第17回オータムチャンピオンシップ観戦記(5回戦)
第17回オータムチャンピオンシップ
決勝観戦記 5回戦
【担当記者:五十嵐毅】
5回戦(岡見-矢島-宮崎-渋川)
東1局、いきなり手がぶつかりあう。
南家・矢島が10巡目に三色をテンパイ。
ドラ
が3枚出ということもあるが、このままでも7700あるのでヤミ。
同巡、西家・宮崎も高目三色をテンパイ。こちらは即リーチ。
ドラ
矢島は自身の雀頭であり、宮崎には無スジのを持ってくるがサラリとツモ切る。
は宮崎の現物、ヤミテンを続行。
軍配は矢島に。宮崎がを持ってきてしまう。
東2局、親になった矢島が7巡目リーチ、12巡目にツモ。
ツモ ドラ
このルールでもっとも恵まれた満貫級のアガリといっていいだろう、ドラ雀頭のリャンメンリーチツモ。
この3900オールで矢島が大きく抜け出した。
4回戦まで首位だった渋川とは10ポイントも離れておらず着順勝負だったが、この2回のアガリでその渋川と24300点もの差をつけた。
15.9P差だったトータル3位宮崎とは33000差。15.9Pは1着順+5.9Pなので、実質39000点差である。(同点は先行有利)
しかし、矢島は守ろうとはしない。
オーラス、ラス親の渋川との一騎打ちに備えて軍資金(点棒)は精一杯蓄えておきたい。
東3局、渋川にチャンスが訪れる。
ツモリ四暗刻のリーチ。
矢島と親の宮崎が仕掛けており、宮崎はか234三色のテンビンという苦しい仕掛け。
ドラ
ここから渋川がリーチ後にツモ切ったをポン。
テンパイはテンパイだが役無しである。
矢島もオリない。ドラのがトイツなので多少は押せると踏んでか、とのシャンポンテンパイのまま生牌のを躊躇無くツモ切った。
宮崎これをポン。役アリテンパイに。
ドラ
次巡、この裸タンキをツモった。
この時点で、渋川のマチはともに1枚ずつ残っていた。
矢島がを止め、勝負が長引いていたらどうなっただろうか?
南1局1本場、渋川にハネ満が出る。
ツモ ドラ
先行リーチの親・岡見にを勝負して追っ掛けた。
岡見がすぐにを掴んで放銃。
ひとり大きく離された岡見は親番も無くなり、ここで終了。
南2局、親番を迎えた矢島はタンヤオをテンパイ。
ドラは無し、リードしている、このルールではヤミテンがセオリーだと思うが、どうやらそれではいけないらしい。
ドラ
リーチしてをツモり6000点の加点。
南3局、宮崎テンパイ連荘の後の1本場、ドラトイツの手が入り7巡目にテンパイ。
ヤミテン。
ドラ
これに矢島が放銃。11600点はデカイ。
宮崎は4本場まで粘るが、アガリは11600のみで後はテンパイ連荘。
4本場は矢島が喰いタンでアガって長かった南3局を終わらせた。
オーラス、親の渋川と一騎打ちとなって勝負が長引くことが予想され、事実3本場にまでなるが、矢島の闘争心は凄い。
全局喰い仕掛けている。
まずはこれ。
ドラ
渋川にリーチが入るも、
「そっちはアガっても終わらないけど、こっちはアガれば終わらせられる」
とばかりに、ひるまず勝負。で放銃。
ロン ドラ
これで矢島50500、渋川40500と、1万点差に。
1本場は123の三色。
ドラ
渋川も喰いタンでテンパイ。
ドラ
矢島を掴む。
まだテンパイしていないが、「あたっても1500でしょ」とばかりにツモ切り。
1500は1800の放銃で6400差に。
2本場は三色同刻というレア役。
ドラ
カンテンパイからをポンしてのマチカエ。
すぐにを引いてマチの3メンチャンになる。
渋川からのシャンポンリーチが入る。
ドラが3枚出ていることもあり、矢島一歩も引かず。
息詰まる1局となったが、流局。
3本場、8巡目にをチー。
ドラ
すでにあるの形を1メンツ1雀頭と見るのでなく、ピンズ2メンツにしようとする仕掛け。
正直、この4局で一番苦しい仕掛けに見えたが、12巡目にテンパイ。
ドラ
すでにポンテンを入れていた渋川。
を掴んで、止められるはずもなかった。
雀王、雀竜位、日本オープンを戴冠している矢島と渋川。
この二人のどちらかが勝てば初の四冠と注目され、そして事実最終戦はこの二人の戦いになったが、矢島に軍配が上がった。
同時にこのルールでも強いオールラウンダーであることを証明した。
裏ドラ一発無しの大会が主流だった昭和の頃から競技麻雀を打っている筆者からすると当時のセオリーとは違っているが、それだけ戦術も先鋭化されているということだろう。
実際、矢島はよく研究していると思う。本当に強かった。
おめでとうございます。