第22期新人王戦決勝観戦記(5回戦)
第22期新人王戦決勝観戦記
5回戦
【担当記者:五十嵐毅】
5回戦(黒田-藤井-柊-晃平)
最終戦を迎えて晃平が断トツで首位。
柊のみ23200差のトップラスで逆転という条件だが、残る2人は晃平に200P以上離され、逆転優勝は現実的ではない。
点箱に10万点以上あふれてからやっと勝負が始まるといった感じだ。
圧倒的リードの晃平だが、それを守ろうとはせず、キッチリ攻める。
東1局、タンピン
待ちをテンパイした晃平は迷わず即リーチ。

リードしているのだからヤミテンという発想がない。
解説席の矢島亨も「ホントに?」と叫んでいる。
をツモって1300・2600。
東2局も
をポンして1000点と、休まない。
東3局、晃平の手順が独特。













このイーシャンテンで、重なってもピンフにならない自風の
を切らない。
を残して
切り。
ここは矢島も疑問視している。
結局9巡目に
を重ねてテンパイ。
矢島「あ~、こうなっちゃったらリーチか」
しかし、晃平はテンパイトラズの
切り。
ここまでの2局とはちがって、唯一の対抗馬といえる柊の親番では無防備となるリーチを嫌ったわけだ。
が黒田から出て、晃平はポンテン。
打
で
–
ノベタンに。

このとき柊はイ―シャンテン、この形。












藤井が七対子イーシャンテンで


と持っており、
が重なることはなく、くっつきも苦しい。
結果、
を引いて
切りリーチ宣言で放銃となった。

リーチ棒を出したくないなら、ピンフの可能性を高めて
を切ったほうがいいと思うのだが、晃平は
が重なった場合はテンパイに固執せず、ルートを変更してドラを2枚使った3900以上をイメージしていたことになる。
わざと選択肢を増やしている手順だ。
それが対抗馬からの3900直撃という最高の結果になった、まさに晃平のオリジナルである。
東4局、今度は「自分が親番なら」とばかりに、晃平6巡目にリーチ。

すると、直撃のチャンス、と柊が9巡目に追っかけ。

この局、他の2人が中張牌バラ切りで
はすでに場に3枚出ており、
はゼロ。
が1枚残っているぶん、晃平のほう有利だった。
しかし国士狙いの黒田に2枚目の
が行き、晃平、柊ともに
2枚のみとなったところで、黒田が国士
マチのテンパイを入れる。

黒田、最後の見せ場だったが、直後に柊が
ツモ。
晃平に親かぶりさせるとともに挑戦権を手放さず南入。
南1局、親の黒田は苦しい手でテンパイすることができず流局。
南2局1本場は藤井の1人テンパイ。
2本場、黒田がドラ
アンコのテンパイを入れてリーチ。
柊の
アンカンで裏ドラ2種類あるためハネ満、倍満も望めたが、結局裏ドラはなく、2000・4000。

南3局、親の柊が13巡目にテンパイするも、マチ牌を選んでリーチせず。
結果これが緩手になる。
ここはマチを選ばず即リーチの局面。
そもそも黒田、藤井がウルトラCを狙っている捨て牌なのでマチ頃の牌など簡単にわからない。
それよりも、ここは晃平の手を一刻も早く止めるべきなのだ。
リーチを保留した結果がこれ。17巡目に晃平のツモ。

晃平は柊が
をツモ切った直後に
を重ねてのテンパイだが、もしも柊がリーチをしていれば、スジとはいえ生牌の
を打てるだろうか?
おそらく
を合わせ打つ。
次巡に掴む無スジの
はもちろん打てず、現物の
か
が捨て牌に並んでいただろう。
晃平の手がドラ2で満貫だったため、ラス目の藤井との差が17400と開き、役満親かぶりでもラスに落ちない点差となったため、ただ1人の挑戦者だった柊ですら役満ツモでダメ。
三倍満直撃かダブル役満ツモとなった。
もはや条件といえず、最終局は淡々と進んだ。
晃平は不思議な打ち手である。
牌の残し方などはやや雑に見える。
しかし、数字や牌理に弱いはずはない。(なにしろ東大卒だ)
むしろ、東3局で解説したように、常人の持たない選択肢をも模索しているように見える。
そして、この決勝戦では押し引きがほぼ完璧であった。
こちらのほうはボクシングで培った勝負勘なのかもしれない。
新たなタイプの打ち手の誕生を予感させる。
優勝おめでとうございます。








