第5期関西雀王決定戦観戦記 1日目(15回戦)

【担当記者:角谷ヨウスケ】

トータルトップの奈良と、2位の入川の差は234.8ポイント。
これはトップラスにした上で15万点以上の素点差が必要となる。
最終日が開始前よりは差が縮まっているものの、下位者が順々にトップをとった結果、奈良には十分な余裕がある。
差が縮まったというよりは「ポイント差を上手く使われた」と評すべきかもしれない。
一方で、2位入川と4位松本までの差は124.8ポイント。3位林と4位松本の差は26.6ポイント。
こちらは自然な素点のトップラスや、林・松本に関しては順位差と少しの素点で簡単に逆転するポイント状況である。

実はこの関西雀王決定戦の初日~3日目までの最中に奈良は別のタイトルを獲っていた。
四国の新設タイトル【讃王位】だ。
プロ選手のシードは期首順位順に割り当てられる。協会であればまずは雀王、そして雀竜位などのタイトルホルダー枠があり、A1リーグ2位、A1リーグ3位…といった具合だ。
つまりこのまま奈良が関西雀王となった場合に、得られるいくつかのシードはすでに所持している讃王のシードと重なる。
そうなると奈良の被ったシードが準優勝者以降へ“おりてくる”可能性があるのだ。
みな優勝を目指したいのはやまやまではあるが、今回はポイント状況に加え上記の事情により準優勝の価値もいつもより少し高いかもしれない。

東場~南入
東場を通じて最高打点が3900点。またしても緩やかに流れていく。
南入時点で持ち点は松本32600、奈良26200、入川23500、林17700だ。
またもトータルラス目の松本がトップ目、奈良は連対と、今日の経過をなぞるような展開。
準優勝条件ならば入川はこのままで良し、松本は入川とトップラスを決めたい。

南2局

親の林がピンフドラをリーチするとツモって裏々。6000オールで一気にトップに。
入川がラス目になり素点も稼いだため準優勝条件をクリア。

第5期関西雀王決定戦

優勝

奈良篤志

今年度の讃王、関西雀王の2冠達成。
奈良は協会の選手としては6年目だが、他団体での所属経験もあり、実は競技麻雀歴は長い。
元より麻雀に関しては高い評価を得ていた選手であるし、今期の決定戦においてもその力を余すことなく披露した。
ちなみにYouTubeの登録者1万人超えでもある。

2位

林ひろたか
姫路にて麻雀店『Neo』を経営。
関西在住ながらA1リーガーの矢島亨にしれっと弟子入りするなどコミュ力に優れ、勉強会にも積極的に参加している。
決勝では王位戦3位、関西雀王2位と悔しい結果が続いたが次回こそは優勝が狙える逸材である。

3位

入川尚平

4期の関西雀王である原田翔平の弟分である。もちろん麻雀について深く話し合っていることだろう。
入川も他団体に所属経験があり、決定戦において終始落ち着いたうち回しが見られた。
今回は展開に恵まれなかったが次回以降にまた強い姿を見せて欲しい。

4位

松本哲徳

関西Aリーグにて最年少の26歳。もちろん初めての決定戦だった。
リーグ戦では+672.0ポイントをたたき出し圧倒的1位で進出したが、初の決勝の舞台では思うようにいかなかったか。
例えばネット麻雀と競技麻雀のバランスが異なるのは言うまでもないが、競技麻雀の中でも普段のリーグ戦と決定戦ではまたセオリーが異なる。
今回の4位を成長の糧としてまた決定戦の晴れ舞台で見られることを楽しみにしている。