第18回日本オープン観戦記(1回戦)
第18回日本オープン決勝観戦記
1回戦
【担当記者:武中進】
決勝進出者は以下4名(記事内、全選手敬称略)
1位通過:宍戸涼(日本プロ麻雀協会)
2位通過:柴田吉和(日本プロ麻雀連盟)
3位通過:荒木一甫(日本プロ麻雀協会)
4位通過:皆川直毅(日本プロ麻雀連盟)
連盟2名と協会2名の戦いとなった。
まず協会の2名のキャリアを少々掘り下げたい。
宍戸は20期前期(E2所属)、弱冠24歳の若手。
荒木は19期前期入会(D2所属)、カルフォルニア大学卒業という異色の経歴を持ち、オンライン麻雀天鳳の10段経験者としても有名。
両名ともデビュー1、2年目の新人である。
一方で競技選手としてのキャリアでいえば連盟の2人に分があるだろう。
特に柴田は連盟のビッグタイトル十段位やMONDO杯の優勝経験も複数回、今回のメンツで実績は抜けた存在であり本命と言ってもいい。
今回の決勝メンツの中、筆者も柴田の打ち筋だけは放送にて何回か拝見した事がある。
そしてこの一回戦、まず序盤は柴田が筆者のイメージ通りのらしさを見せた進行で先制した。
東1局、親で好配牌をもらった中、以下の形からの切り。
ここからの更なる横伸びや三色は睨まない安全度重視の選択。
結果として次巡にを引いてマンズの伸びは逃す。
しかし7巡目にを引いてカンでのダマテン、
直後に荒木がリーチをした結果、その現物だったが宍戸からこぼれ2000のファーストヒット。
ちなみに荒木のリーチが以下の通り。
5巡目の切りなど、道中の進行はチャンタを狙う意思が明確に見える中、先制テンパイしたのであればの積極的なリーチ。
柴田との進行の意図の差が興味深い内容だった。
次局東1局1本場は荒木が宍戸から1000は1300をアガったが、東2局は再び柴田のアガリ。
中盤のピンフテンパイを慎重にダマで400/700、皆川の大物手を捌く。
これも東1局ほどではないが、柴田らしさの見える選択だ。
優勝だけに価値がある条件戦と考えれば先制リーチで攻めに行く人もいそうだ。
そしてそんな柴田の打ち筋に場が感化されたかのように、この後も小さい動きを繰り返す展開で場は進む。
各自大物手が入らない、入っても決まらない…
なんと南2局まで最高打点は宍戸が親であがった4800、それ以外はすべて2600以下という中々に見ない小場となった。
各自の動きもそこまで消極的だったわけでもない。
特に積極的に動いていたのは宍戸、親番で4800をあがった局は以下の形から積極的なカン。
リンシャンで引いたで見事にアガリに結びつけた。(カンで即リーして荒木からロンアガリ)
次局ではタンヤオドラ2の手を最大限に生かすために積極的なチー。
このチーはシャンテン数の変わらない鳴きとなるが、自身の急所であるが場に2枚見えてしまった直後。
それに対応して動いていく姿勢は宍戸の能力の高さを感じさせた。
そして南3局、この半荘初の、そして唯一のマンガンが出た。
アガったのは29000の微差トップ目だった柴田、放銃したのは28700と僅差の2着目まで迫っていた宍戸。
このデバサイでこの半荘はほぼ決着。
宍戸の手は放銃牌の以外にもはや選択肢が存在していないような形で、南3局までの小場といいまさに展開が柴田に味方したかのようだった。
一方でこの半荘、とにかく展開が味方しなかったのが皆川。
東場・南場ともに勝負手が入るもすべて競り負ける展開、
そして最終局となった南4局2本場では一発逆転の手が入るも、ここから打たれたが柴田の先制リーチに5200は5800の放銃となり4着に転落して終了。
個人的に興味深かったのは皆川がこれをリーチ宣言しなかったことである。
たしかにリーチをしなければ2600は3200を放銃しても3着で踏みとどまれる。
そのうえトップ目である柴田のリーチは役無しのリーチであることが多い=1300or2600からスタートの可能性が高い。(実際裏ドラが乗らなければ2600の手であった)
そして自分のアガリ牌のとが出る可能性を下げないことも含め、トップ目の可能性を残しつつラスの可能性を下げる堅実な選択ではある。
だが自身がトップになる可能性の差、これが協会ルールでの決勝戦だという点、これらを考えるとかなりディフェンシブな思考に思えたのも事実。
これが皆川のスタイルなのか、今日のジリジリした展開に少々弱気になったのかは気になる点ではある。
ちなみに柴田のリーチが2巡ツモ切りからという点も非常にらしくて興味深い。
筆者だったら即リーする事はあってもそこからのツモ切りリーチは余程の状況変化がないとできないし今回のケースはそれには当てはまらない。
だが今まで見てきた放送対局の柴田は結構このようなプレーをするイメージがあるのだ。
柴田がトップでまずはリードだが無論まだまだ勝負はわからない。
他3者の反撃が楽しみな残り4半荘である。