第22期女流雀王決定戦観戦記1日目(3回戦)
第22期女流雀王決定戦観戦記
1日目 3回戦
【担当記者:坪川義昭】
逢川は非常にバランス感覚の良い打ち手だ。
他家の進行スピードを察知する能力に関してはこの決定戦でも一つ抜けている印象を受ける。
期待に胸膨らむイーシャンテンだったが嬉しくないテンパイとなった。
点棒状況も平たいので、この手牌でなんとか抜け出したいところだ。
切りのテンパイ外しとの比較だったが、ここはテンパイを取ってヤミテンと構える。
この後の状況変化によってはリーチも視野に入れている様子。
その間に–を引けば一盃口の1ハンが付き、–を引ければ高め三色にもなる。
大本命はこの二点だろう。
逢川がヤミテンに構えている間にドラを重ねていた奥村にのポンテンが入る。
逢川は非常にテンポの良い打ち手なのだが、ここで手を止める。
–は特に悪い待ちでもなく、このままリーチといけばアガリは拾える可能性は高い。
しかし、相手を引き離すには絶好の手牌を捌き手として使ってしまうかの難しい判断だ。
奥村から溢れている数牌の濃さを見て猶予無しと感じたのだろう。
実際奥村はポンテンが入っている。
ツモアガリはしたものの河に置かれているがなんとも恨めしく思えてしまうのだが、これはリーチをかけた後の世界線であり、ヤミテンを続行した場合はこのアガリすら無かったかもしれない。
逢川らしい繊細かつドライな判断だった。
南2局
親番りんのの手牌が良い。
ここでには手を掛けず一気通貫を視野に入れて、この半荘の決め手を作りにいく。
イーシャンテンになった段階で対面の奥村がピンズを厚く持っていそうな河になっていることも加味して一気通貫を諦め、受け入れを広げる。
澄川から先制リーチが入るのだが
同巡テンパイが入り捲り合いとなる。
待ちとしてはが3枚切られていることもあり不利かと思われたのだが、澄川の待ちもそこまで残ってはいなかった。
なんとこの2000オールが決め手となり、この半荘を制した。
トップ至上主義で大味なゲームになりやすい協会のルールでは珍しい光景で、捌き手を着実に決めたりんのが早くも2勝目を奪った。