第23期新人王戦決勝観戦記(5回戦)

【担当記者:坪川義昭】


遂に第23期新人王戦も最終戦を迎えた。
津坂、新地は現実的ではない条件を叩きつけられている。
ここからはもう2人の勝負だ。
當眞と安藤の差は38.9p。トップを取った方が無条件で優勝である。
二人とも喉から手が出る程に欲しているタイトルが目の前にある。

東1局

とにかくお互いに欲しい先手を取れたのが當眞だ。
迷う条件が一つもない先制リーチを放つ。

指先に力が入る。
これ以上ない気持ちの良い模様が親指の腹をなぞった。
3000-6000。
優勝が現実味を増してくる。

絶対に後ろを向くことは許されない安藤の親番。
新地がリーチを放つ。

安藤も満足なテンパイではないものの、組み直す時間もなくリーチと出る。

こうして親番が1回無くなるごとにゴールテープは遠ざかっていく。
全員がアガリに向かうのは当然で不思議なことはない。
ただ、それを一番望んでいるのは當眞なのだ。

南1局
最後の親番を迎えた津坂は意地で5本場までアガリ続けた。
それでも優勝までは6万点程足りずに親番が落ちる。

序盤にビハインドを負ってしまった津坂は、反撃のチャンスを模索し続けたが見つけることはできなかった。
もし10年後の彼がこの対局を見返した時は、その道筋を見つけられるかもしれない。
この悔しさをバネに今後更なる強さを手に入れるために努力し、活躍の場を広げていって欲しい選手である。

南2局
良くも悪くも暴れ回った安藤の親番は一度の連荘も許されなかった。
雑に点棒を失うこともあったが、その闘志溢れる闘いっぷりは観ている視聴者を熱くさせた。
大舞台で勝利を手にするプレイヤーに必要不可欠な勇気を彼は既に持っている。
いつかまたこの舞台に帰ってきて欲しい。

南3局
協会史上初、研修生での決勝戦だった新地。
リーグ戦等の対局慣れという部分では三者に劣ってはいたものの、ここまで勝ち上がったという実績は紛れも無い事実である。
そして、応援してくれる仲間が側にいることも忘れてはならない。
次は正規合格を果たし、頂点を目指して欲しい。

最終局に『ノーテン』と手牌を伏せた新人王から笑みが溢れた。
自分はまだまだなのでプロと名乗るのもおこがましいと謙虚に語る當眞。
解説の木原浩一が彼に伝える。
ここがゴールではない。新人王を獲ったことがスタートなのだから、これからの1年で自分が活躍できる場所を見つけてプロとして大きくなっていって欲しい。
こうして今年も協会のニュースターが誕生した。
今日から當眞脩平新人王の活躍に目が離せない。