第22期女流雀王決定戦観戦記2日目(10回戦)
第22期女流雀王決定戦観戦記
2日目 10回戦
【担当記者:五十嵐毅】
座順 奥村-水崎-逢川-りんの
2日目の最終戦となる10回戦。ここで最下位が敗退確定となり、最終日には進めない。
先に打ち終えた澄川は9回戦の大トップでトータル△77.4までポイントを戻している。
対局者だけでなく、このポイントとも戦わなければならないのが、りんの。16600点以上持った3着なら助かるが、それ以下の数字ではアウト。
他3者は澄川の数字を気にする必要はない。
南2局までは淡々と進んだ。満貫級のアガリは東1局1本場、
水崎(南家)のこのアガリだけである。
ここまで首位の奥村は東3局にリーチタンピンツモの1300・2600をアガっていたが、東4局、逢川の6巡目リーチに1枚切れのでリーチ一発七対子の6400を放銃。
そのため、ここまでノーホーラのりんのに一番近いのは奥村だった。
南2局、りんのがリーチ。僅差の奥村が形テンで喰い下がる。
トップ目の水崎は無理せず局を流した。
そして南3局1本場、親の逢川がこの手でリーチ。
ドラ
高目をツモって6000オールならば決定打だが、ツモったのは超安目の。
まだ接戦が続くかと思われたが、裏ドラ表示はなんと。
4000オールはほぼ決定打である。
2本場、奥村まで1900差のりんのが仕掛ける。
ドラ
できればダブ南をポンして3900にしたかっただろうが、入ったのはでノミ手。
脇からの出アガリではラスのままだったが、奥村からの直撃となったため1300点上になった。
オーラスを迎えての点棒状況は、
逢川40800、水崎25500、りんの17500、奥村16200
水崎はトップになるにはハネツモで300足らずなので、2着キープに比重がかかりそうだ。
奥村は満ツモで2着。ここを狙いたいが、手に恵まれなければ3着浮上で妥協しそうだ。そしてその条件は1600以上の出アガリ、ツモ直ならば1000点でOKと容易である。
りんのは難しい。現状、敗退は免れるが、奥村にまくられてラスになれば敗退。3着のままでも1000点以上の出費があれば、16600を割ってやはりアウトと厳しい。まずは連荘か……などと考えていられない事態が起こる。
1巡したところで北家の逢川が下ヅモであることに気付く――親のりんのが少牌していたのだ。
女流雀王決定戦でも配信では自動配牌を使っているのだが、りんのにとって一番大事なところで第1ツモをツモらずに打牌をするというミスが出た。
それだけ条件確認や緊張で気もそぞろだったということなのだろう。
アガリ放棄となったため、流局してもノーテン罰符の支出は確定。もはや逢川か水崎が自分以外から出アガリするか1翻手のツモ(400・800までは耐えられる)を願ってオリ続けるしかない。
7巡目、奥村がテンパイ。場に1枚切れ、自分で1枚使っているカンのイーペーコーと待ちは不安だが、一発ツモか裏が乗れば2着浮上、なによりりんのが何もできない上にこの局で終了が確定しているので、リーチ掛け得とばかりに即リーチ。
水崎は満貫ツモの可能性を減らすためにリーチ打牌のをカンチャンでチー。
水崎はさらにカンをチーして、この形でテンパイする。
ドラ
これででアガってくれればりんのの救世主となるのだが……が通っているだけにテンパイ形がもたない。をツモると打とテンパイを壊す。
さらにをツモってタンヤオ確定のテンパイも取れる形になるが……
ドラ
途中でツモっていたが打ち切れずに通っているを切ってテンパイ取らず。
逢川は、奥村には満貫打ってもトップだからと真っ直ぐ行けばアンコでいくらでもアガれそうなツモだったが、この1局で終了が確定しているだけにピンズ1メンツ、南アンコを切り落として安全走行。
結局、りんのの救世主は現れないまま流局で終了した。
もっとも大事なところで犯したりんののミスは自業自得というしかないが、あえて言うならば9回戦の澄川の大トップが大きなプレッシャーを与えた結果と言えるかもしれない。
最終日は逢川、水崎、奥村、澄川の戦いとなった。