第20期雀竜位決定戦観戦記 1日目(1回戦)
第20期雀竜位決定戦観戦記
1日目 1回戦
【担当記者:武中進】
第20期雀竜位決定戦の面子は以下の通り。
現雀竜位:富永 修 B1リーグ(7期後期入会)
1位通過:下石 戟 A1リーグ(8期前期入会)
2位通過:吉田 知弘 C3リーグ(1期入会)
3位通過:小池 ハヤト C2リーグ(16期後期入会)
4位通過:秋山 裕邦 B2リーグ(8期後期入会)
実績から考えれば、現A1リーガーでありタイトル戦優勝経験もある下石と、現雀竜位でありその勢いのままにBIG1カップ・オータムCSの決勝に進出した富永の2人が優勝候補にあがるだろう。
第3候補は秋山と思われる。
目立って大きな実績こそないが、協会のネット麻雀企画「しゃるうぃ~てんほう」で2回の優勝や、様々な競技大会の経験で培った安定した打ち筋には定評がある。
一方で実績や評価の面で今回は本命とはならないであろう他2名について。
まずは吉田。
彼の下馬評は大きく割れると思われる。
近年こそ目立った実績は無い彼だが、もともと協会の創立メンバーの一人(最高位戦からの移籍組)。
第4回日本オープンで準優勝、第8期に一時退会をするまでは現A2に在籍して最前線で戦っていた経験もある。
再入会後は特に目立った実績は無かった中、15年以上の時を経ての公式戦決勝、古豪の初タイトルに期待する方もいるのではないか。
そして小池。
実績やキャリアでも大きく突出した点はなく、下馬評についてもお世辞にも高いとはいいがたい。
優勝すれば大きなジャイアントキリングを成しえる一方で、やはり5番目の大穴にはならざるを得ない立場。
本人もその自覚からか、かなり緊張した様子だった。
1回戦(秋山-小池-下石-吉田 抜番-富永)
そんな小池に少々不安を覚えていたが、東場は彼にとにかく大物手が入った。
東1局、中盤にタンヤオ・チンイツの跳満をテンパイするも下石にかわされて不発。
東2局、親番で早々にカンをチー。下石のリーチを受けるも追いついて高め12000のテンパイ。
だがここは秋山が2000/4000ツモアガリ。
この局4巡目の秋山。
ドラ
上記手牌から鳴きの高打点も意識した打が妙手。
見事な構想力で役牌・チャンタ・ドラ2の大物手をアガリきった。
東3局、親の下石の仕掛けと吉田のリーチを受けながらも高め三色の大物手で追いつく小池。
だが直後に小池の高めであるにて吉田が2000/4000のツモアガリ。
ここまでは小池からすればなんともストレスがたまる展開。
だが続く東4局、またまた大物手が入る。
そしてついに決定戦初アガリとなる3000/6000で、ここまでの失点を一気に挽回し微差ながらトップ目で南場に入る。
さて、ここからさらに場が動いたのが南2局だった。
トップ目小池の親番、3着目の吉田が4巡目にてタンヤオドラ2の充分形のリャンシャンテン。
上手く仕上げれば跳満クラスとなり一気にトップに立てるこの手牌。
だがここから必要な牌をほとんど引けず、河に打たれることも無い展開。
結局吉田が張ったのは終盤の15巡目、しかも役無しのケイテン。
他家の仕掛けがいくつか入っている状況とはいえ、この手をケイテンというのはあまりにも悲しい結果。
と思っていたのだが、この直後にラス目の下石が切ったをダイミンカンすると、なんと嶺上からアガリ牌のを引いて奇跡のアガリを成し遂げる。
リンシャンツモ ドラ
新ドラは乗らずの1000/2000のツモアガリながら、トップ目小池を捲る望外の加点となった。
南3局は小池が下石のリーチにアグレッシブに攻めてアガリきり、一時は吉田を捲り返すも南4局に親番の吉田が下石より7700をアガりトップを再奪還。
吉田のノーテンで伏せれる局面となり、ほぼ最終局であろう南4局1本場。
ここで小池に逆転手が入る。
ドラ2の超十分形、巡目もまだたっぷりある。
だがここから小池はテンパイにはたどり着くがアガリには結びつかずにこの半荘は終了となる。
このオーラスについていえば、アガリへの道筋はいくつかあったが正着を導き出すのは難しく、アガリ逃しもやむなしに感じる。
東場の4局、そしてこのオーラス、この半荘文句なしに大物手をもらい続けた小池だったがトップをとれない歯がゆい結末。
このオーラスはとにかく東1,2,3局あたりの大物手不発については選択の余地はほぼなかったし、手が入りはしたがトップ奪取はかなり難しい半荘だったと感じる。
一方で少ないチャンス手をしっかり仕留めた吉田、古豪初タイトルに向けてまずは順調なスタートとなった。
下石・秋山も次戦以降の挽回を目指し、富永も含めた熱い勝負は続く。