第5期関西雀王決定戦観戦記 2日目(8回戦)

【担当記者:こいで】

松本 哲徳(まつもと あきのり)
1998年生まれ 出身は奈良県
18期後期 関西本部所属

ラッキーデジタルという異名を持ち、今回の決定戦で最若手。台風の目となるか。

【東1局】
入川が林のリーチに一発で放銃し、林12000のアガリ。
放銃となった北は1枚切れ。入川の手も整っており「これぐらいは…」と切った牌で放銃となり入川にとっては辛い展開に。

残り8回戦、暫定トップの奈良と他三者には240〜340ポイント差がついている。
協会ルールはトップラスで約100ポイント縮まるが、これ以上奈良に突き放されると辛い。
最終節で奈良が400〜500ポイントリードの状況だと「同一者が5連勝+自身が5ラス」を取らなければ優勝のような状況になり、守備的に打たれてラスを押し付けづらくなる。

奈良の親番が蹴れたことはアガった林は勿論、松本や入川にとっても悪くない。
大幅にポイントの離れた奈良に近付くためには、奈良にアガらせず自分がアガる展開を作る必要がある。

【東2局】
松本がツモを捉えて以下の牌姿に。

イーシャンテンに取るなら打麻雀牌:八萬か打麻雀牌:二索だが、メンタンピンルートを強く見て打麻雀牌:一萬とした。
麻雀牌:八萬麻雀牌:二索はメンツそばの孤立牌で三面張のタネ。
ダイレクトで麻雀牌:三萬が埋まるよりも価値が高いと判断か。

次巡麻雀牌:三萬引きはメンピンテンパイを逃す裏目だが、ここは麻雀牌:二索切り。
メンタンピンのイーシャンテンにし、すぐの麻雀牌:二筒麻雀牌:五筒引きはフリテンリーチを辞さずの構え。

2巡後麻雀牌:七筒を引いてこの形。

直接の受け入れには関与していない麻雀牌:七筒だが、ドラ麻雀牌:六筒の先引きや、麻雀牌:二萬麻雀牌:三萬麻雀牌:五萬麻雀牌:六萬引きの時にヘッドを振り替えてフリテンを解消できる。
ドラを引いたり、麻雀牌:六筒麻雀牌:九筒でリーチを打てたときはマンガンクラスの手が見えるため、安牌候補の麻雀牌:発切りとした。

次巡麻雀牌:一萬を引き戻しメンピンテンパイ。
巡目も進んだことで手の伸びを見る余裕はなく麻雀牌:二筒麻雀牌:五筒でリーチとした。

親番の入川がまっすぐ手を進めて麻雀牌:二筒がこぼれる。裏1で松本の3900のアガリ。

【東3局】
奈良が先制テンパイ。
役なしカン麻雀牌:五萬をダマテンとした。
松本、林が変則的な切り出しで場況が悪く、ポイントに余裕があるのも影響したか。

変則的な河の松本が7巡目に四暗刻のイーシャンテンに。麻雀牌:一萬から引けばスッタンだ。

慎重に重なる牌を吟味したいところで打麻雀牌:二萬とした。 
1枚切れ+変則気味の林に持たれていそうなのを読んでの打牌か。

奈良が2枚残っている麻雀牌:五萬をツモ。700/1300で大きなかわしに。 
好調を感じさせるとともに、松本は悔しい局となる。

【東4局】
松本の選択が面白い。

自然なのはドラ単騎リーチか、麻雀牌:七索切りだろうか。
ドラ単騎はアガリ率は低いものの打点が高く、麻雀牌:七索切りはドラ1を活かして良型リーチを打つ意図だ。
麻雀牌:二萬麻雀牌:五萬麻雀牌:五索麻雀牌:六索麻雀牌:八索麻雀牌:九索引きでピンフの良型リーチが打てる。先に麻雀牌:二萬麻雀牌:五萬麻雀牌:五索麻雀牌:八索から引けばメンタンピンドラ1だ。

松本の選択は打麻雀牌:九索
ドラの縦引きで、フリテンながらもメンタンピンツモイーペーコードラドラの跳満〜倍満が見える点を重視したか。

麻雀牌:五萬を捉えてテンパイ。
タンピンドラ1の麻雀牌:五索麻雀牌:八索リーチとなった。
枚数は薄いもののソーズの上は安く、アガリは十分に見込めるか。

123の三色で仕掛けていた奈良が同巡に麻雀牌:三筒麻雀牌:六筒でテンパイ。
松本が麻雀牌:六筒を掴み奈良のアガリに。
奈良の三色ドラ1、2000(+1000)のアガリ。

松本は2局連続で勝負手を蹴られ厳しい展開に。

【南1局】
松本が先制テンパイ。
今2枚切られたカン麻雀牌:三筒だが、リーチとした。

入川が同巡に追いつく。
丁寧に仕上げた純チャンイーペーコーのテンパイ。リーチといった。

1枚vs1枚のめくり合いとなる。

タンヤオでテンパイを入れた林だが、二件リーチの無筋を掴み撤退。

終盤に奈良が追いつく。
麻雀牌:一筒はほとんど通る牌。3人リーチに。

全員1枚ずつ山に残っている状況。

奈良のリーチ直後、入川が麻雀牌:三筒を掴み松本の2600のアガリ。
リーチ棒2000点付きで嬉しいアガリとなった。

【南2局】
松本がまたもや先制テンパイ。
イマイチな配牌をうまくまとめ、リーチドラ1高めタンヤオ。

松本の宣言牌麻雀牌:六筒を林がチー。
タンヤオに変化し、リーチの上家から鳴けるようになる為、現状のイーシャンテンよりアガリやすくなる。

林が麻雀牌:二筒をチー出来てカン麻雀牌:七索でテンパイ。
次巡麻雀牌:五索を引いて麻雀牌:四索麻雀牌:七索に手変わり。

オリられない点棒状況の入川が絶好のカン麻雀牌:六筒を引いてテンパイ。

これをリーチし、またもや3人テンパイに。
松本がすぐに麻雀牌:七索を掴んでしまい、林の3900(+2000)のアガリ。

【南3局】
松本、麻雀牌:東をポン。

麻雀牌:九筒を切れば3900のテンパイだが、取らずの打麻雀牌:六索とした。
役役ホンイツで12000あるので大きく狙う。

ツモに恵まれた林が先制テンパイ
ドラ3の麻雀牌:一筒麻雀牌:四筒で大物手だ。当然のようにリーチをかける。

ホンイツでテンパイした松本が悠然と押していく。
林のアガリ牌は脇に流れ、林と松本の二人テンパイ。

【南3局 1本場】
松本に選択が訪れる。

三色か一通の選択だが、三色に取ると高めは二種必要なものの、メンタンピンがほぼ確定する。
一通に取ると三面張受けは残るものの麻雀牌:四萬麻雀牌:七萬を引くとピンフのみになってしまう。
ここはタンヤオが確定する打麻雀牌:九萬

同巡に林が三色のカン麻雀牌:八索テンパイ。
これをダマテンとする。

メンタンピンのイーシャンテンで入川に浮いていた麻雀牌:八索が捕まり、林の2600(+1300)のアガリ。
入川にとっては辛い展開だ。

【南4局】
テンパイ一番乗りは奈良。
1枚切れのカン麻雀牌:四索をダマテンとする。   

ここまで苦しい展開の入川にテンパイが入る。

タンピンドラで高めイーペーコー。
着順上昇は見込めないもののアガれば大きな素点回復となる。 
並びを作るため、奈良からの直撃を見るダマテンもあったが、ここはリーチとした。
ここがラスで残り7回戦、無理に並びを作りに行くよりもここは素点回復が優位と見たか。  

奈良は無理をせず現物を抜いてオリていく。 
林は2副露したホンイツでリャンシャンテンだったが無筋を切っていく。
倍満を放銃してもトップなので、ここは自分の手だけを見て打てる局面。

入川が高めの麻雀牌:六索をツモ。
メンタンピンツモイーペーコードラで3000/6000のアガリで終局。

3回戦結果
奈良 +5.2(+234.9)
入川 △48.6(△147.6)
松本 △17.2(△39.3)
林 +60.6(△48.0)

林が連勝を決めた。