第4回協会関西プロアマシリーズ決勝レポート
【担当記者:新田友一】
今期からレギュレーションが変更となった関西のプロアマ混合戦。
全7戦開催されたレギュラーシーズンの順位に応じて付与されるGCポイント上位16名を招待して本戦を開催。
本戦では総当たり5半荘+1半荘の計6半荘の上位4名が決勝の舞台へ駒を進めた。
では4選手を紹介しよう。
予選1位 湯村 創さん
第5回ウェスタンカップの優勝者で、協会ルールでは実績もあり好成績。本人曰く、一発裏無しルールの方が好きなんだとか、どんなルールでも対応してくる平成の怪物!
予選2位 宮武 快さん
近年のプロアマで好成績を続けてきた宮武さんは初の決勝の舞台。放送対局も初めてらしいが若さと強心臓で頂点を目指す。
予選3位 倉内 崇亘さん
自称関西麻雀界最後の良心、倉内さん。対戦相手の湯村さんが優勝したウェスタンカップのファイナリスト。優勝間近だったが湯村さんに捲られてしまった。7年前の借りはここで返す!
予選4位 柊 みれいプロ
プロデビュー1年目から、いきなり新人王決勝進出。そして、そして、デビューイヤーの最後に4位で決勝に滑り込んだ!麻雀歴は他の3者より浅いかもしれないが、唯一の協会プロが意地を見せられるのか。
(以後、敬称略)
●1回戦(倉内‐湯村‐柊‐宮武)
東2局
柊の先制リーチに上手に対子を集めていた倉内がタンヤオ七対子の単騎の追っかけリーチ。は山にしっかり2枚残ってはいたのだが・・・
リーチタンヤオドラ2、裏も2枚乗せて12000点の柊のアガリとなった。
続く東3局は宮武の先制リーチに対して粘る柊はなんとか安全にテンパイを果たすが、リーチには通ってないマンズまみれの4センチ。
最後のツモ牌がマンズではないことを祈ってツモったのは。
これは通ってはいないが、マンズを切るよりはマシということでツモ切り、なんとかテンパイを取ることに成功したかに見えたが、
上家の湯村にポンテンを取られてしまいハイテイが柊に回ってくると・・・
なんと宮武のハイテイツモだったはずのが喰い上がって危険牌まみれの柊は悶絶。を選択して3人テンパイでの流局。
テンパイをめぐる熱い攻防、一歩間違えればさきほどの12000のリードがなくなるところだった柊は肩を撫でおろした。
南入して、点箱が空っぽになってしまった倉内だが、復活への狼煙を上げる。
ピンズを4枚を連続で河に並べながらも終盤にピンズのホンイツをツモアガリ。
4者の点差はやや接近したものの、湯村・柊のトップ争いの様相。だが、南3局の柊の親番に事件が起こる。
を暗カンするまではとてもチャンスとは思えなかったが、新ドラがとなると・・・
リーチしてツモアガり、なんとカン裏も!!
宮武はこの倍満のツモアガリで、トップに立つとオーラスの親でもリードを広げる。
南4局2本場
4着まで落ちる可能性があった柊だが、3軒リーチの灼熱のめくり合いを制し奇跡の2着浮上を果たして終局。
見どころ満載の1回戦となった。
●2回戦(柊‐湯村‐倉内‐宮武)
1回戦トップの宮武が積極的に仕掛けて、まずは先制パンチ。
1回戦4着の倉内も負けじと満貫をツモアガリ。
我慢を重ねる湯村は、東4局はを一鳴きしてトップ目宮武の親流しを優先。
そこへ倉内が絶好のを引き入れての3面張リーチといく。
しかし、湯村の仕掛けがうまくかみ合って倉内の現物待ちとなっておりすぐに1000点でかわし切る。
南1局、ここまで慎重に進めていた湯村が終盤ではあるが会心の待ちでのチートイツの先制リーチ。
トップ目の宮武が一発消しのチーをすると、一発ツモを食い流す。
流れてきた筋にもなっているを止められるはずもなく倉内は不運な3200の放銃となる。
南2局は宮武の先制リーチに、フリテンで追いついた柊が追っかけリーチを敢行!
これに対して一発消しも込みで前進する倉内のチー。
すると柊の高め一発ツモが食い流れる。
結果論とはいえ、2局連続での一発消しが成功する格好となり、接戦が続く。
だがここから宮武が3局連続でアガリを決めてダントツとなる。
最後は柊が大接戦の2着争いを制して2着をキープして宮武を追う。湯村、倉内にとっては厳しい展開を強いられることとなった。
●3回戦(柊‐倉内‐宮武‐湯村)
全国の倉内ファンの女性のみなさん見てください!
(角谷プロの解説より)
手替わりの多い絶好のチャンス手、仕掛けを受けているが上家から出たをスルーして絶好の3面張リーチ!!かっこよすぎる!!!
これを一発でツモって裏を乗せて・・・
そう思ったファンは少なからずいたのではないだろうか。
だが現実は非情、単騎待ちの柊に追いかけられて18000の放銃となってしまう。
その後も柊が立て続けにアガって大きなリードを築く。
この柊のラッシュにより、後がない倉内だったが東3局にチャンス手が入る。
4巡目にして場況のいい単騎で即リーチの判断にいけるは素晴らしい。
この手を決めて2着目へと浮上する。
トータルトップの宮武を4着に落としつつ、倉内と湯村が2着争いで望みをつなぐ。
南3局のめくり合いでは、これまで我慢していた湯村が倉内のリーチに真っ向勝負。
巡目が深くなっての安全度も高くは危険牌だがツモ切っていく。
しかし、軍配はなんと柊。
役のないをホウテイでアガってオーラスを迎える。
オーラスは、倉内が2着に浮上するアガリで4回戦以降に望みをつないだ。
柊にとっては素点もさながら、絶好の並びで3回戦を終え優勝のチャンスがぐっと近づいた。
●4回戦(湯村‐倉内‐宮武‐柊)
ポイント状況はこちらの通り
柊、宮武の一騎打ちの様相だが2連勝すれば湯村、倉内でもチャンスはある。
逆に2連勝ではないとかなり厳しくなるのでここは絶対に負けられない。
東1局
湯村がドラポンしてプレッシャーが掛かる局面。ところがポイントを持つ2人がリーチで攻め立てる。
しかし負けられない湯村の執念が実る。
ところがその後は柊が立て続けにアガり続ける。
東3局には、なんと地和チャンス!!
ツモる手に物凄い力が入るも、地和とはならず。
だがこの決していい待ちではない待ちをあっさりとツモってトップ目へ。
負けられない湯村も、東4局にタンヤオ嶺上開花ドラ2を決めて再度トップ目へ!
湯村と柊の2人のマッチレースの結末は
湯村に軍配があがる。
最終戦になんとか望みをつないだ!
●5回戦(倉内‐宮武‐湯村‐柊)
宮武は柊と1着‐3着なら無条件、1着‐2着や2着‐4着なら約2万点差が必要。湯村は1着‐4着で約2万点差を付ける必要がある。倉内は10万点オーバーとトップを取ってから考えようといったところ。
柊はこれらを満たされないように打ちまわす必要がある。さあいよいよ最終戦のスタート!
東1局、柊にチャンス手が訪れ選択に迫られる。
マンズとソーズのどちらかの両面ターツを外す必要があり、普通はアガりやすいソーズを残しそうな局面ではあるが場況を見てソーズを外す。
この選択が見事にはまり、リーチツモ表裏の満貫をツモって優勝へぐっと近づく。
黙っていないのはここまで柊とデッドヒートを演じている宮武。
東2局の親番で、789の三色に焦点を定めると、見事にツモりまずはこの半荘のトップ目に立つ。
虎視眈々と逆転を狙う湯村だって負けてはいない、親番で3面張の先制リーチを打つと最後のツモ番でツモり上げ戦況は混沌としてくる。
さらに加点をしてトップ目に立った湯村だが、柊が東4局の親番でまたしても逆転!
南1局1本場
前局1000オールをツモって一縷の望みをつないだ最後の親番の倉内、この1局は結果としては流局だったが4者の想いが伝わってくる名局だった。
湯村、この手牌からリーチというのは簡単だ。そしてリーチを掛ければアガるのもたやすい。しかしこのときの湯村の思考を想像すると、柊と100ポイント差をまくるためには最低でも1着-3着の並びを作りたい。倉内の親を落としてしまうと、倉内が柊より上の着順になる可能性は極めて低い。
アガるなら高い手で、そうでなければ倉内の連チャンに期待ということでをカンした。こうすることでドラを増やし親の倉内の打点をあげることにも繋がり、それは湯村にとっても好都合なのである。
巡目は進み、再度テンパイが入るが・・・
さきほどと同じ理由で打点こそ高くなったもののここでも打として跳満、倍満、いやさらにその上を見据えていたのかもしれない。
宮武、こちらは柊との差は60ポイントほどなので、倉内の親を落とすことは厭わない。一気通貫確定のリーチも打てるが、カンが入って裏ドラも2枚見られるし一発ツモの可能性だってあるのでここは両面でリーチとする。
柊、すでにピンフドラ1の両面テンパイを入れていたのだがダマテンを選択していた。
リーチを受けて当たり牌のを掴んでしまう。
自身のアドバンテージを把握して、ダマテンを選択していたのだからこの牌を止めることができた。もしいつものようにリーチと言っていたらどんな結末になったかは分からなかった。
そして今日1日を通してもっとも苦しかった倉内、リーチを受けた瞬間は形式テンパイへ向けて粘っていたが自身の優勝確率は限りなくゼロに近い。
もちろん何を切って放銃となっても、それを責める人は誰もいない。だが倉内は終盤になり危険牌を切ることなく3者の戦いに水を差さないようにそっと手牌を伏せた。
さて点棒状況をおさらいしよう。
倉内 20400
宮武 22000
湯村 22600
柊 34000
南2局の宮武の親は、湯村としては先ほど同様、軽い手で落とすことはなさそうである。
宮武も湯村が柊を上回る保証はないのでトップ目に立つだけでなくできるだけ点棒を稼ぎたい。柊はこの親を落とすことができれば限りなく優勝に近づく。
決着はあっと言う間だった。
柊が役ありテンパイを目指して進めた結果、門前でタンヤオ三色ドラ2のテンパイを入れると、その同巡に最大のライバルだった宮武から当たり牌が放たれた。
これが決定打となり柊がデビュー1年目にして優勝の座を射止めた!
新人王では決勝で苦杯をなめたが、関西のこの舞台で見事に優勝を決めニュースターの誕生となった。
敗れた3者もプロ顔負けの堂々の戦いぶりで、来期以降もプロアマ戦線で強豪として立ちはだかるだろう。