第20回日本オープン観戦記(5回戦)

【担当記者:五十嵐毅】

最終戦を迎えてのポイントは以下の通りである。

飯田 +107.0
五反地 +4.1 
岡本 △50.2
村田 △60.9    

4回戦、オーラスで接戦の中、競り勝った飯田のトップはやはりでかい。

五反地は102.9差。トップラスとなれば22900差くらい付くのはよくあること。そう思えば、ここはごく普通のトップラス条件といえるが、他2人は厳しい。岡本は77300差、村田は87900差のトップラスを決めなければならない。

飯田が圧倒的に有利、連覇に王手を掛けた最終戦である。

東1局、3人の中では優勝条件が比較的楽な五反地が積極的に高打点を狙いに行く。
すでに麻雀牌:九萬がアンコであるところから麻雀牌:九萬をポン。

見事にカン麻雀牌:八萬を引き入れチンイツリャンシャンテン。さらに麻雀牌:一萬もポンしてイーシャンテンになるが、ここは飯田が迎撃。

リーチツモドラ1で1000・2000。

東2局は親の岡本が、1人テンパイ、1本場はリーチドラ1をアガって(放銃、村田)粘るも、2本場でタンピンのテンパイを入れた五反地がヤミで飯田からアガって2000点。

ここまではおとなしい進行だったが、次局波乱が起きる。

村田が13巡目に国士をテンパイ。
マチは場に2枚切れの麻雀牌:白

できれば飯田からアガりたいが、飯田はその麻雀牌:白をすでに止めていた。というより、村田がドラ麻雀牌:七筒を切った9巡目以降、国士を警戒して中張牌しか切っていない。

結果は五反地がラス牌を掴んで放銃。
これはいたしかたない。追う立場で親番の五反地に、受け入れ8種の好形イーシャンテンでオリろというほうが酷だろう。

しかし、放銃したのが3人の中では比較的逆転条件の軽かった五反地であることも事実。
飯田にとってはますます逃げやすくなったといえる。

東4局、飯田の親番。ここで奇跡が!
なんと村田が奇しくも同じ13巡目にまたも国士をテンパイする。

盛り上がる実況席。解説の真田槐は、
「えっ、待って。トップ3着でも107900点差付けばいいんだから、ツモると飯田さんの親被りで……」と、計算を始める。
マチの麻雀牌:発は場に1枚切れでソーズホンイツの五反地がトイツにしており、残るは1枚。
ここで123三色をペン麻雀牌:三萬で張った岡本がリーチ。

ソーズホンイツイーシャンテンの五反地が一発で掴んで放銃してしまい、2局連続国士和了の奇跡は叶わなかった。

南場に入ってからは飯田の独壇場。

南1局、3者がホンイツでせめぎあう中、喰いタンをツモ。300・500。

2局はピンフを5巡目にテンパイ。7巡目ツモ。400・700。

3局はさらに早く、4巡目にピンフテンパイ、6巡目に村田から出アガリ、1000点。

オーラス、自分の親番はお決まりの流局で危なげなく逃げ切り。南場1周に要した時間はわずか19分、異例の速さだった。
日本オープンはディフェンディング制ではない。

前年度優勝者はベスト16からと一番恵まれたシードではあるが、やはり25%の狭き門である。そのため連覇が難しく、今回の飯田でやっと2人目。第5、6回の藤崎智(連盟)以来の連覇である。

飯田の麻雀は小細工がなく、どっしりとした安定感のあるタイプである。
ひょっとしたら、初の3連覇もあるかもしれない。