第5期関西雀王決定戦観戦記 2日目(6回戦)

【担当記者:こいで】
奈良篤志(ならあつし)
1982年生まれ 出身は香川県
17期前期 関西本部所属
つい先日行われた第1期讃王戦で見事な戦いを制し、讃王に輝いた現タイトルホルダー。
第3期関西雀王戦では惜しくも準優勝。
今期でのリベンジが期待される
1日目は1、2、3、1、1で+175.4ポイント
2位の松本に164.5ポイント差をつけ、順調な滑り出し。
【東1局】
起家は奈良
配牌
ドラ
ホンイツ一直線でを切る手筋もあるが、奈良はここで打
とした。
親番でドラ1あるためペンやカン
が埋まった時にリーチドラ1を逃さない構えだ。
ヘッドがなくホンイツに行くのは不安定ということで、2巡目のはスルーとした。
4巡目、と
を縦に引いて以下の形。
ドラ
ホンイツを強く意識して打とした。
手なりであればツモからのマンズ変化を残してペンチャン落としになりそうだが、ソーズと字牌で4ブロックあり、ホンイツの成就率が高まった為に後の安全度を考えた打牌。
、
、
のすべてが鳴きやすく満貫はすぐそこだ。
ツモでカンチャンを払い切り、2枚目の
をポン→打
とした。
を引いたことにより
の形からもう1ブロック作る構想だ。
ツモでホンイツのイーシャンテン。
ポン
ドラ
手が整った松本からが鳴けて
と中の満貫テンパイ。
奈良の手順が功を奏した。
チー
ポン
ドラ
入川からリーチを受けるも悠然と押していく。決定戦慣れしているのか、プレッシャーを感じさせない滑らかな動きだ。
松本もテンパイしリーチと行って3人のめくり合い。
入川が1300/2600のツモアガリとなった。
【東2局】
奈良がまずまずの配牌をもらうも、ドラドラのタンヤオ仕掛けをした林があっさり2000オールをツモアガリ。
【東2局 1本場】
奈良の7巡目。
ドラ
123の三色が見えるイーシャンテン。
前巡にをツモ切りした松本が
をポンして打
→同巡に
をポンして打
とした。
他家の目からは「」と持っているところから打
→
ポンとしていることが確定した。これはチートイツからのトイトイ移行と読める。
9巡目の奈良、安めのを引き入れテンパイ。

と
のシャンポンでリーチと行きたいところだが、前述の仕掛けに
は持たれていそう。
松本の役牌である、
、
、
のうち
以外は全て場に切れており「松本がチートイツからトイトイへ移行した」という情報があるため
が固められている可能性が高い。(強いポン材で手牌が構成されているか、役牌トイツ×2で役役トイトイのマンガンになるケースでないと仕掛けにくいため)
も場に1枚切れで
に期待できないとなると手牌価値は低い。
ここは慎重にシャンポンのダマテンを選択。
自身がポイントをリードしていることも影響したか。
を暗カンした親の林。新ドラは
。
カンドラが増えても奈良はダマテン継続。
切ったを林が両面チーとした。
7700の–
テンパイを入れる。
同巡、入川にダブドラがトイツのチートイツ
単騎テンパイが入る。
迎えたこの局面。

奈良は打で迂回。
自身のテンパイに価値がないことと、両面チーした親の林に切りづらい。
結果は親の林と、チートイツでに待ち替えした入川の二人テンパイとなった。
奈良の冷静な判断が光った一局。
【東2局 2本場】
手が進まず、慎重に対応する奈良。
仮テンを取った入川がそのまま一人テンパイで流局となった。
【東3局 3本場】
奈良の5巡目。

タンヤオやピンフが見えるリャンシャンテンから1枚見えのを切らずドラの
を打つ。
自身の手がリーチ+1ハン見えているため、鳴かれる前に先切りとした。
リーチや仕掛けは入らず12巡目にテンパイ。

打で
のテンパイ。リーチのみだが場況は悪くなさそう。
慎重な奈良はダマテンに構えた。や
で打点上昇を見ながら、入川の動向も気になったのだろう。
この局は松本が–
でリーチ。
同巡に奈良はを引き入れタンヤオに変化。ここで追っかけリーチとするも、手詰まった林から
が一発で打たれて松本の3900(+1900)アガリとなった。
【東4局】
奈良が早々にを仕掛けるも、林が2巡目に
–
でリーチ。
ピンフに加え、ならタンヤオの付く形。高めを手繰り寄せ、林がメンタンピンツモの1300/2600ツモアガリとなった。
【南1局】
東場は苦しい展開の奈良。
まっすぐ進めて以下のテンパイ。

松本のドラポンが入っている状況で役なしカンだがリーチとした。
ドラポンした松本とメンタンピンのイーシャンテンが入っていた林はうまく手が進まず、終盤に奈良がをツモ
1000オールのアガリとなった。
【南1局 1本場】
地味な配牌をまとめて9巡目に奈良が–
と
–
のイーシャンテンに。
なかなか手が進まず、ツモ切りが続く。
ピンフの–
ダマテンを入れた入川に、ホンイツイーシャンテンの林が
を掴み入川の1000(+300)のアガリ。
【南2局】
親番が落ちた奈良。
西家の松本からダブリーが入る。カンのダブリードラ1。
各自対応が対応に迫られ6巡目に松本が切ったを奈良がチー。

タンヤオ仕掛けで強気なかわしに向かった。
オリるのには困らなそうだが、南場の親が落ちて点棒状況が近い松本のリーチなのでかわしたい局面だ。
チー→打
ツモ→打
として押していく。
が重なり2筋勝負は厳しいので
切りで迂回した後、終盤に重なった
が中筋で切られポンしてテンパイ。
林が流局間際にツモ番ずらしのポンを入れる。
ハイテイで奈良が、松本には通っていて林に通っていないを引いたが打ち切る。
奈良と松本の二人テンパイとなった。
【南3局】
奈良にツモが押し寄せテンパイ
5巡目リーチの–
。
ドラ
松本がホンイツのイーシャンテンから押していく
点棒状況やポイント状況から、ここが勝負所とみたか。
6枚残っていた–
を奈良がツモ。
嬉しい裏1で1300/2600のアガリとなった。
【南4局】
点棒状況
奈良:26600
林:26700
入川:28500
松本:18200
大接戦のオーラスとなった。松本は沈んでいるが親番。
4巡目に松本がこの手牌。

くっつき選択。タンヤオ、イーペーコー、ドラ受けもあり難しい。
スライドからの345や234三色もある。の形がタンヤオになりづらいとみて松本は打
を選んだ。
次巡引きテンパイ。
–
を逃した格好だが、却ってタンヤオが確定するので打点が欲しい現状況では好都合か。
もう一手外してタンヤオと234三色のくっつきにする手もあるがこのままカン
でリーチとした。
松本からリーチ棒が出たことで奈良、林が1000点のアガリトップになる。
奈良が宣言牌のをチーしてトップを狙いにいった。
林、入川は押しづらい。
奈良が悠然とタンヤオのイーシャンテンから押していく。
11巡目にテンパイ。をプッシュし松本とめくりあう。

手詰まった林が松本に中筋ので放銃。
裏裏で12000のアガリとなった。
【南4局 1本場】
一転してトップ目に立った松本。
入川、奈良が僅差で追いかける展開に。
松本が中盤に以下のテンパイ。

のシャンポン待ちで
ならマンガンだ。
入川も絶好のを引き入れてテンパイ。
リーチピンフでトップになるため–
–
でリーチと出る。

奈良も配牌イーシャンテンから遅れてテンパイ。

何を切るのか、リーチかダマか難しい。切りダマテンでツモか松本からの直撃ならトップ、入川や林から出たら二着。
切りリーチをすればどこから出てもトップだ。
がフリテンで
が入川に通っているのが大きかったか、
切りリーチへ。
トップを狙う強気な選択だ。
3人のめくり合いとなった。奈良のリーチ時点で奈良が1枚、入川が4枚、松本が3枚残っている。
松本が、ポンしているをツモる。
松本は伏せると入川にまくられてしまうので伏せられない。小考した後、強気にカンをしてツモ回数を増やしにいった。
奈良が最後のをツモ。
1000/2000のアガリで逆転トップだ。
奈良 +51.9(+227.3)
松本 +8.1(+19.0)
入川 △13.6(△78.6)
林 △46.4(△167.7)
奈良のバランス感覚が光った半荘。
関西雀王の獲得に大きく近づいた。
