完全に仕上がっており、他家は手のつけようがなかった。
天津は2着目まで1900点差の3着目でオーラスを迎えた。
トップはまだしも、なんとか2着には上がっておきたかったが、そのライバル水崎からリーチ。
水崎は打とし、・変則待ちに取った。
なんとか親番をつなげたいラス目の平城から出て1300のアガリ。
天津は矢島に2連勝を許したばかりか、水崎にも差を詰められてしまい、苦しい後半戦に突入する。
しかし1次予選から粘り強く戦ってきた天津は、この決勝戦前に「最後まで勝ちにはこだわりたい」と語っており、ギブアップするつもりはさらさらない。
思えばベスト64の1回戦、オーラス・ラス目の親番でチンイツを決め、首の皮をつないだこともあった。
ベスト16では浅井堂岐に3連勝されたものの、自身は3連続2着で石にかじりついて勝ち上がってもきた。
ルーキーのようなフレッシュさはなく、さりとて先輩たちのような経験値もない入会3年目の天津。
しかし、第46期王位戦でベスト8まで勝ち上がり、直近残留が続いていた雀王戦のリーグもE2からD3へと2段階昇級し、プロの水には少しずつなじんできている。
ここでタイトルを手にし、一気にスターダムを駆け上がっていきたい。
いつもボクのことを困らせる、あの麻雀を見せてくれよ!天津さん!