第23期雀竜位決定戦観戦記 2日目(6回戦)

【担当記者:中島由矩】
6回戦(矢島-真田-宮崎-安藤 (抜け番・吉田))




南1局0本場、4者の表情を、まずはご覧いただいた。
では次に、この4者の視線の先にあるアガリをお見せしよう。

役満・大三元だ。
「ツモ。16000オール」
と発したのは、1日目を終えてトータルスコア▲151.3ptで5位と不振にあえぐ矢島亨。
をツモったので、有名な麻雀漫画のように(来たぜ…ぬるりと…。)
と思ったかどうか…は、定かではないが。ザワ…ザワ…。
矢島をはじめとするプレイヤーは全員、自分が第23期雀竜位になるために1打1打選択している。
しかし、このアガリで視聴者として今後の展開が大いに面白くなってきたのもまた事実だ。
1日目を終えてトータルスコア+190.3ptで首位の安藤弘樹や+136.4ptで2位の現在雀竜位真田槐の尻に火がつき、▲99.4ptの宮崎信一は3日目を打てない可能性がにわかに出てきた。今後の戦い方にも大きな影響が出そうだ。
この6回戦は、まず宮崎が好調な滑り出し。
東1局1本場、ドラドラ内蔵のチートイツタンキでリーチをかけると、矢島からロンアガリ。裏ドラも2枚乗せ、12000を先制する。
という、チートイツに見えにくい河にできたのも、功を奏した格好だ。

宮崎は続く東2局0本場でも、三面張のリーチを一発でツモアガリ。
1300・2600を加点し、トータル首位の安藤、2位の真田を追う。
では、ここから、衝撃の南1局0本場を、最初から振り返っていきたい。
【南1局0本場・親番矢島】
東家・矢島亨 25500
南家・真田槐 14900
西家・宮崎信一 38700
北家・安藤弘樹 20900
親番矢島の配牌に、役満・大三元の気配が色濃くただよう。矢島はこのチャンスをモノにできるか。
矢島は第1打にを選択すると、河にマンズを並べ、ホンイツに向かう。

2巡目に待望のを重ね、盤石の構え。

を鳴いて、前へと進む。自風の
とドラの
は残して、オタ風の
を河に放つ。

次巡、を重ねてリャンシャンテン。

をポンしてイーシャンテン。まだだ…まだまだ…。

矢島自身は知る由もないが、大三元のカギを握るは、宮崎がずっと1枚抱えていた。宮崎は宮崎で四暗刻に向かっており、
が打ち出されるのも時間の問題かと思われたが、

この局、ついに宮崎からが放たれることはなかった。

さらには、場風のを暗刻にしている安藤がカン
チーでテンパイを入れると、

ピンズ模様の矢島に対し、無筋のを押す。一致団結して矢島のアガリを阻止しようと手を尽くすものの、矢島はこの包囲網をくぐり抜け、

山に1枚ずつ残っていたと
のシャンポン待ちの、高めを見事掘り当てたのだった。渾身で、会心で、値千金の16000オール。
(雀竜位決定戦は、まだ終わらせない。俺のツモが輝いている限り)
いや、これは本当に思っているんじゃないかな。

四者四様の思惑が卓上で交錯する中、矢島が「らしいアガリ」で6回戦を制した。

6回戦トップは矢島。トータル順位を5位から3位に引き上げ、2日目途中敗退の呪縛から解き放たれた。
試合前のインタビューでは 4連勝をにおわせる発言もあったが、あながち不可能でもなさそうだ。
2着になったのは宮崎。6回戦は矢島の陰に隠れる形になったが、わずかながらポイントをプラスし、上位陣との差を詰める。ターゲットが矢島から吉田に変わったことは、今後の戦いに影響するかもしれない。
3着は安藤。トータルポイントを考えたら、この荒れた6回戦をうまく耐え抜いて、首位を守ったと言っていいだろう。7回戦以降の巻き返しを誓う。
4着になったのは真田。矢島には大きく差を詰められたものの、首位の安藤とは1着順少々の差で耐えたのは、不幸中の幸いか。止めるべき牌を止め、打つべき牌を打てている。早く次の7回戦を戦いたい、と思っていることだろう。
筆者も、早く7回戦が見たい。