第23期雀竜位決定戦観戦記 1日目(1回戦)

【担当記者:今田孝志】

日本プロ麻雀協会は、連覇がブームだ。
先日、協会の顔ともいうべき雀王と女流雀王が、仲林圭と逢川恵夢に決まった。
両者はともに2年連続での戴冠であり、これ自体非常に珍しいことだが、これ以前から協会の主なタイトル戦は連覇続きである。日本オープンは飯田雅貴が連覇しており、オータムチャンピオンシップに至っては矢島亨が3連覇中だ。

となれば流れに乗って雀竜位も連覇といきましょう、というのが、現雀竜位真田槐の立場だろう。

連覇に留まらず、オータムとの同時戴冠を狙うのが矢島亨だ。
雀竜位戦A級の最終日は、怒涛の6連勝で決定戦進出を決めた。

雀王戦A1リーグ所属でもあるこの両名が本命と目されるところだが、残る3人も強者揃いである。

第20期雀竜位であり、4年連続決定戦出場の吉田知弘。

第7期以来の決定戦出場となった宮崎信一。

第21期雀竜位であり、3年連続決定戦出場の安藤弘樹。

以上の5名の戦いである。
果たして第24期雀竜位の座に就くのは誰になるか。

座順(宮崎-矢島-真田-安藤)
東1局。矢島が17巡目にテンパイ。
麻雀牌:九筒切りで麻雀牌:三萬麻雀牌:六萬麻雀牌:七筒待ち。

残る自身の手番は海底牌のみという状況だが、矢島はリーチといった。
このままツモアガれば、一発ツモ海底で打点が跳ね上がる。

真田は現物の麻雀牌:九筒切り。
下家の安藤はこれをチーして一発を消し、海底をずらすことができる形だが、

自身の手に安全牌がないために、安全牌を求めて山に手を伸ばす。
麻雀牌:七萬が3枚見えのワンチャンスで、打麻雀牌:八萬とする。

この麻雀牌:八萬も宮崎がチーできる牌だが、

鳴くと麻雀牌:八萬麻雀牌:九萬が切れないので、やはり安全牌がなくなってしまう。自身のテンパイの可能性もあるためスルー。

こうして矢島の下にたどり着いた海底牌が、

アガリ牌の麻雀牌:三萬だった。
リーチ一発ツモ海底タンヤオに裏も1枚乗り、第23期雀竜位決定戦は矢島の3000-6000で開幕する。

東2局は見応えのある攻防。
親の矢島がこの形から麻雀牌:八索をポン。

まだだいぶ苦しい形だが、さらに麻雀牌:三索もポン。

実際には安くて遠い仕掛けだが、ホンイツ・トイトイ・タンヤオ・役牌・ドラの幻想を見せて他家の手を縛りにかかる。

この仕掛けを見せられて、上家の宮崎は対応に回らされたが、真田がカン麻雀牌:四筒待ちでテンパイしてリーチ。

安藤が宣言牌の麻雀牌:四索をチーしてテンパイ。

宮崎は数巡前に矢島に対して、生牌の麻雀牌:中が切れずに麻雀牌:白をトイツで落とし、

迂回を余儀なくされていたが、安全牌を切りながらイーシャンテンに復活する。

ここに上家から麻雀牌:七筒が切られると、真田のリーチに安全牌を並べる矢島の挙動を見て、宮崎は一転、チーして麻雀牌:中を勝負。テンパイを取る。

ブラフに近い仕掛けの矢島一人がノーテンとなるが、次巡宮崎が真田のアガリ牌麻雀牌:四筒を掴む。中スジになっていることもあり、8000の放銃となる。

中盤を制したのは安藤。
東3局に2000-4000。

東4局に宮崎から2000をアガり、南1局には1300-2600。

このアガリで矢島を躱してトップ目に立つ。

南3局1本場
開局早々麻雀牌:東麻雀牌:中をポンして麻雀牌:六萬麻雀牌:七萬のリャンメン落としを見せた真田に対し、矢島は徹底抗戦。

ここから生牌の麻雀牌:南麻雀牌:白、1枚切れの麻雀牌:発と切り出すが、麻雀牌:発麻雀牌:一索と引いてジャストタイミングでテンパイした真田に12000は12300の放銃。

このアガリでトップ目に躍り出た真田。
だが続く2本場。ラス目の宮崎からリーチを受けて、その一発目に麻雀牌:八索を引く。

宮崎は字牌の他には麻雀牌:一萬しか切っておらず、この上なく河が強い。他に17スジ残っているわけで、無筋とはいえ放銃率は高くない。そもそも安全牌もないので切るしかない麻雀牌:八索である。

これが8000は8600の放銃となり、真田はトップ目から陥落する。

南4局はラス目になっていた矢島が3200を出アガリして3着に浮上して終局。
1着安藤、2着真田、3着矢島、4着宮崎。
矢島の海底一発ツモから始まった試合は、マンガン以上のアガリが5回と、高打点が連発する展開となったが、大味な印象はなく、見応えある攻防を観ることができた。

真田が勝って連覇の流れをつなぐか。それとも連覇阻止か。
戦いは始まったばかりだ。